夜。シロイの家。
夜である。シロイは自分の家にいた。クルトもいた。シロイは、自分の部屋で明日の準備をしていた。明日の朝にはもう出発である。旅の支度である。父親に手伝わせるわけにもいかなかったので、一人でやっていた。急に旅をしないといけないとなると、どうしても、慌ただしい。
そこにクルトが隣の部屋からやってきた。
「どうしたの。手伝ってくれるの。」シロイは言った。
「荷物を多く持っていかないようにしなさい。」
「どうして、さ。」シロイは聞いた。
「もしかしたら、持って帰ってこれないかもしれない。いつ帰ってこられるかわからないのに、持っていってもしょうがない。」
そう言われて、シロイは目の前の荷物の山を見た。そう言われたらそうかもしれないと思った。
「カバンひとつだけにしておくんだな。邪魔になったら、どうする。ミドリちゃんに持って帰らせるわけにもいかないだろう。」
「そうだけどさ。」
「明日、一緒に行くことになったのだろ。あと、それと。」
「何。」シロイは聞き返した。
「出発の前に母さんの墓にちゃんとお参りしておきなさい。」
「わかっているよ。それくらい。」シロイは言い返した。




