表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

65/71

43体目 生体模写レベル3

 地下界から来訪した2人は、しばらく観光してから戻るらしい。

 イレギュラーゲートについてはクマーが調査を続ける。

 だが地下界の友好関係を築けていない国へ入り込むのは危険だ。

 クマー自身も、あまり期待しないでくれと言っていた。


 自衛隊などの機関に頼むことも不可能だ。

 潜んでいる尖兵はドーレだけではない。

 地下界は一般人からすれば異世界のようなものだ。

 大々的に干渉を始めれば、天上界の者たちが動いてしまう。

 地上に攻めてこないのも、そういった抑止力があるからかもしれない。


「ご主人様はそういう本も読むんですね」


 オレは現在あちこちで、天使や悪魔の伝承やら歴史を調べている。

 分身を使えば多くを一気に知れる。

 ちなみに話し掛けられた分身とスイカが居るのは図書館だ。


「参考にしようと思ってな。全然ならないけど」


 本に書かれているものは、どれもこれもフィクションばかりだ。

 たまに真実を記したらしき本も見つかるが、虚実か真実かの判断ができない。

 これならレイナやクマーに聞いた方がためになる。


「あーしのこと知ろうとしてくれてるのぉ? 嬉しいなぁ……」

「それもあるけど、イレギュラーゲートの前例がないかを調べてるんだ」


 不毛なので帰宅も考えたが、スイカは気になる本が多いらしい。

 夕方まではここで時間を潰そうと思う。


 しばらくすると、メールが入ってきた。

 送信者は双樹だ。

 クマー曰く、異世界からの助力を得るために、上司の天使に送り込まれたのだったか。


 件名は『アタニウムカップ優勝』。

 アタニウムとは、異世界に存在する鉱石の名前だろうか。

 内容は説明不足がかなり目立つ。

 帰還に一歩近づいたということはなんとか読み取れた。


「知り合いからのメールぅ? 双樹って見えたけどぉ……」

「ん?」


 ドーレの問いに対して、オレは脳をフル回転させた。

 言って良いことと悪いことを考え、即座に答えを出す。


「知り合いだけど、行方不明になってるやつからのメール」

「行方不明なのにメールはできるのぉ?」


 これらの問いには答えても問題ない。

 双樹が異世界に行っていることは、天上界からは不評を買いそうな内容だ。

 しかし警察にも高確率で尖兵が紛れているから、既知(きち)の情報なはず。

 ここで誤魔化してしまえば逆に、なぜ誤魔化したと勘ぐられてしまう。


「詳しくは分かんないけど、異世界に転移させられたとか書いてあったな。なぜかオレにだけメールできるみたいなんだ」

「ふぅん? そうなんだぁ……」


 本当に、なぜオレにだけメッセージが来るのか分からない。

 何か事情があるのだろう。

 だが双樹(やつ)はそれを記してこない。

 こちらからも様々な手段で連絡を取ろうと試みているが、上手くいかない。


「それより全体の体力が足りなくなってきた。回復頼む」

「いいよぉ!」


 ドーレはオレに抱きつき体力を譲渡してくる。

 最近は魔力を体力に変換する技術もSPを使い上達させたらしい。

 魔力の回復速度と相まって体力を大量に回復してくれる。

 補給役としてかなり優秀だ。


『レベルが17アップしました』


 1度経験値を本体に還元してみればこの通り。

 緊急クエストで強敵を倒した際にもお目にかかれるようなレベルアップを成した。

 たった半日でこれだ。

 体力不足の問題が解決して、分身の数を爆発的に増やせた結果だ。

 現在は集中力が切れないよう、分身の数は48体に制限している。

 快適に過ごせる程度に抑えても48体だ。

 あらゆる効率が恐ろしいほど上がった。


 体力の補給には時間を要するため、長時間ドーレとスキンシップを取れるのも悪くない。

 当然、天上界の(ゴミ)を裏切らせられる可能性を少しでもという意味だ。

 周りからの目線は痛いが、砂鉄のようなメンタルでやり過ごす。

 砂なためこれ以上砕かれることもなく、鉄のように吸水率の低い精神だ。


『レベルが2アップしました』

『レベルが1アップしました』

『レベルが3アップしました』

『レベルが2アップしました』

『レベルが2アップしました』

『レベルが1アップしました』

『レベルが3アップしました』

『レベルが1アップしました』

『レベルが3アップしました』

『レベルが2アップしました』


 夜はガンガン行こうぜなスタイルで分身を10組に分けて狩りに行かせた。

 これでどの階層での狩りが効率が良いかを判断して、後日に活かす。

 レベル400を超えたが、500ぐらいまではペースを維持できるだろう。

 その頃には生体模写のレベルも上がる。

 まだまだレベルアップの加速が止まる気はしない。


 そして11月も終わる頃には、レベル488になりSPは10残った。

 肝心のレベル3に増強した生体模写は、分身の限界数は変わらない。

 予想通り、模写が可能になるための条件が緩くなった感じだ。

 初対面の相手でも、1時間も話せば模写体を出せると思う。


 過去に一定期間を過ごした人でも可能だ。

 初期頃のパーティーメンバーやレイナ辺りなら模写できる。

 ただし対象の魂に触れる必要があるため、これまで通り手の届く範囲に居なければならない。





 次の階層に挑むにはステータスの不足感がある。

 510階層のボスには勝てるだろうが、このまま挑んでも効率の悪い進行になる。


 集中的に肉体を鍛えることも考えたが、それだけでは不十分。

 実のところ最近は分身の性能も上がり、本体以上のパワーを出すことが可能となっている。

 ただし体力の消耗が激しくなる。


 歪な姿になるが手足の筋肉量を増やしたり、本数自体を増やしたりだ。

 しかし分身の形を崩すのはメリットよりデミリットが多いため不採用としている。

 錬斗との模擬戦で巨人ごっこをしたりアシュラごっこをしたりはたまにする。


 ここから先のボスは強力な攻撃なくして勝てはしない。

 爆弾などに頼るのもすぐに限界がくる。

 ならばやることはひとつ。

 必殺技の修得だ。


・生体模写レベル3【増強必要SP318】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!

執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ