表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/71

マイナス4体目 古き友

 夏休みの終盤。

 オレはようやく、レベル2桁に乗った。


 魔法も制御は難しいが、簡単なものは使える。

 得意なのは風の属性。

 火や氷も使えなくはないが、戦闘中の使用はまだできない。


「はあっ――!」


 武器に(まと)った風の刃を飛ばし、(はち)(がた)の魔物を切り裂いた。

 第3階層のここではオスしか出ないため、毒針は無い。

 50cmを超える恐怖を駆り立てる姿に反し、危険度は低い。

 だが首などに攻撃を受ければ致命傷になりかねない。

 注意は必要だ。


『レベルが1アップしました』


 これでレベル11になった。

 レベルが上昇して魔物とのレベル差が開くと、獲得できる経験値は減っていく。

 魂の質が自身のものより劣り、質を向上させ(づら)くなるという理屈らしい。


「やっとレベル11か……。21にするのが大変なわけだ」

「安全を考えると1層でレベル6。10階層以降は階層プラスレベル10は欲しいからね」


 第3階層の安全マージンはレベル9。

 そろそろ5階層に進む頃合だ。


「10層のボス戦は怖いから、もっとマージン取りたいな……」

「仲間も必要だよね」


 第10階層の主柱に存在するボスは、上に挑戦したいなら回避できない試練だ。

 ボス戦を(きら)い、ずっと10階層以下での活動だけという者も居る。

 10階層で勝てても、ボス戦がトラウマになり20階層のボスに挑まない者も多い。


「まだ先になるだろうけど、臨時パーティーでも挑めるよ。私が手伝ってもいいし。一番は連携を上手く取れる相手を見つけることだね」

「……まだ中学生だし、ジックリ考えるかな」


 ボスが現れる部屋には、最大4人までしか入れない。

 突破済みの者や高レベルの者に手伝ってもらうことは可能だ。

 しかしその場合、過剰な協力と魔塔に判断された場合、次の階層への挑戦権を得られない。


 今後ものぞみと2人で活動するなら、手伝ってもらうのもひとつの手だ。

 しかし上の階層に挑むつもりなら悪手。

 手伝ってもらうか追加メンバーを探すかは、ジックリ決めればいい。

 この時はそう思っていた。





 追加のパーティーメンバーは、すぐに見つかった。

 それは夏休みが終わり、2学期の初登校日のこと。


「聞いたぞシュナイダー! 貴様、冒険者になったらしいじゃないかっ!!」

「……まあな」


 オレを≪シュナイダー≫と呼ぶのは、≪清川(きよかわ) 幸助(こうすけ)≫。

 小学校の頃、科学クラブで一緒にバカをした仲だ。

 清川は科学関係の動画投稿者でもある。


「実は(おれ)も今年冒険者になってな。魔塔の動画を上げていこうと思っているんだ。一緒に――」

(いや)だ断る」

「やらないか……」


 動画を自作して(さら)すなど、羞恥心(しゅうちしん)が限界を超える。

 なので清川が言い切る前に断った。


「まあ待て。同期(どうき)(おな)(どし)の仲間も居るんだ。合わせて4人というのも、丁度良いだろう?」

「だからって動画は嫌だよ。面倒臭い」


 オレの言う面倒臭いは、別の意味で発することが多い。

 ≪ままならない≫だとか、≪窮屈(きゅうくつ)≫という意味が込められている。

 ようは許容できないと言っているのだ。


 相手が強く望めば、行動に移すことはある。

 しかし繰り返し面倒臭いことをされると、ブチ切れる自信がある。


「……よし! こうしよう!! 動画に写ったり編集などを手伝えとは言わん! だが、活動事態は許容してくれ! これならどうだ!?」

「……妥協点としては良いけど、のぞみに相談しないと。もう1人はどんな人?」


 パーティーを組むのなら、相方にも相談しないわけにはいかない。

 残り1人がどういった人物かも気になる。


「む……。そうだな。ならばさっそく――」

「ダメよ幸助君。もう授業が始まるわ」

「いや、だが……」

「はいはい。続きは昼休みか放課後ね」

「ああっ! 待て! 待ってくれ愛香(まなか)!!」


 清川を連れて行ったのは、≪赤城(せきじょう) 愛香(まなか)≫さん。

 2人は付き合ってこそないが、周りにはバカップル扱いされている。

 さっさと付き合ってしまえ。





 放課後はファミレスにて、同期の仲間という者を紹介された。

 身長が低い、細身の男だ。

 受験しようと考えている学校の、中等部の制服を着ている。


「というわけで、こやつがオレの仲間(バディ)の、≪クマー≫だ!」

「ボクの名前は≪久野(くの) 真冬(まふゆ)≫。冒険者ネームは(ミノル)だったんだけど、(きよ)ちゃんが≪クマー≫の方が良いって言うから最近変えたんだ。キミらもクマーって呼んでね」


 相手が冒険者なら、冒険者ネームで呼ぶのがマナーだ。

 臨時パーティーを組んだりした際、防衛的な意味で所在バレを防ぐ目的もある。

 冒険者カードの名前は、申請すれば変更可能だ。

 女性がニックネームを使うのは珍しくない。

 なぜか周りに居る3人は、女性が本名で男性がニックネームだが……。


「小並塔也。冒険者ネームはトウヤだ。よろしく」

「……ん? …………ああ思い出した! 保育園の時一緒だった小並ちゃんだ!」

「……誰?」


 保育園の時と言われても、知り合いの名前などほぼ憶えていない。

 名前だけでは、誰のことなのか分からない。


「よく一緒にお遊戯とかサボったじゃん。覚えてない?」

「ああ、アイツか……」


 深くは思い出せない。

 しかし、どういった付き合いだったかはなんとなく覚えている。


「いやぁ、()れ者同士、やっぱ引かれ合うんだね! また一緒に遊べるなんて楽しみだなぁ……。折角だしこれから家にお邪魔してもいい? それともゲームセンターがいいかな? ああでも……! ん~」

「……お前って、そんなにおしゃべりだったか?」


 覚えが正しければ、部屋の隅っこで体育座りを延々としているタイプだったはず。

 表情も笑顔が張り付いていて、少し不気味さすら感じる。


「……おしゃべりなのは元からだよ。小並ちゃんの覚え違いでしょ」


 その時のクマーは、顔は笑っているのに目が笑っていないように見えた。


―キャラクター紹介②―(1体目の時点)


絆地(ばんじ) のぞみ  冒険者名:のぞみ


髪:桜色・ツーサイドアップ(中学生から高校始めはサイドテールやポニーテール・ツインテールなど)

目:桃色

年齢:19歳(現13歳)

誕生日:2月13日

身長:152cm(現148cm)

体重:45kg前後

一人称:私

武器:弓・ステッキ(短杖)


夢:大きな夢を持つ人の応援

行動理念:人助け


性格:単純一途

趣味:家庭菜園・裁縫


____

履歴


 小学5年生の頃に小並塔也が在籍する学校へ転校。

 同じ保険係なため知り合いよりは関係良好であった。

 時間を掛け、塔也の何気ない気遣いに惹かれてゆく。


 中学生になると、友達の援護もありより親密になった。

 しばらくすると塔也の家族が失踪。

 親に頼み賛成を得て家に迎え入れた。

 以下略


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!

執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ