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139/152

139:ハリネズミ大量発生中

 大量発生したハリネズミたちを、フレーシュはどうしたものかと眺める。


(放っておいても大丈夫そうかな。地面に落ちている武器は念のため回収して破壊しておこう)


 部下に指示を出していると、不意に近くから濃い魔力の気配がした。

 振り向くと、最近喧嘩別れした兄弟子が立っている。

 にやにやと笑う彼の様子を見て、フレーシュは今の惨状の理由を察した。

 彼がわざわざ、大嫌いなフレーシュの傍に姿を現した理由も。


「どうだ、傑作だろ」

「やっぱり兄弟子殿の仕業だったみたいだね。ねえ、あの趣味の悪い形状の武器は、なんなの?」

「モーター教から俺のところに、短納期の依頼が来たんだ。五百年前の例の武器と全く同じもんを作れって。腹が立ったから、見た目をそのままに、中身を改良してやった」

「それでハリネズミ……」

「ああいう、ちまちました生き物は、アウローラが喜びそうだろ。何匹か捕まえて、プレゼントする予定だ」

「たしかに、僕も同じことを思ったよ」


 二人とも、アウローラの弟子だけあって、彼女の好みは熟知している。


「俺はこれから、このふざけた武器を発注した奴をシメに行くつもりだ」

「え、それなら僕も行く」

「お前、王位争い中だろ」


「モーター教がいなければ、部下たちだけで余裕だよ? 好きなときに王位に就けるように、すでに根回しは完了しているんだ。だって、完璧な状態で師匠を迎えたいし。師匠にケチをつけそうな要因は、予め潰しておかないとね」

「そういうところだけ周到だな」

「前世と同じようなことになったら困るし? 自分の居場所は掌握しておかないとね」


 前世でフレーシュと王は親子だった。

 事なかれ主義の国王と、魔力の多さ故に虐げられてきた第二王子。

 二人の仲は修復不可能なくらいこじれていて、フレーシュはある程度王宮に嫌がらせをしたあとは極力関わらずにいた。

 あのとき、全部潰して自分が王位に就いていれば、アウローラの助けになれたかもしれないのに。

 五百年前の自分の未熟さを、フレーシュはずっと悔いていた。

 今度は絶対、同じ道を辿らない。

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