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ノエル、山へ(2)
ふと考えた。北には山がある。山の中には森がある。そこは野草が生えている。名前は忘れてしまった。
その野草の葉をすりつぶすと、塗り薬になる。肌荒れに効き目がある。村人のなかにも、山からとってきて、薬として使っている人はいる。ただ、なかったとしても、困るようなものでもないため、わざわざ採るためだけに山に入る人はあまりいないらしい。
もしかしたら、その野草を採ってきて、ルルに贈ったら、喜んでもらえるかもしれない。嫁いだ先で使うこともあるかもしれない。
そういうことを考えているうちに、ノエルは、山に行くことに決めた。
周りには、内緒である。誰かに知られたら、止められてしまうだろう。ひとりで行くのだ。