238話・大人げない夫婦
短くてごめんなさい。
自分との間にレナータは子供を望んでくれていた。この間までは自分と閨事さえ、拒んで寄せ付けなかったくせに。そのレナータが自分を求めてくれている。その気持ちが嬉しかった。
その晩、レナータに子供を産ませるなら早いほうが良い。自分は若くないからと、年甲斐もなくハッスルしたせいで明け方まで励み、二人揃って遅い起床時間となった。
その後、宰相と偽ブリギットは国家反逆罪として処刑した。
ロディオン王子については、あの書状が利いたのかアルシエン国王から正式な謝罪があった。クロスライト国を騒がせた迷惑料として、クロスライト国と接している領土の一部と多額の賠償金を受け取ることで落ち着き、王子を帰国させることになった。
「無事に帰れることになって良かったですわね? ロディオン王子」
「砲弾の一つでもアルシエン国の王宮にぶちかましてやろうと楽しみにしていたのになぁ」
「まあ、見たかったですわ。さぞ、威力が凄いのでしょうね?」
「ああ。一つで王宮が崩壊するくらい力があるぞ。古い宮殿を建て直すためにぶっ放してみたら物の見事に崩壊したからな」
「御世話になりました。もう二度とお二方の前には姿を見せませんのでご容赦下さい」
帰国するロディオン王子が挨拶に来たのでレナータが嫌みをぶつける。それに便乗したら王子は青ざめて大人しく立ち去っていった。
「なんだ、あいつ。ライバルにもならなかったな」
「もしかしてイヴァン、王子が私のことを気に入ったから王配になるって言ったことをまだ根に持っていたの?」
「当然だろう。あんな見目だけの男は萎えてしまえばいいんだ」
おまえを横からかっ攫おうとしたんだぞ。これが許せるか? と、言えばレナータがくすりと笑う。
「なんだ? 子供っぽいって言いたいのか? 悪かったな」
「私も大人げないもの。お互い様でしょう?」
私だってブリギットに嫉妬したしねと、腕を絡めてくるレナータが可愛すぎる。そのレナータから不意打ちで頬にキスされた。




