表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/71

マイナス17体目 役割演技

 ある日、冒険者カードを確認した時にはこの能力があった。

 画面の説明文にはこう記されている。


________________________


能力

・役割演技:--【成長限界】


・本心から想えば新たな心を生み出し、なりたい自分になれる


________________________


 説明文を見ても謎だった。

 レベルが無いのは、覚えようとして覚えられる(たぐい)の能力ではないということだろう。

 役割演技(やくわりえんぎ)――英語で言うならロールプレイだ。

 ネットで調べてみるも、この能力がヒットすることはなかった。

 説明文といい、能力名といい、一体どこの誰が記しているのか。

 多く存在する魔塔の謎のひとつだ。


 思い当たる発生原因はある。

 解離性障害(かいりせいしょうがい)

 極度のストレスなどから心を守るために発生する、多重人格の障害がある。


 原因は明白だ。

 のぞみのことを想う両極端な感情の落差に耐えられなくなり、片方の気持ちを切り離し押さえ込んでしまったから……。

 相反すると思っていた(・・・・・)2つの感情を長く持ち続けた結果、別々の自分として共存したのだ。

 今ではのぞみを(きら)う自分も、もう1つの感情も認めている。

 


 目覚めた能力はもう1つある。

 ≪実体具現≫だ。

 役割演技が切っ掛けだと思う。

 鍛えてもいないのに、ここ最近なぜか分身の能力レベルが徐々に上がっていたのだ。

 49からは頻繁にステータスの確認する日々を送る。

 そしてレベル50にると同時に、2つの能力が発生した。


 無自覚に発生した役割演技とは別で、実体具現は芽生えただけだ。

 修得するのに必要なSPは、28……。


「28……なのは良いとして、具現ってなんだ……? まあいいか」


 本来現れる予定だった能力は、実体分身(・・)だ。

 なぜ具現という文字が使われているのかは分からない。

 考えても無意味そうだったので、「多分、役割演技関係だろ」と思い、考えを放棄した。





 卒業するまでは、実体具現を覚えるために訓練を重ねる。

 そして必要SPが減るのと同時に、分身のレベルも上がった。


 卒業して冒険者ギルドへの就職すると、いきなり新人の担当を任された。

 実体具現は覚えたいが、急いではいないから仕事を請け負う。


 担当するのは通例通り2名。

 ただし、初めから特殊能力を持つ金の卵たちだ。


「よ、よろしくお願いします……」


 1人目は、智恵さんの家族が経営していた施設に居た子。

 ≪藤嶺(ふじみね) こむぎ≫という、猫らしき種族とのハーフだ。

 出ている特徴は、猫耳と尻尾を生やしていて、人間の耳も含めて耳が4つあるぐらいか。

 先に貰った書類を見た時は、時の流れを感じたものだ。

 智恵さんが亡くなってから、もう4年が経過している。


「ふーん……。あなたが先輩ッスか。オレは≪別井(べつい) 双樹(そうじゅ)≫! どうぞよろしくッス!」

「あっ。あたしは藤嶺ふじみねこむぎです! 冒険者名はムギです!」


 もう1人は人間の男性。

 金髪長身の中学3年生だ。

 受験を控えているタイミングで冒険者になるとは珍しい。


「冒険者名かぁ……。先輩はなんて名前ッスか?」

「トウヤだ、しばらく面倒みることになるから、よろしくな」





 2人への指導を行いつつ、1年が経過。

 平日は午前中に100匹のノルマを倒し、午後に時々面倒を見る毎日。

 そして冒険者になり6年の時が経つ頃になる。


「100匹目……!」


 ついに修得必要SPが5にまで減少。

 自身のレベルも52となり、SPが4ある状態。

 後一歩でレベルが上がり、実体具現を覚える時が来た。


これにて第1章完結です。

幕間とキャラ紹介(追記あり)を挟んでから第2章へ入ります。



1章というひとつの区切りということで

これを機会に本作を読んで少しでも応援したいと思っていただけたなら


・ブックマークへの追加

・ポジティブな感想やレビュー

・画面下の「☆☆☆☆☆」から評価をして応援していただけると

とても励みになります。


何卒よろしくお願いいたします!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!

執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ