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シロイの村、襲撃される(7)
「ダメよ。」と誰か女が叫んだのが聞こえた。きっと母親だろう。
その少女は男が自分のほうに向かっていることに気づいた。しかし、動くことができなかった。しかし、そばに少年がいたことに気づき、そばにいた少年に駆け寄っていった。少年は15歳ぐらいの年齢だった。
「シロイ。」村人の誰かが言った。どうやらその少年はシロイという名前らしい。
「お前は」ローブの男にはその少年に見覚えがあった。「山のふもとの家に住んでいるものだな。私に気づいて、あとを追いかけていたのか。かなり強い魔力を持っているみたいだな。ともかく、そのこどもを私に渡しなさい。」
しかし、シロイという少年は言われた通りにしなかった。少女を抱きかかえて、渡そうとしなかった。
「いやか。」と男は言った。「渡しなさいと言っているんだ。」男は言った。しかし、シロイは何も言わず、やはり渡さなかった。
「シロイ、逃げるんだ。」と村人が離れたところから言ったが、村人は近寄ることができず、手を出せないようだった。