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転生しましたよ、雑魚だけど

皆はあの大人気コマンドRPG『WORLD STORY』を知ってるだろうか。

緻密に練られた物語、単純だけど面白いゲーム性、キャラ個人のボイスやストーリーなどもあるというオタク殺し要素などの影響で、『神ゲー』といわれていたゲームである。

 

そんなゲームだが、ファン達の間では一つの蔑称があった。それは『Magic STORY』だ。

 

何故そんな風にいわれていたかは、あまりにも魔法が強すぎたこと以外に無いだろう。

リーチでは剣士キャラに勝り、火力でも圧勝、複数を対象にした攻撃などもできる上、なにより魔法を使えるキャラの性能が軒並み高かったことが強すぎた原因だ。

 

レベル1からスキルを何十個も持っている魔法キャラと、五つほどしか持っていない剣士キャラが同時に実装された時は流石の俺も天を仰いでしまった。

 

そんなわけで色々とあったが、結局の所人気だったこのゲームはやはり二次創作もたくさん創られ、その中でも特に転生系は大人気だった。

剣士なのにチート性能を持っている主人公なんかが多かったように思う。

勿論俺もそういう二次創作は読んでたし、個人的に好きなキャラだっていた。

 

そんな世界に転生した訳だが、やっぱり最初に『WORLD STORY』の世界だと気づいた時にはかなりテンションが上がった。

そりゃ、窓から外を見た時に世界樹があったらテンションあがるよなぁ!

後から思い出してもあの時は本当にテンションがMAXだったと思う。周りが目に入らないくらいに。

 

それで、もしかしてチートがあるんじゃないの!?と思って脳内で自分のステータスを確認したら

 

Lv.1

 

《体力》 2

《筋力》 2

《魔力》 1

《知力》 1

《運》 −1

 

スキル 《居合》Lv.1

 

 

 

・・・ふざけんな!!!

ステータス低すぎだろ!原作だとLv.1の一番弱いキャラでも5以上はあったぞ!?

それに何だよ運が−1って!!剣士適正のステータスだったのはまぁいいよ!しょうがねぇから!それにしても運がマイナス!?マイナスって何だよ!?見たことねぇよ!

それにスキルが一個!?初期キャラでも2.3個あったぞ!?

しかもLv.1じゃねぇか!どうすんだよこれ!弱すぎるぞ!

 

 

 

 

 

はぁ.....はぁ....!ふぅ.....まぁとりあえず落ち着こう。

どうにかこれでやってくしかないんだし。でもどうする?今が原作でいうとどのくらいなんだ?流石に原作の中盤からは、そこそこインフレしてくるからこんなんだったら一般市民としてすら生き残れんぞ。

 

 

うーん.....どうしたものか.....

流石にこのステータスじゃストーリー終盤まで生き残れる程強くなれないだろうしなぁ。そりゃ知識を生かして成長すれば幾らかマシにはなるだろうけど、インフレには置いていかれるレベルだと思うんだよなぁ。

うーん........

 

 

 

 

そうだ!主人公パーティに入れてもらえばいいんじゃないか!?

 

これだったら幾ら俺が弱くても生き残れるだろうし、インフレする前に入れたらインフレして付いてけなくなっても守ってもらえそうだし。

正直いって転生したって気づいた時はチートで最強目指してキャラの曇らせ回避しようとか思ってたけど無理だ。

とりあえず生き残る事を目標にしていかないとすぐに死ぬわ。

 

 

 

でも流石に弱すぎたら主人公パーティには入れんよなぁ。あの狂人がいるしなぁ。あいつがいる以上は一時期でも主人公を超えないといけないよな。まぁこれに関しては鍛えるしかないか、まずは《居合》を鍛えまくろう。これしか使えそうなスキルもないし。しょうがない。

それで最終的には主人公パーティの所に行って守ってもらおう。

 

 

よーし、とりあえずは《居合》のLv.10目指して頑張るぞぉ!

 

 

 

〜〜〜〜〜〜五年後〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

うーん...オワタ!全然強くなれん!やっぱ才能って大事。はっきりわかんだね。正直このまま行くと、俺の記憶にある主人公パーティには一生届かん。別に届く必要はないんだけど、最低限は無いとなぁ。

色々魔法のアイテムとかも使ってみたんだけど、やっぱ魔法糸まほうしとかだけではあんまり強くなれんな。

 

 

まぁ、ただ色々収穫はあったから全部がダメだったっていう訳じゃないんだけどね。

その収穫の中でも1番大きいのは多分家が武術の道場だったことかなぁ。正直そうじゃなかったらマジで一ミリも強くなってなかったと思う。

ただ.....

 

 

 

死ぬほどスパルタなんだよなぁ。比喩表現じゃなくて。

本当に死ぬほどスパルタなんだよ。だっておかしくない!?3歳から剣を握って鍛錬、4歳になったら魔物と戦わされるのは!?

もう何千回も死にかけたわ!流石に三日三晩山を彷徨いながら魔物を倒して、やっと終わるってとこで山の主が出てきた時はマジで死を覚悟したわ。

なんとか一瞬怯ませて逃げきれたけどその後家に帰ったら父さんが主の生首を持ってた時は変な声だしちゃったよ。なんで俺が帰るより早く殺してんの?なんで?どうやった?

まぁでも一応そのおかげで最悪なレベルではないかな?って程度にはステータスが伸びて、今はこんな感じ。

 

Lv.6

 

《体力》 8   

《筋力》 10

《魔力》 1

《知力》 3

《運》 −1

 

スキル 《居合》Lv.7

 

まぁ順当に剣士としては伸びてきてるかな。あくまで一般レベルだけど。

それにしてもまだ運がマイナスなんですけど!

どういうこと!?

おかしいだろうが!?

 

 

まぁつってももう半ば諦めてるんだけど。

レベルが4になったのに運が一切上がらなかった時に察したよ。

『あぁもう運は上がらないんだ』

って。

まぁそれ以外にステータス面で言うことは無いかな。知力が上がってるのは戦闘に関する座学を教え込まれたからだし。

 

 

それで二つ目の収穫は今が原作でいうと、本編開始の約7年前だったっていうのが分かったのと俺の住んでいる所が分かったこと。

7年前だと大体主人公が8歳位だからまぁ俺とそんなに年齢差はないな。

正直あまりにも原作開始前すぎたらただの弱いおじさんが、パーティ入りを懇願してくるっていう気持ち悪い展開になるかもって思ってたからそこはひとまず安心できた。住んでいる所に関しては結構終盤に出てくる和風な地域だったんだけど、ストーリーが進んで世界が変わらないと敵の強さは変わらないからまぁ問題ない。

 

あともう一つ、これは俺も知らなかったんだけど、結構ステータスに表れない強さがあるっぽい。例えば俺のスキルは居合だけなんだけどそれしかできないんじゃなくて、親に教えてもらって投擲術とか対人戦闘とかもある程度はできる様になった。

じゃあスキル持ちとなにが違うの?って話だけどこれについては2つくらい仮説を建ててる。

1つ目は、ある程度鍛えるとスキルになるのでは?という説

俺も投擲術は鍛えてるけど、やっぱり自分の使える闘い方では1番居合が強いし、なんならLv.1の居合でも普通に投擲とかよりも上手かったし強かった。あと、父さんも俺と似ててスキルが一つしかないそうだけど、《武芸百般》っていって全ての武術が統合されたスキルらしい。

正直チートだし、何でそんな強いのに本編にいなかったの?って感じだけど、実は昔は複数個スキルがあって鍛える内に合成されたらしい。

そういう理由で1つ目の仮説を立ててみた。

だけど俺の本命はこの2つ目の仮説、スキルとは才能の発露であると言う説。

これは結構当たってるんじゃないかと思う。これだったら俺が生まれた時からスキルを持ってたことも説明できる。

1つ目の説でいくと、生まれた時からスキルを持ってるのはどういうこと?ってなるからな。

これまで俺の家の門下生とかにも色々と教えてもらったんだけど、あんまり後からスキルが身につくことはないらしい。もちろんそういうケースもゼロではないけど、後から見につくのは大抵もとから上手にできてたものらしいから、やっぱりスキルっていうのは本人の才能を表してるんじゃないかと思う。

 

まぁ大体この五年間で得た収穫はこれくらいかな。

やっぱり武術を学べる所に生まれたのは大きかったな、正直才能ない上に努力の方向性が分からんかったらどうしようもないし。そういう所でいうと父さんさまさまだな。

そういや父さんに今晩部屋に来いって言われてたんだよな。

正直父さんが呼び付けてくる時は大体碌なことがない。三日三晩山籠りさせられた時も呼び付けられたし、一日中門下生と真剣で組み手した時も部屋に呼び出されたし。

まぁ行くしか選択肢はないんだけどね。行かなかったり、時間に遅れたら地獄を見るのは分かってるから。(実証済み)

 

 

はぁ...嫌だなぁ...もう扉の前まで来ちゃったよ。なんかめちゃくちゃ嫌な予感がするんだよなぁ。行きたくないなぁ。

まぁしょうがないか、覚悟を決めよう。

 

「失礼しまーす」

 

俺が意を決して部屋に入ると、黒い髪を後ろで束ねており、着物的な服を着崩している、細身であまり強そうには見えない男が座っていた。

 

「おっ、来たか」

 

心なしか少し楽しそうな俺の父親は前置きもせずに、一言言い放った。

 

 

 

「明日、お前を殺すからな。剣の準備をしておけよ」

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・は?

 


ハーメルンにも連載しています

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