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村長、シロイに頼み事をする。

 話はその数日前に遡る。

 この世界とは別の世界があった。その世界のとある国のとある小さな村があった。

 その村の村長に知らせが届いた。遠い親戚が亡くなったという訃報だった。どんな人物だったかはわからない。付き合いがあったわけではない。会ったことはあったらしいが、何十年も前の話である。顔もどんな人だったか思い出せない。

 人が亡くなったら、葬式が行われる。その葬式に出なさいという手紙だった。しかし、葬式が行われる親戚が住んでいた街はこの村からとても遠い。行くまでで一苦労だる。それでも出るべきかもしれないが、村長は行かないことにした。

 行かないことを決めたら、行かないことを返信しないといけない。そして、その手紙を送り返さないといけない。手紙を書いたら、それを運ばないといけない。手紙を届けるには、誰かが運ぶ必要がある。

 自分が届けるわけにも行かないので、村人の誰かに届けてもらうことにした。誰がいいか考えて、クルトという男にそれを頼むことにした。

 クルトの家に行くと、クルトはいなかった。クルトではなく、シロイという彼の息子が出てきた。

「クルトはいるかい。」村長は尋ねた。

「父はいません。出かけているみたいです。」シロイは答えた。

「そうなのか。いつ、帰ってくるかわかるかな。」

「わかりません。帰ってきたときには、父はもういなかったので。」

「そうか。」と村長は言った。いったいどこに行ったんだろうかと考えた。だが、探しまわるのには骨が折れる。

 村長は、親戚の訃報のことを伝えた。そして、訃報の返信を届けて欲しいとのことも伝えた。

「隣村に行くまででいいんだ。そこから先は、やらなくていい。」

「わかりました。つたえておきます。」シロイは答えた。

「他にも、運んで欲しいものはあるだろうし、隣村に言ったら、この村に届けて欲しいと言われるものもあるだろう。よろしく頼んだぞ。」

村長は、村へ戻ろうとしたが、ふと思い出して、もう一つ付け加えた。

「そういえば、ルルちゃんの結婚、延期になったらしい。」


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