68、夢とは残酷だ
スザクside
目が覚めた。
トントンとリズミカルに聞こえる音。
なんで音なんかしてんだ?と思って目を開けた。
「あ、スザク起きた?」
「ん?ソフィ⋯?」
「スザクって意外と寝坊助なんだねー」
「⋯⋯⋯⋯寝坊助言うなよ⋯たまたまだよ」
「そう?ふふ⋯ちょっと待ってね。もうすぐ出来上がるからさ」
「悪いな」
そうだ。卒業式の日ソフィに俺は告白したんだ。
「ソフィ⋯話したいことがある」
「え?いきなりどうしたの?話って何?」
最後まで教室に残ってるソフィをに声をかけたのだ。
「俺⋯⋯俺はずっと⋯⋯お前と会った⋯あのお茶会の日から好きなんだ⋯!!結婚前提に付き合って欲しい!!」
俺の顔は真っ赤だろう。心臓だって生きてきた中で1番煩いくらいドキドキと鳴っている。
恥ずかしいと思う反面ちゃんと思いを伝えることが出来たという嬉しさと感情がごちゃごちゃとしててなんとも言えない気持ちになっていた。
俺からすると望みは薄いから、伝えれただけでも満足で⋯⋯でも諦めきることも出来なくて────
ふとソフィを見てみたら、真っ赤なリンゴになっていた。涙目だし、すげぇ可愛い。バチッと目が合う
「⋯⋯⋯わ、私も⋯⋯す、好きです⋯⋯私でよければ⋯⋯お願いします⋯⋯」
まさかの返答が来て焦るけど、嬉しすぎて。頭が真っ白になった。
「ソフィ⋯⋯俺っ⋯絶対に幸せにする!」
「わ、私だってスザクを幸せにしてみせるわ!」
と強気な令嬢口調で俺に言ってくれた、あの言葉は宝物だ。
「なに、ニヤニヤしてるの?」
「いや、ちょっと思い出してさ。俺が告白した時のこと⋯」
「あ⋯⋯⋯。なるほど⋯⋯懐かしいね」
「まぁそうだな」
「あれから、薬屋も開いて繁盛してよかったわ」
「あぁ、平和になってからも⋯⋯まだまだ患者もいるしな」
「えぇ。皆が贔屓にしてくれるから、有難いよね」
「あぁ。ありがてーよ」
「ふふ⋯⋯さて、出来たよ」
食卓に、ご飯が並んでいく。スクッと起き上がって、まずは顔だけでも洗いに行く。スッキリだ。そして、椅子に着席して⋯二人で朝食をとる。
すごく幸せだ。好きな人と、こうして暮らして言葉をまじ合わせることが出来て⋯これは未だ夢なんじゃないかと思う。
「スザク?固まってないで、ご飯食べよ?」
「あぁ、悪い。食べる」
「うん。頂きます」
「イタダキマス」
ソフィはずっと食べる時にイタダキマスと言う。俺は初めて聞く言葉だけど、真似している。意味は聞いてない。いつか聞こうと思う。
「あちっ!!!!」
俺は盛大に、お汁をこぼした。
「もう!何やってるのよ?!気をつけてよ?!」
熱さに目が覚めた。
「あれ──────夢?」
あれは夢だったんだ⋯⋯この世界ではない俺がああやって幸せになっていたかもしれない夢物語。神様、残酷じゃねぇか。俺は⋯どうしたって思いを伝えることが出来なかったし、今後も言うつもりは無いけど⋯⋯俺にも、現れるかな。ソフィを越える人。
なぁ、目の前にいる君⋯。君は俺の事どう思う?弱い奴だろ?好きなら好きって言えよって話なんだけど⋯⋯あんなにアイツが好きな奴に幸せそうな笑顔見せてるところにさ。
俺が好きだなんて言って困らせたくなんてないんだよ。俺のこの考えって良くないのか?もうわかんねぇよ⋯⋯⋯。俺もいつか、別の子を好きになれる日が来るだろうか?
なんて⋯君に言っても君が困るだけだな。悪い。今のは聞かなかったことにしてくれ。っていうか、勝手に話をしてごめんな。でも、聞いてくれてありがとう。いや無理やり聞かせただけか。
なんか謝ってばっかだな俺。そういや、今日はソフィが来るんだった。準備しないと───
それじゃあ、またな?目の前の君。
────
──
「スザク来たわよ!」
「うわっ!?」
初っ端の挨拶から顔が近い。闇の魔力を失ったソフィは、あれから唐突に現れるという事は出来なくなった。あの時も心臓に悪かったけど、今も心臓に悪い。リアムがいなくて良かった。
「驚いた?相変わらず、薬屋も大人気ね」
「まぁ、薬だけではどうにもならねぇこともたくさんあるけど⋯⋯贔屓にしてくれてるよ。皆」
「いい事ね!ふふん!」
「なんでソフィが得意げなんだ⋯」
「だって私の親友が活躍してるんだもの。嬉しいに決まってるじゃない!!」
べしべしと背中を叩くソフィ。地味に痛いからな?!俺は、お前の親友になれただけでも⋯嬉しいよ。綺麗事ってのは分かってるけど、好きって気持ちを教えて貰えただけ十分だ。
「ありがとな。ソフィ⋯」
ソフィは分かるはずもない、いろいろな意味を込めた⋯ありがとうを呟く。
「どういたしまして!!!」
お互い笑顔で笑い合う。
やっぱり好きだ───。
〜ソフィside〜
スザクに会いに来て、色々と食事をご馳走になりました!え?一人で来たのって?えぇ、勿論リアムの許可はとってるわよ。
スザクなら良いよって言ってくれたの。他の人はダメって言われたけど⋯なんでよ⋯と思ったのはここだけの話。
ねぇねぇ、目の前にいる⋯アナタ。スザクはどう?イケメンだし、めちゃくちゃ優しいし気配りもできるし、一生懸命尽くすタイプよ!!優良物件よ!!
え?なんで、そんなこと言うのって?誰かスザクを支えてくれる嫁さん候補を探してる最中なのよ!
バレたら大騒ぎになるし、スザクは絶対に怒ると思うから言わないでね?!私もスザクには幸せになって欲しいのよね。私が言えたギリじゃないんだけど⋯。
「ソフィ、何ぼーっとしてんだ?」
っと、いけない!
「ごめんごめん!もう大丈夫。ぼーっとしてません!」
「ならいいけど⋯⋯勉強頑張ってんだろ。無理はするなよ?」
「えぇ⋯もちろんよ!」
「ん。あ、また今度⋯旦那と息子と娘連れてこいよ?会えるの楽しみにしてるからさ」
「えぇ!勿論!2人にねスザクの話をしてるのだけど、会いたい!って言ってたわ。特にアフィがね」
「そっか⋯俺も会いてぇな⋯⋯」
「すぐ会えるように手配するわ!!」
「あぁ、楽しみにしてる」
「楽しみにしてて!!」
たわいもない話をして、私はスザクの家を後にした。
スザク:次回予告?
ソフィ:えぇ!
スザク:次は誰が出るんだ?
ソフィ:次は、みんな大集合の巻よ!
スザク:そうなのか?
ソフィ:えぇ!!多分きっと長くなるわ!
スザク:ふぅん…?
ソフィ:楽しんでくるわね!
スザク:ん、楽しんでこい。




