1.寝落ちしたら異世界にやってきた
ただいまーっと。
........
当然のことながら一人暮らしなんで返事なんて来ないけど。
ああ今日はもう疲れた風呂入って、飯食ってゲームして寝よ。
風呂と夕飯を済ましてゲームを始める。
「今日は...RPGでもするか、プレイ途中のやつがあったはず」
いろんなゲームをしているのとファイル整理を面倒くさかったことが相まって、したいゲームを探すのに
かなり時間がかかった。
「あったあった」
ソフトを起動してゲームを始める。
「時間もないし、レベル上げくらいにしておくか」
......「もう一時か、後少ししたら寝ようかな」
時間が経つごとに段々と意識が薄れていく。
意識がはっきりとしてきた。
あれ、寝てたか。
背中に冷たいものを感じながら目を開ける。
俺の目に最初に映ったのは木だ。
え?木?
もっとよく見ようと重い体を起こし周りを眺めた。
木...ここは森の中か?
さっきまで俺が寝ていた所を見る。
どうやら平な岩の上で寝ていたようだ。
「え?...ここは......」
あたりをもう一度見渡した。
何度見てもゲーミングチェアも、ゲーミングPCも、暖房のついた暖かい部屋も何もない。
あるのは周りを囲うように生えている木だけ。
それについさっきまで夜だったが、明るく太陽が空高く登っている。
「夢.....か?」
いや、夢にしては意識がはっきりしすぎている。
......
まぁ、此処がどこだろうとこのまま突っ立てる訳にもいかないし...少し歩いてみるか。
しばらく歩いていると、土の道を見つけた。
森の中を真っ直ぐに通っていて、綺麗に整地されている。
幅は車が通れるくらい広い。
これを辿れば人に会えるかもしれない。
いくらこの道が長くても、辿る以外に人に会える手段がほぼない。
長時間歩くことを決心し進もうとした時、右の方から人の声が聞こえた。
!? 驚いて右を見ると道の上を馬車がこっちに向かって進んできていた。
声の主はどうやら御者のようだ。
あぁ、よかった人に会えた...ちょっと待ってなんでこの時代に馬車が普通に走ってるんだ?
いや、観光とかで見せるために走っている馬車もあるからな。
だとしたら観光用の馬車か? それなら話は早い、乗せてもらえばいいのだ。
「あの、すみません観光業の方ですか? 道に迷ってしまって...」
男に話しかけた。
「あっしはただの旅商人でして、観光業ってのがどんなものなのか知りませんが、道に迷ってるのならあっし
これからアルメラに商材を運ぶんで、乗っていきやすか?」
馬車で商人...色々と聞きたい事があるが、今は森から出ることの方が重要ここはお言葉に甘えさせてもらおう。
「あ...あぁ乗せてってください」
御者台は狭いので荷車に乗せてもらうことになった。
ぐぬぬ、全くわからん。
特になんで俺がここにいるかが。
家でゲームをして寝てしまっただけ。
行動を思い返してみても分からない。
「そういや、兄さんどこから来たんで?」
「東京ですけど」
「トウキョウ....聞いたことない地名ですね、あっし旅商人始めてから38年経ちますが一度も話にも聞いたことないですね」
「え?」
思わず声が出てしまった。
あなた今東京を知らないと言いましたね。
日本の首都だよ!?
なんで知らないの!?
うぅ頭が痛い。
もうさっきから色々ありすぎて考える気もなくなったよ。
それから数分ぐらい経ったかな、御者が話しかけてきた。
「兄さん、着きやしたよアルメラ」
俺は起きて馬車の前の方に移動した。
そこには、異世界のような港の街が広がっていた。
港町といっても陸の方もかなり広い。
建物は中世のようなもので、見たことのない立て方の建物もあった。
これを見て俺は異世界ものの本をよく読みのとこれまでのことも含め確信した。
....ここは異世界。
そして俺は異世界転移した。