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タナカくん、異世界に到着。
トラックに跳ねられたのだから、タナカくんはアスファルトの上に横たわっているはずであった。しかし、目を開けたら、タナカくんは、道路の上ではなく、舗装されていない地面の上にいた。そして、周りを見たら、今までいた場所とは全然違う場所にいた。
「ここは。」タナカくんは辺りを見渡した。森の中にいた。トラックはなかった。ビルも建物も何もなかった。自転車も消えていた。自転車のカゴに乗せてあった鞄も無くなっていた。
「どうして、こんなところに。」
そう言っても、誰も答えなかった。
「いったい、どういうことだ。」
そして、自分が全く怪我をしていないことに気がついた。トラックに跳ねられたのだから、とてつもない衝撃を受けたはずである。しかし、自分の体に傷は一つもついていないようだった。痛みも感じなかった。動かなくなっているところもなさそうだった。
なぜ森の中に自分はいるのだろうか。
「何しているの。」