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東の聖女 帝国一掃編 


質素な白いワンピースに身を包み、神殿で祈りを捧げる乙女がいる。


東の神殿の聖女で耀く銀髪のストレートに流れる髪に節目がちな長い睫毛に隠されたベルベットの瞳。肌は雪のように白く、今にも倒れそうな程に華奢な身体をしている。


マリアの見た目は16歳程度だろうか。

曖昧なのはマリア自身がこの世に生を受けてから数えると一年しかたっていないからだ。


しかし、マリアも周りも違和感はなく過ごしていた。

ただし日に日にマリアへの期待の目には心労さえ感じさせる。


自分が他者と変わっていることは理解していた。

言葉も知識も誰にも教わることなく、自然と身についており、そのうえ異様な出生もある。


父のように可愛がってくれた神官長は、ある事件以来マリアを神殿の人以外を合わすことを極端に嫌がった。


今この世界は戦にまみれている。人のドロドロとした自己勝手な欲望が渦巻き、弱者を食い物にしている。


マリアの能力は、ジャッチメント


マリアの瞳にとらわらてしまうと奥底に眠る本当の自分を覚醒させてしまい、善なら手助けをし、それが悪なら死にいたらしてしまう






「この国の太陽と月にご挨拶を。大神官のナサラとこちらの娘はかの聖女であるマリアでございます」


マリアが初めて皇宮を訪れたのは先月だ。

言葉や知識があらかたものになり、聖女として活動を考えたからだ。


「おお、よく来たな!そうかそうか、この娘がなぁ。良きに計らえ」


この国の皇帝、カイロスは銀髪に白い肌で生粋の東の国の容姿をしている。ただし、だらしなく太った体型に華美な装飾でマリアを見定める嫌らしい視線。


マリアにはこの皇帝が戦争と貧困に喘いでいる国の皇帝とは思えなかった。


「カイロス様はこんな奇妙な生まれの小娘に何が出来るとお思いですかぁ」


皇帝の足元にだらし無くもたれ掛かる派手な装いの女、側室のキャロラインが甘えた声で皇帝に訴える。


「キャロライン!この場にいることすら許されないのに、その発言はなんですか!!神聖なる神殿の者に失礼極まりない」


皇帝の隣の椅子に座っている皇妃のララサが声を張り上げる。皇帝と側室と違い、シンプルな装いの皇妃がこの国の実務をになっているのだろうと感じられる。


マリアは落胆しか覚えなかった。

皇族自体から一新をしなければならないのかと。


落ちた皇帝、虚像の側室、濁った皇妃。


マリアは皇妃の目を見つめながらゆっくりと口を開いた。


「世代交代ではないですか。血ごと丸ごと、ね」


皇妃は神妙な顔で俯く。


「珍妙な事を言うのう〜。またまだ儂は現役だし、皇太子はまだ5歳だわ」

「そうですわぁ、まだまだミロには早いのでカイロス様には頑張って頂かなくてわぁ」


皇帝と側室は冗談と捉えて愉快に笑い飛ばした。


マリアはもう一度皇妃を見つめて、ため息を吐き

訝しげにする大神官と皇宮を辞した。



----



「不思議な少女ね、、、」


皇妃は自室へ戻り、先程の謁見のマリアの言葉を思い出した。


今の皇族と貴族は確かに悪である。

は威厳もない皇帝、権限に媚びる卑き側室。その間に産まれた甘やかされた馬鹿皇太子。


国民から無理な税を徴収し他国を攻める貴族。

果たして私たちは真っ当な治世をできていたのか。


皇妃も最初は皇帝が賢帝なるように側で支えて努力した。皇帝も最初は一緒に頑張った。

ただ、ある日突然、互いの道が別れたのだ。


結婚から2年。周りは世継ぎを望んだ。


だが皇妃は不妊だった。たったそれだけだったのに手のひらを介したように皇帝は皇妃を蔑ろにし、側室を迎えて皇妃のもとに通わなくなった。また皇妃に支えながら行っていた政治にすら関わらなくなった。側室に子供ができ、皇子が産まれた。ますます皇帝は皇妃のことを居ないものと扱った。それでも皇妃は皇帝が戻ってくると信じていた。


だから、自分自身から目を背け、国の現状からも目を背けたのだ。


毎日何処かで人が死に、そんな事を気にせず贅を極める皇族に貴族。皇宮にいるもので意を唱える正義を持った人材はいたのだろうか。


いや、そんな人間はとうに殺されたか他国へと亡命した。


「はははっ!とうに我が国は砂のお城だったのか」


皇妃は涙を流しながら、笑った。

だが、もう後戻りは出来ないところまで来ているのだ


「国民はすでに皇室を見限っている。今更、私にどうこうはできない、とするならば、、、」


マリアのジャッチメントは皇妃も悪と定めた。

皇帝を愛している。ただ、それだけを。



------------


初めてマリアが、皇帝と皇妃と謁見した日に皇妃は皇族を殆ど殺してしまい、マリアに次の皇帝の選定とそれまでの統治を願う伝達をだして自害した。






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