誕生編
聖女伝承、第1章、誕生より
ある満月の夜、1人の妊婦が産気づいた。
小さな村の修道女である彼女は神に使える清らかな処女の身でありながらある日突然、子を授かったのだ。
村人は修道女の不貞を疑った。だが、彼女は神からの御告げがあり、身体をお貸ししているだけだと訴えた。真偽を問うために大神官のいる本殿に彼女は連れて行かれ、十月十日ではなく三ヶ月で急激に腹が臨月ほどに膨らみ出産を迎えたのだ。
彼女は信じられないことに4人の女児を産んだ。
出産を行った産婆は女児を見て息を呑んだのだった。
「なんてこったい、、、こんなこと、ありえるのかい?」
4人は全くと言っていいほど似てなかった。
むしろ恐ろしいほどにそれぞれに特徴があったのだ。
銀髪の白い肌、東の国の特徴
黒髪に浅黒い肌、南の国の特徴
金髪に黄色味のある肌、西の国の特徴
赤髪に桃色味のある肌、北の国の特徴
女児を産んだ修道女が息絶え絶えに掠れた声を発する。
「大神官様達を呼んで頂けますか?」
産婆はうなづいて外で待機していた大神官や神官を部屋へと招き入れる。
女児達の容姿をみて、大神官も息を呑む。
「彼女様達は各国の希望です、、、あの日、神は仰いました」
この世界は東西南北で4つの国分かれている。
つねに領土争いで戦争ばかりをしていて、国民たちは貧困と疲労に満ちていた。
修道女は自国だけではなく、各国への救いを求めたのだ。
「長い時を生きる見守り人を各国へ授けよう。ただし、代償はあるし、能力は1つだけ。その時代や使い方によって善にも悪にでもなるだろう」
「正直迷いました、、、ただ、現状を変えたかったのです。私の選択が間違っていたとしても彼女様達は今私たちの希望なのです」
そう言って修道女は静かに息を引き取った。
産婆とそこに同席していた大神官は辛そうに俯いた。
「私は、この奇跡を信じたいと思う。各国の神殿の長を本殿へすぐに召喚せよ!」
すぐに各国の神殿に伝令がまわり、数刻で移動陣より各国の神殿長がワープしてきた。
「神官長達よ。神は我々に希望を与えてくれた。ここにいる女児達を見よ!数刻前に同腹より一緒に産まれた姉妹よ」
ベットに並ぶ各国の特徴をもっている女児を見て神官長達は息を呑む
「恐れながら大神官様、、、ここまで各国の特徴があり、ましては4人を同時に産むなどありえないのでは」
黒髪の浅黒い肌の南の神殿長が困惑めいた顔で女児を見つめる。
内心が透けて見え、わざわざ集めてきたのかという声が聞こえてきそうだ。
「南のお主はアホか。神のなすことに疑心するのか。わしはこの目で奇跡を見た」
「大神官様、たしかに髪や肌の色など見た目は違えども顔立ちは一緒ですな。あとは成長速度もお気づきでしょうか。」
女児を静かに見ていた北の国の神官長が面白そうに口を開いた。
訝しげに大神官がベットに寝かされていた女児達を振り返る。
そこには生まれたての乳児などいず、スヤスヤと寝息を立てる5.6歳の子供がいる。
「わしはもう驚かん。生まれるまでに三月だったのだ、、、」
大神官は頭を抱えながも各国の神官長に子供を渡す。
「長い時を生き、何か能力があるらしいのが、各国で育てて見守ってほしい。彼女様達は各国の希望だ。まさに聖女となられるはずだ、ら貧困と疲労のこの世界を変えてくださる」
「「「「神の御心のままに」」」」
神官長達は大切に聖女を抱きしめ、各国へと帰っていった




