クルトが帰宅する。
夕方になった。シロイの父、クルトが帰ってきた。いったい、どこで何をしていたのだろうか。
「どこにいたの。」シロイは聞いた。
「用事があった。」クルトはそう答えた。
「どんな用事さ。」
「用事だよ。」クルトはそうとしか答えなかった。
クルトは非常に気難しいところがある男だった。愛想もよくなく、いつも、ひとりだった。彼を幼少期のころから知る人によれば、こどもの時からずっとそうだったらしい。生まれつきだそうだ。普通だったら、こんな村のはずれには住みたがらない。しかし、彼は自分からここに家を建て、住み始めたのだ。
シロイは、村長に言われたことをそのまま、伝えた。
「何。」クルトは言った。
「どうするの。」シロイは聞いた。
「行かないといけないから、行く。」そうしたくないことがひしひし伝わってきた。「明日の準備をする。」
そういうと、父はそのまま、自分の部屋へと向かって行った。しかし、部屋にはいる直前に、シロイに聞いた。
「そういえば、昨日、夜中に起きていたか。」
シロイは答えた。「ずっと、寝ていたよ。」
「夜中に外に出たりしていなかったか。」クルトはさらに聞いた。
「いいや。でていない。」