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摂政姫の転生~政敵だった義弟が夫になりました!~  作者: 朝比奈呈
◆番外編◆イヴァンの宿命
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140話・迷惑な縁組み

  その死を見届けて宮殿に戻ったイヴァンに駆け寄ってきたのは王母となっていた実母だった。



「お帰りなさい。イヴァン。あの辛気くさい女の葬儀は終わったの?」

「黙れ」

「イヴァン?」

「黙れと言ったのが聞こえなかったのか?」

「何よ、ご機嫌斜めね。そう怒らないでよ。イヴァン。今ね、あなたに会いたいって人が来ているのよ。イサイ公爵がお嬢さんを連れてきているわ」



  纏わり付く実母に嫌気がしながらも謁見室へと向かうと、イサイ公爵が娘を連れてきていた。イサイ公爵とは顔を合せたことは何度かあったがそれだけだ。

  彼の父親である王弟はアレクセイのように気さくな態度で話しかけられたこともあったが、その息子である彼は気位ばかり高く、愛妾の息子の自分をどこか見下している節があった。


  その王弟が亡くなり後を継いだ彼は、別人かと思うぐらいに表情を崩し、こちらを媚びるように見てきた。



「お久しぶりです。陛下。アニスさま。この度のご縁談話ですが有り難くお受けしたいと思っております。どうか末永く宜しくお願い致します」

「まあ、本当に? ありがとう。公爵。綺麗な娘さんね。二人とも似合いの夫婦になるのは間違いないわ」



  話が見えないと思っていると、実母が勝手に公爵との娘の縁談を取り纏めていたようだ。よりによってこんな日にと、実母の意地の悪さしか感じられない。


「あなたもいつまでもこの世にいない人に未練など残してないで。中庭でも案内していらっしゃい」


  と、初対面の公爵の娘共々謁見室を追い出された。その後、あの二人で何やらきな臭い話を始めるのだろう。

  イサイ公爵の娘は、濃紺色の髪に青い瞳をしていて人形のように整った綺麗な顔立ちはしていた。中庭へと向かう為、エスコートしようと片手を差し出すと、「結構です」と、言葉が返ってくる。



「あなたのような卑怯者を王に抱くとはこの国も終わりですわね」

「この縁談に不満があるなら公爵に頼めばいい。すぐにでも断ってくれるだろう」



  他の者がいる前で言ったのなら不敬で見咎められる言葉だ。自分も気がつかないうちにお膳立てされていく状況に不快しかないが、会ったばかりの彼女にそれをあえて言う必要もない。嫌なら父親に頼めと言えば、彼女は首を横に振った。



「無理よ。お父さまは私を王妃にすることを望んでいるもの。相手が誰だろうと変わらない。いずれあなたとの間に生まれた子を王位につける願望があるみたいだから」


  なるほど外祖父として政治に干渉しようと言うのか。あのプライド高い男の考えそうなことだ。その為に愛妾の子である自分に娘を妻に差し出すのさえ躊躇がない。    

  彼の目には晩年、成人した孫を王位に就かせ、自分は摂政として後見する未来が描けているのだろう。



「わたくしにはいい迷惑だわ」

「同感だ」



  綺麗な女が顔を歪めると醜悪に見えた。同意するとこちらを窺うような目線が返ってきたがそれだけだった。その後、しばらく言葉も無く庭園内をぐるぐると歩き続けて、奥庭の薔薇園にたどり着く頃にはうっすらと汗を掻き始めていた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 実母とは言え…とんでもないな。 イヴァンはホント王妃様のおかげでいい子に育ったなぁ…
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