70、懐かしい思い出
なかなか書けずに、時間だけが経ってしまいました。楽しんで頂ければ嬉しいです
「今日、話をしたいなぁと思ったのは⋯⋯学校の頃の話よ。例えば──学園祭」
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【当時、学園祭】
私達の学園祭の催し物は全て魔法を使ったものになる。目的としては、細かなコントロールが出来るようにとの事で義務付けられているのだ!って私の作った設定ですけどね。
定番と言えば、メイド喫茶とか演劇なのだけれども⋯⋯。ま、魔法を使ったものになるから今回はババーン!と派手に行きたいなと!思いまして。
あ。本来のストーリーだと、ただの喫茶になるんだけど。今回はやめておきます。ただのは省きます。えぇ、え?なんで勝手に決めてんだって?だって実行委員長に任命されましたので!!意見が出来るんだわ!!ぐへへ⋯⋯!
「今回の催し物に関して意見がある方は、いらっしゃいますか?」
私はクラスの皆に問いかけたが、うーんとか様々な意見ともならない⋯声しか上がらない。
よし!ここは私の出番ね!本当ならアイラお姉様がおずおずと声を上げて意見をするのだけれども。折ります。ただの喫茶店ではなく!!メイド兼、執事喫茶店にしてやりますわよ!
「私から、提案がございます。メイド兼、執事喫茶はどうでしょう?」
ザワっと声が上がる。
「使用人と同じ真似事をするのか?僕たちが?」
「私達が⋯そのような真似事を?」
1部の子達には不評そうだが⋯⋯。
「メイドや執事とは、優雅さ気品ももちろんの事、全てをパーフェクトに主を支えなければいけない大変なお仕事ですわ。そして、私達は将来⋯⋯淑女と紳士にならなければなりません。そのうえで、この提案は私達の将来を兼ねてご提案しているのです。そして、紅茶などを入れる時などは必ず魔法を使って入れ見て楽しめるパフォーマンスも行うというのは如何でしょうか」
「いいと思う!」
賛成してくれたのは、リアムだ。
「うん、とても良いんじゃないかな?」
続いてレン様も、同意してくれる。という事は⋯⋯。レン様が同意するということは強制的に満場一致となるわけで。とはいえ、学園に通う間は身分は関係ないと言われているけれども、実際そう上手くいくわけもない。
「異論のある方は、いらっしゃいますか?」
特に誰もいなかったので。難なく、決定した。
あっさり改変しちゃったけど⋯⋯大丈夫⋯⋯かしら?!めちゃくちゃ今更だけども!!
そうして、学園祭に向けて皆で取り組むことになったのであった。
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─
「はいそこ!!お帰りなさいませ!ご主人様!お嬢様!」
「「「「「お、お帰りなさいませ⋯!
ご、ご主人様⋯!お、お嬢様! 」」」」」
どうもです。ソフィです!ただいま、私。指導を行っております!えぇ、それはもう徹底的に。
「はいそこ!!照れない!」
「いやいや⋯⋯無理だって!」
「ドル!」
有無を言わせない視線を送るけれども⋯!
そういう照れもいいのであります!!
これは必ずウケる!!ねぇ!そうでしょう?!
目の前にいる、そこのアナタ!
アナタはどんなタイプがお好みですか?
そうして、猛特訓の結果。
ツンデレと王子様系、ちょいやんちゃ系、癒し系、クール系、獣人系やら色々なメイドと執事が完成致しました。えっへん!頑張りましたわよ!
当日────
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「きゃあ!!クラトゥニィウス様ですわ?!!」
「お席へ、ご案内致しますね」
レン様は完璧な王子スマイルと所作で女子生徒を骨抜きにしていた。
「お帰りなさいませ、お嬢様。こちらの席へ案内⋯する⋯致します」
ちょっとどもったのがドルだ。言い間違えたことが恥ずかしかったのかほんのり耳が赤い。そんな彼は、ご婦人方に大好評。
「あらあら⋯⋯可愛いですわ〜」
「もっと、いじめたくなりそうですわね」
うふふ⋯好評好評!
「お帰りなさい⋯ませ⋯。⋯⋯⋯⋯お嬢様。席へ⋯⋯」
「あ、クリス様の声⋯⋯超貴重ですわ!」
「なんて⋯素敵な、お声なのかしら⋯」
「クールな、お姿も素敵⋯♡」
無表情で普段喋らないクリスの声に翻弄されている女子や元から人気があるので、更に大人気となっている。
ぐへへへ⋯金儲けが、できるではないか!
「お帰りなさいませ♪お嬢様方!お席に、ご案内致しますね♪」
「は、はい⋯!」
「あ⋯⋯お嬢様失礼──」
「────!?!!」
「髪の毛に花びらが、ついていました。この花びらのように、お嬢様の頬も綺麗に染って⋯とっても可愛いです♪」
「○△☆▽□◇───!?!!!」
流石、スクラ⋯!!女心を分かってるわ──。
ま、私の好みじゃないんですけど。とまぁ、順調に女子生徒を骨抜きにしていっております!
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「きゃ〜っ!おにいたん、お耳とおしっぽ、はえちぇる!!」
「んー?耳は触ってよかやけど⋯じゃなかった。触っても良いですが⋯しっぽはダメですよ」
「はーい!」
ぐはっ─────!?!
お、お兄たん?!!リアムに⋯お兄たん?!
リアムお兄たん?!ダメだわ⋯私のツボに入った────!!!リアムは小さいちびっこ令嬢達に大人気だった。そんな様子を微笑ましく見る奥様方。変な奥様方はいないので良かったです。ハイ。ご馳走様です。可愛かった⋯2人が可愛かった⋯。
「お、お帰りなさいませ⋯⋯ご、ご主人様⋯!お席へご案内致しますね!」
「あ、ありがとう」
私の推し、アイラの態度に鼻の下を伸ばした男共が群がっている⋯ぐぬぬ⋯⋯!演技とはいえ⋯アイツらめ⋯!私のアイラお姉様よ!!っといけない仕事しなきゃ。
「お帰りなさいませ、ご主人様♪お席へとご案内致します。こちらのお席です」
「ありがと」
「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びくださいませ♪」
にっこりスマイルで対応していたが、戻ろうとしたところでグイッと手を捕まれ引っ張られた。
え?なんですかい?
「あの、手を離して頂けますか?」
「嫌だと言ったら?」
「通報致しますが?」
「助けも呼びにいけないくせに何を言ってるんだよ」
「失礼ですが、ここを何かと間違えられてはおりませんか?こういうサービスは一切行っておりませんし、ここは学校ですよ?場違いな行動は慎んでくださいませ」
「生意気な────!!!!」
ボトボトボトボト⋯!!
「あっ?!あちぃ?!!」
「汚い手でソフィに触んな」
えっ!?リアム!?いつの間に!!
「お前!!何しやがる!!俺は客だぞ!」
「客だからどうしたとね。注意も聞き入れようとしない愚か者な主人は主人でなか!!即刻お帰り下さいませ。あちらが出口です」
いつの間にか、シーンとしていた教室。そして、男に突き刺さる蔑みの目。
「ぐっ⋯!お、覚えてろよ!!!」
よくある悪党の捨て台詞を吐いて、その客は教室から出ていった。
「お見事ですわー!」
「お兄たん⋯かっこいい!!!」
「まさに正論でしたわね」
「お客と言えど、女に手を出すなど言語道断ですわ」
と口々に賞賛の声が上がった。
「ソフィ、手首痛くなか?」
「ぜ、全然大丈夫よ?」
「なら、よかけんど⋯やっぱり、冷やさんと。行くばい」
「え?」
リアムは私の握られていた手とは逆の手を取って教室から私を連れ出した。どこもかしこも人がいっぱい。走ることは無いけど、ゆっくりと進んでいく。
「ここでよかね」
そう言って連れられてきたのは、学園内にある池。池と言っても、水は常に透き通っていて綺麗だ。保護魔法が、かかっている為である。そうしてリアムは池の近くに私も座らせて、手を池の中にいれた。
「つ、冷たいけど⋯気持ちいい⋯」
「少し腫れてたとよ、アイツ⋯⋯」
リアムの顔は思った以上に怖い顔をしていた。
「リアム⋯ありがとう。すごく嬉しかったわ」
えぇ、キュンキュンしましたとも!まさか自分に、あんなシュチュが起こるとは思ってもなかったけど。
「助けるのが遅くなって⋯ごめん⋯」
「そんな事ない!リアムが来てくれたからあれだけで済んだの。本当にカッコよかったわ。改めて、ありがとう」
そう言うと、リアムはフルフルと小さく顔を左右に振った。もう、強情ね。そんなところも好きですけど!!
「でも、抜けてきちゃったわね」
「何とかなるばい」
「それもそうね」
「ん」
「向こうは騒がしいけど、ここはとっても静かで気持ちいいわね。2人だけの世界にいるみたい」
なんて臭いセリフなのだろうと思いつつ言ってみた。
「そうたいね、本当に2人きりだけの世界だったら良いのに──とは思うこともあるけんど、ソフィの周りにはたくさんの人がおって、いつも笑顔で無邪気に過ごしてるソフィを見てたいから⋯。あまり束縛するのも⋯⋯我慢するばい」
ぎゃああああっっつつつ!!なんじゃそのセリフはぁー?!!殺す気?!私を殺す気なの?!
ダメダメだ!こんなのこんなのって、ご飯何杯でもいける!
「我慢しなくてもいいのに───」
ポロッと心の声が出た。
「え?」
「あ!?い、いや今のはですね」
思わず赤面してしまうけれども⋯。そんな私にリアムはゆっくりとこちらに近付いてきた。ほんとにそれは自然な動作で───
気付けば、唇が重なっていた。
ゼロ距離です!!
「⋯⋯ふふ⋯もっと真っ赤になって可愛かよ?ソフィお嬢様」
あ、あかん⋯死ねる。皆様、ここまで付き合って頂き誠にありがとうございました。私は昇天します。
逝こうと思っていたら───
「ソフィ⋯⋯好いとーよ」
リアムが突然引き寄せて、愛を囁く。片手を水につけてたせいで、リアムの服が若干濡れたのだけれど⋯。
「私は⋯⋯⋯愛してるわ。未来の旦那様」
「!?!!?」
次はリアムが赤面する番だった。
その時の驚きの表情と顔が真っ赤になって嬉しそうに微笑むリアムを見て、あぁ⋯やっぱり私はこの人が大好きなんだと再確認した日でもあった。
「ってことがあったわよね」
「それ、惚気じゃん。聞かせないでよ。ほんとタチが悪いな〜」
スクラがブツブツと言った。
「⋯なんて素敵な、お話なんでしょうか!私、感動しました!」
アイラお姉様は大絶賛してくれる。
「ほんと、ソフィってKYだよな」
え?いったいどこでKYなんて現代用語、覚えたの?
「右に⋯同じく⋯⋯」
「その通り⋯⋯」
クリスとレン様まで⋯⋯。いえ待ってちょうだい、なんであなた達2人も理解しているの?!
「ソフィ⋯⋯⋯なんで話すと⋯⋯」
リアムは顔を隠していた。耳が赤い。照れてるなこれは。ぐふふふ⋯!
「えへッ⋯あれから、あのお客─訴えてきたらしいけど目撃者が多かったせいで論破された挙句、世間の評判までガタ落ちになったらしいわね。いい気味だわ〜」
そんな事もあったな。と皆でその日は、ワイワイと盛り上がり⋯久しぶりの楽しい休暇を過ごしたのであった。




