表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
摂政姫の転生~政敵だった義弟が夫になりました!~  作者: 朝比奈呈
◇イヴァンの古傷
107/242

107話・おまえは必ず守る


「宰相を更迭って、彼は何をしでかしたの?」

「宰相はおまえの殺害を企んでいた」

「……! いつから?」

「おまえが王妃となってからずっと狙っていた」

「でも、私は何でもないのに……?」



  そう言いながら気がついた事があった。銀のスプーンを持ち歩くことを勧めてきたのはゲラルドだ。


「まさかゲラルドや、セルギウスは……?」


  彼らは私が狙われていることを察していた?



「奴らは毒の扱いに長けた一族なのだ。彼らは王族の侍従として一目置かれてきたが、それは王の側にいて毒から主の命を守るためだ」

「知らなかった」



  そのような目的で父王がセルギウスを側に置いていたなんて初耳だ。



「彼らの事は王家の中で秘匿とされているからな」

「そうだったの。では、私は何度か彼らに救われてきたということ?」

「ああ」

「宰相はどうして私を?」

「おまえが死ねば次の王妃に、自分の息がかかった娘を宛がうことが出来る」

「あなたは前王妃を亡くした後、一応独り身だったのだから機会は幾らでもあったのに?」

「あの頃はヨアキムが後継者となっていたし、おまえという許嫁もいたからつけ込む隙がなかった。そこへヨアキムが婚約破棄を起こし、廃嫡されたことで宰相は一度捨てた夢を諦めきれなくなったのだろう」



  宰相は王の外祖父となることを望んでいたとイヴァンは言った。他の国でもあることだ。野心家の家臣が王に自分の娘、もしくは息の掛かった娘を王妃に宛がって生まれてきた王子を王位に就かせて傀儡とし、外祖父として政治に介入することは。



「それで邪魔な私を消すことにしたのね?」

「そうだ」

「じゃあ、宰相は業を煮やしているのかしら? 私がなかなか死ななくて」

「おまえを死なせはしない。王の代わりはいてもおまえの代わりはいない」

「イヴァン。馬鹿な事を言わないで。私にとってあなたの代わりは誰にも出来ないのよ」



  早まって馬鹿な行動をしないでね。と、言えば勿論だと答えが返ってきた。



「分かっている。無理はしない」

「ねぇ、あなたが戦うのなら私も共に戦う。私にも手伝わせて」

「駄目だ。それだけは叶えてやれない。おまえを二度と喪いたくないんだ。分かってくれ」

「ヴァン……」



  イヴァンが覆い被さってきた。私は彼の背を抱きしめた。



「おまえは必ず守る。だから今は大人しく守られていてくれ」

 

 私は前世、イヴァンの腕の中で事切れた。イヴァンはそれを恐れているようだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] まぁソニアの時を考えたらイヴァンの行動は理解しまくりですね(^_^;)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ