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ノエル、山へ(3)
山の中に入るのはひさしぶりだった。そして、ひとりだけで入るのははじめてだった。いつもは大人や自分よりも年上のこどもと一緒に入っていたのだ。
野草集めするだけのために、わざわざ、山の奥深くに入る必要はないだろう。しかし、一応、帰れなくならないように、山の奥に入らないように、気をつけるようにした。
そうしているうちに、入ってすぐの樹のそばに探していた野草が生えていることに気づいた。あっという間に見つかった。ほかに生えているのもすぐにみつかるだろう。そう思いあたりをみわたした。
すると、すぐ近くに、別の野草がみつかった。そうもしているうちに両手がふさがる程度に集まった。もう十分
だろう。むしろ、多くとりすぎたかもしれない。こんなにもいらないといわれてしまうかもしれない。ノエルはそう思った。