3.異世界に来て初めてモンスターと戦います
「....ん? 朝か」
日の光が目に差しベッドから体を起こす。
昨日はよく眠れた。
疲れが溜まっていてすぐに寝てしまった。
「んんーー」
背伸びをし身嗜みを整え部屋を出る。
部屋を出ると何やらいい匂いがしてきた。
匂いを嗅いでいると腹がグーっと鳴った。
そういや昨日はすぐ寝たから夕飯なんて食べてなかったな。
階段を降りて台所に行くと机に料理が並んでいた。
「おはよう、その料理ルアが作ったのか?」
「はい、早く起きちゃったので作っときました」
机に並べられた料理は俺が毎日家で作っていた料理より圧倒的に美味しかった。
「そうだルア、俺に剣の使い方とか教えてくれないか?」
モンスターと戦うのなら、初めは魔法とかスキルの必要のない戦闘技術から覚えた方がいい。
それに魔法を異世界転移した俺が使えるかわからない。
「いいですよ、もう討伐クエストは受けてきたのでモンスター討伐ついでに剣の練習しましょう」
「もうクエスト受けたんだ」
「いつも朝にクエスト受けてますし、エミリーとのコネ........繋がりで優先してクエストをくれるんですよ」
商人のおっさんにお礼するのと家の料金払わなきゃならないしクエストはどんんどんやってかないとな。
あとこの世界についてももっと知っておきたい。
.....と言うことでやってきました。
俺は俺のいた森の反対側にある草原に来た。
来て早々に見えたが草原の上で青色の...スライムが跳ねていた。
RPGゲームでよく見るスライムだけど実際に見ると割と可愛い見た目をしている。
ルアは剣の刺さった鞘を二つ持ってきていた。
「今日のクエストはオーガの討伐です」
目の前スライムがこっちを見ている。
「こんなところにオーガが来るのか? 街の近くなのに」
あくまでRPG知識だがオーガは並の人間が何人も集まってやっと倒せるくらいの強さのはず。
まぁ、あくまでRPG知識だが......
それにスライムぐらいのモンスターがいる所にいることはない。
「ええ、前まではこんな所にオーガほどのモンスターは出ませんでした。......ですが最近よく出るんですよ」
「ここら辺はレベルの上がっていない冒険者の狩場なので戦える人がいなく被害が大きいらしくて、エミリーからよく大型モンスターの討伐を依頼されます....報酬は多いので助かるのですが私としては元に戻って欲しいですね」
スライムがこちらに少し近づいてきた。
「あの....俺がまさにレベルの低い冒険者なんですが」
俺多分死ぬよ、オーガに遭ったら。
「大丈夫ですよ、私がなんとかします......それじゃあ、オーガに遭うまで剣の練習でもしますか」
ルアは持っている剣の刺さった鞘を俺に渡した。
「う...重い、よく持てるなこんな重いの」
渡された剣は鉄製でかなり重い。
「使っていれば慣れますよ、じゃあまずはそこのスライムを斬ってみて下さい」
ルアは一番近いスライムを指さした。
剣を構えた、途端に近くまで来ていたスライムが飛びかかってきた。
「わっ!」
咄嗟に剣を縦に大きく振る。
ズシャッ 振った剣はスライムにあたりスライムは真っ二つになり溶けていった。
溶けたスライムから青く半透明なジェル状の物が出てきた
「だ...大丈夫ですか!?」
「大丈夫...それよりこれは?」
俺はスライムから出たジェル状のものを拾った。
冷たく微かに動いているようにも思える。
「これですか?、これはスライムジェルですよ」
「売れるのか?」
「はい、10サットくらいで売れます」
モンスターを倒すとドロップ品が出る、それを売って稼ぐと。
「ところでジェイルのレベルっていくつです?」
俺は剣を鞘にしまった。
「レベルってどこで確認するんだ?」
「ギルドカードに書いてありますよ」
ポケットからカードを取り出し確認する。
名前の横に1LVと書いてあった。
「レベル1だね.....ルアはレベルどんくらいあるんだ?」
「私ですか? 私のレベルは24ですよ」
「......剣士としては弱い方ですけどね」
うん、俺より余裕で強いですね。
まぁ、異世界来たばっかりの俺の方が強い訳ないけど...
「じゃあ、狩っていきますか」
ルアは鞘から剣を抜き構えた。
「ではレベルを上げるためにスライムをどんどん斬っていって下さい、私も一緒に斬ります」
「分かった」
俺は跳ねているスライムに斬りかかった。
「ふんッ」
スライムは簡単に次々と斬れていった。
数匹くらい斬るとポケットからキュリンという音がした。
ポケットの中を確認するとギルドカードが微かに光っていた。
ポケットからカードを出して見るとLVが2になっていた。
もうレベルが上がったのか。
....心なしか剣が軽く感じるような気がする。
少し強くなったのか?
その後もスライムをどんどん斬っていった。
途中ルアから剣術を教えてもらったりして段々と剣の扱い慣れてきた。
....おお、またレベルが上がった。
この調子でレベルを上げてこう........うわっ!
なんだ地面が少し揺れたような気が.....
スライムを倒していたらいきなり地響きのような咆哮が聞こえてきた。
「額に大きな切り傷、隻眼....特徴に合ってますね。 あのオーガが討伐対象で間違い無いですね」
ルアの見る方向には15メートルほどの巨大なモンスターが咆哮していた.....あれがオーガか。
あ......オーガと目が合ってしまった。
「!? こっちに向かってきてるぞ、大丈夫なのか?」
ドスドスとオーガがゆっくりと近づいてきた。
「大丈夫ですよ...任せて下さい」
ルアが剣を構えオーガの前に立った。
オーガはルアの前に巨大な棍棒を持ち立ちはだかる。
ルアと比べるとオーガがいかに大きいかわかる。
正直俺じゃ絶対勝てないだろうな。
オーガはルアが剣を構えると棍棒を振り上げ襲いかかってきた。
ルアは振り下げられた棍棒を華麗にいなし、オーガの首を一斬で斬り落とした。
オーガの体は地面に横たわった。
強っ! 一撃で倒したぞ。