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エンド5 他人にエンドを与えよう

「セプティア。何のようだ?お前の形見のために王城へ盗みに入るなんて無謀なこと、協力できないぞ」


「分かってる。それはコイツがやってくれることになった。そこで、こいつに最低限の戦闘能力をたたき込んで欲しい」


「ほぅ。そうなのか。……若造、ムダなことに命を使うもんじゃねぇぜ。人生は1度きりなんだし」


入れ墨の男があきれたような目で聖夜を見る。

セプティアはむっとしたような顔をしたが、聖夜は別の感情が湧いていた。

 ーー若造なんて言われるの、久々だな。なつかしぃ~。


「まあ、問題ない。国は俺が命を散らすのは困るはずだ。なんてったって、俺、勇者だし」


聖夜はそう言って胸を張る。

入れ墨の男は、その言葉に目を丸くした。

そして、疑うような目で聖夜に尋ねる。


「はぁ?なんで勇者がこんな所にいるんだよ。王族に従って、魔物は殺さねぇのか?」


「しねぇよ。俺は、剣だけ与えられて放り出されたんだからな。奴らに一泡吹かせてやらないと気が済まないんだ」


「……ふぅん。分かってはいたが、王族たちも大概だな」


入れ墨の男は微妙な顔をした。

口では同情したようなことを言ってはいるが、まだ、聖夜を信用できていないようである。

だが、数分後。


「いやぁ!!いいなぁ、お前!!最高だぜぇ!!勇者のくせになぁ!!」


「あぁ?お前だって賊のくせに良い性格してるじゃねぇかぁ!!……おっと、酒がなくなってきてるぜぇ」


聖夜はボトルをとって、入れ墨の男のコップに液体を注いでいく。

中身は勿論、酒だ。

酒を飲んだ影響で、聖夜は入れ墨の男と打ち解けていた。


「おぅ。俺も無くなったからくれよぉ」


「あぁ?自分でやれよぉ。仕方ねぇな」


打ち解けたのは、入れ墨の男だけではない。

建物内にいた他のモノたちとも友好関係が築けていた。

その光景を見て、聖夜をここまで連れてきたセプティアは唖然としている。


「こ、コレが勇者の力と言うことか」


セプティアは、そういうことで納得した。

だが、決してコレは勇者の力ではない。

これは、頭がぼぉっとして皆ハッピーになる酒の効果なのだ!!(未成年の飲酒は法律で禁止されています。聖夜は見た目が10代後半なだけで、歴とした40代です。)


「よっしゃぁ!!セーヤ!今日からお前は俺たちの仲間だぁ!!」


……それから数日後。

聖夜は、改めて王城を眺めていた。

ついに、作戦実行の日となったのだ。


「おい。そこの兵士。王と面会できるか?」


「は?何を言って、……って、神の使い様じゃないですか」


兵士が、聖夜のことに気付いた。

聖夜は笑顔を見せて、肩をすくめた。

それにつられ、兵士たちも苦笑する。

 ーー俺の顔を知っていたか。足早に城は立ち去ったから、シッカリと顔を見せた覚えはないんだけどな。


「それじゃあ、ちょっと上に報告してきますね。申し訳ありませんが、しばらくお待ちください」


「ああ。そうさせて貰うよ」


門番の1人が背を向けた。

聖夜は、他の門番に近づいた。

直後、聖夜の服が赤く染まる。


「あぁ。君、ちょっと待って貰える?」


「ん?何です、ガハッ!?」


報告に行こうとした兵士は血を吐き、聖夜の服を更に赤く染めた。

その手の剣は、4人の命を刈り取り、以前までとは違う、危ない輝きを放っている。

聖夜は、赤く染まった姿で王城へと近づいた。


「な、何だ!?」

「え?神の使い様!?どうして!?」


慌てる兵士たちに聖夜は近づき、容赦なく切り捨てていく。

流石に兵士たちも状況を理解できたようで、聖夜に剣を向けてきた。

聖夜が、その命も刈り取ろうと冷たい目を向けたところで、


《実績『人間5人以上殺害』達成》

《攻撃力が5パーセント上昇します》


いつもとは違う声が響いた。

これは、死んだことを告げる声ではない。

では、何かといえば、聖夜のチート能力の1つである。


聖夜のチート能力は2つ。

1つはエンディング回収で、もう1つが、実績だ!!

今回の声は、実績の方の効果である。


「攻撃力上昇。悪くないな」


聖夜はそう呟いて、兵士に剣を振った。

だが、その剣は命を奪うことはなかった。

キンッ!と金属のぶつかる音がして、聖夜の剣は止まる。


「まあ、流石に兵士なだけはあるな」


「神の使い様!どうしたというのですか!?」

「その剣をお収めください!こんなこと、神は望んでおられませんよ!!」


兵士たちは、聖夜を止めようと訴えかける。

が、勿論聖夜はそんな言葉に耳を傾けない。

聖夜は、状況について行けていない新人らしき兵士たちに狙いを定めて攻撃していく。


だが、対する彼らも国の要の王城を守る兵士。

異世界に来たばかりの平和ぼけした人間に負けるわけが、

ないということもなく。


「うわぁぁぁ!!!????」

《実績『人間10人以上殺害』達成》

《攻撃力が5パーセント上昇します》


「「ギャアアァァァ!????」」

《実績『人間15人以上殺害』達成》

《攻撃力が5パーセント上昇します》


兵士たちは楽に殺すことができた。

次々と殺されていく仲間を見て、戸惑う兵士たち。

そんな兵士たちを見ながら、聖夜は暗殺者ギルドのモノたちに教わったことを思い出した。


『いいか。ある意味城の兵士たちは、真面目な戦い方しか知らない。暗殺、自爆特攻者の対処。そんなモノはお手の物だ。だが、』


『だが?』


暗殺者ギルドの男は、そこで1度言葉を切った

聖夜は何が言いたいのかと首をかしげる。

すると、男は自信満々の顔で言い放った。


『だが、奴らは酔っ払いみたいに不規則で不合理な動きに弱い!しかも、見た目が正気なのに、合理性のない動きをするとさらに弱い!!』

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