63、結末
???side
私は暗闇を歩いている。何だか分離したみたいね。と言っても此処は何処かしら。あら?誰かが泣いているわ。
仕方ないわね。誰が泣いているか知らないけど泣き声が煩いから⋯私が、どうにかしてあげるしかないようね。
ひたすら、泣き声がする方へ向かって歩く。どれくらい歩いただろうか??やっと見えてきた。くらい闇の中で2つの赤い赤い目が涙に濡れていた。
「ねぇ、貴方はなんで泣いているの?」
「カナシイ⋯サビシイ」
「悲しくて寂しくて泣いているのね」
コクンと彼は頷いたと思う。輪郭がなく、目しか見えないから分からないけれど。
「なんで悲しいの?」
「ダレモ⋯⋯ヒツヨウトシテクレナイ」
「そうなの?なら私が必要としてるわ」
「ナンデ?」
「私もね寂しかったの。ずっと⋯⋯貴方も寂しいんでしょう?なら一緒に行きましょう?貴方がいてくれたら私は寂しくないもの。良い提案じゃない?」
「ボクナンカデイイノ?コワクナイノ?」
「怖くないわよ?それだったら私の方が怖くない?こんな怖い見た目をしているのよ?」
「ソンナコトナイ。キミハ⋯キレイダ」
「ふふ⋯ありがとう。じゃあ、一緒に行きましょう。この先の世界へ───」
「ウン」
私と彼は手を繋いだ。彼の輪郭も手足も全部見えたから。彼の手を引っ張って、暗闇を進む。
「アッタカイナ⋯」
「貴方もね」
そうたわいもない話をして、二人で前へと進んだ。
───
─
ソフィside
リアムが宣言してから、リアムは私と殺りあっていた。リアムの無属性の力は、イレギュラーな魔法属性で私の闇の力は関与されなかった。
だから唯一魔法が使える1人だった。ただ、魔法が使えても、私は強いからなかなか剣が私に届かない。リアムは、かなり苦戦していた。
「ッ⋯⋯くそっ⋯⋯⋯」
「ふはははは⋯⋯!!なかなか楽しませてくれるわね。貴方の心意気、気に入ったわ。もっと楽しませてちょう────」
ソフィは急に、目を見開いて動きが止まった。その一瞬をリアムは見逃さなかった。
「はぁあああぁ⋯!!!!」
悲痛な叫びをあげながら⋯リアムは私に剣を振りかざした。
「─────!?!」
リアムは驚いた顔をした。
「ソ、フィ⋯⋯なんで⋯⋯」
「えへへ⋯⋯愛しい人の手を汚すわけないでしょう?」
そう。私も何があったか知らないけど"無"の隙をついて表に出てきた。そして、最後の力を振り絞って、闇魔法を使う。リアムの動きを止めた。そして、彼から剣を奪う。
「おいやめろ⋯ソフィ⋯お願いだから、やめろぉぉぉぉ!!!」
グサッ─────!!!
リアムの剣は私の体を貫いた。いえ、語弊ね。リアムの剣で私は私の体を貫いたの。
「リアム、あの返事⋯嬉しかったわ。ありがとう。でもね、私は、そんなの望んでない。皆も⋯私なんかの為にありがとう。嬉しかった」
リアム以外の皆は、地に伏していた。"無"のせいで。黒いモヤが、皆にのしかかっていた。それももうすぐ消えて自由の身になれるはず。
「いや、嫌です!!ソフィ⋯様!!」
泣きながら叫んでくれるアイラお姉様。
「ありがとう⋯アイラお姉様⋯」
「なんでなんで⋯⋯君は⋯!!」
あのレン様が泣いてる?!こんな貴重な光景ないわ。
「レン様、泣かないで。素敵な顔が⋯台無し」
「タルアニア!!勝手に死のうとしてるんじゃねぇぞ!!」
「泣きながら怒っても、迫力にかけるわドル」
「何故、君が死ぬんだよ!!君は死んではいけない⋯⋯人なのにっ!!」
「そう言ってくれて⋯ありがとう」
クリスは、悲痛な顔をして叫ぶ。ボロボロに泣いてるわ。凄い推し達がこんなに泣いてくれてる。
「⋯⋯ソフィ⋯嫌だっ⋯死なないでくれよッ⋯⋯!俺はッ⋯俺はッ⋯君に助けられたのに⋯なんにも⋯恩返しできて⋯ないっ!!!」
悔し涙かな?スザク。スザクは私に、たくさんのことを教えてくれたし心強い仲間だった。
「スザク、恩返しなんて山ほどもらったわ」
スクラもありがとうね⋯もうすぐ悪夢から開放されるから。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
最後に震えて私をみつめるリアムと目が合う。
「ごめんね⋯約束破って⋯二人で生きようって約束した⋯のに」
「もう喋るなっ⋯⋯すぐに治療するたいッ⋯⋯」
「リアム⋯⋯⋯世界で一番⋯⋯愛してるわ⋯ありが⋯と⋯」
「う」をいい切る前に私の意識はプツンと消えた。
───
──
─
アイラside
悲劇はいつ来るか分からなかったけれど、今できる最大限のことをして最悪の日に備えたはずでした。
けれど、その時が来て私の聖女の魔法は何故か不安定で発動できなくて⋯必死に祈っているうちにグレッチアさんは倒れ更には皆さんの魔法を封じ込められてしまいました。
私は多分、例外なので⋯⋯上手く魔法が発動出来ないだけで封じられてはいない⋯。そう思いました。だから、ひたすらに祈り続けても⋯⋯発動してくれません。
何がいけないのか、こんなにも助けたいと思っているのに⋯何故⋯⋯!!!体を"無"という敵に押さえつけれられてる事にも気付かず、ひたすら祈りを捧げて⋯ハッと気づいた時には──
私の双子の妹であるソフィ様の⋯⋯体に剣が貫かれていました。
絶望が確実な絶望に変わりました。
「いや、嫌です!!ソフィ⋯様!!」
涙が止まらない。嫌だ⋯⋯ソフィ様が死んでしまう⋯!!嫌だっ!!
「ありがとう⋯アイラお姉様⋯」
そう言って、微笑んでくれるソフィ様⋯⋯更に涙が止まりませんでした。なんて私は無力なんでしょう⋯⋯!!!聖女の力を持つと言われたのにも関わらず⋯⋯私は何もなにもっ⋯⋯尊敬できて大好きで私を助けてくれた⋯生き別れの双子の妹すら助けることが出来ないなんて──聖女なんて力、誰も助けられないのなら⋯いらない!!
そう思った時──声がしました。
『ソナタの願い聞き届きました。あなたの全てをかけてでも、かの者を助けたいですか?』
誰か知りませんが、私の全てをかけてでも⋯⋯!!助けたいです!!!
『ならば、祈りなさい。聖女よ。皆を救い⋯⋯この世界に平和をもたらしなさい』
私の大事な人を助けて────!!
そう強く願ったと同時に、辺りは徐々に真っ白な世界へと変わっていき⋯⋯⋯私の目の前には見知らぬ女性と幼いソフィ様と手を繋いだ赤い目をした男の子が立っていました。
「ソフィ様!!」
「あら、貴女が私のお姉様なのね。初めまして」
「え?あのソフィ様⋯?」
「あーあの⋯⋯そっちが本物のソフィで⋯⋯いや私も本物のソフィでは、あるんだけれど⋯」
オドオドとした感じで声をかけてくる女性。見たことも無い服を着ていました。
「えっと⋯⋯」
「うーん困惑するよね。えっとね、本来いたソフィは死んでしまってて⋯そこに私の魂がソフィに入り込んだの。と言っても私は既に前の世界で死んでて⋯⋯転生というか⋯ってこんなの言っても分からないわよね」
「いえ、貴女様が⋯⋯私がよく知るソフィ様なのですね。そして、こちらのソフィ様が⋯⋯私が生まれた時に一緒にいたソフィ様なのですね」
「や、ややこしいのに⋯理解してるアイラお姉様⋯素敵。好き!」
キャー!と身悶えているソフィ様。
「もうやめてよ。恥ずかしいわ」
こちらのソフィ様は、いえどちらもソフィ様ですね。
「ソフィ様、私はアイラ・ユーフィリアです。お会いできて嬉しいです」
「私もよ。こうやって実際に会えてよかったわ。私達はそろそろ行かなきゃ。この子、貰っていくわね。私、凄く寂しがり屋なの。だからね、この子に着いてきてもらうのよ」
「えっソフィ⋯⋯その子って」
「えぇ⋯⋯」
「本当に行っちゃうの⋯?」
「えぇ。私は滞在していい人ではないから、この子と共に行くの。寂しくなんてないわ、1度死んでいるし、死にに行くわけじゃないから。ね?」
「ウン」
「懐いてるじゃん!めちゃくちゃ可愛い〜!!!萌っ!!」
「その目で見るのは辞めなさい。はげろ!」
「ひ、酷い!!」
何だか楽しい光景です。これも長くは続かないのでしょうけど。
「ソフィこんな所に居ないで、ちゃんとみんなのところに戻るのよ。勝手にいなくなるなんて許さないんだから。それから、アイラ。こんな馬鹿を救ってくれて⋯ありがとう。貴女なら助けてくれるって信じてた。信じて良かったわ。さてそろそろ行かないと、ソフィも生きられないわ」
「えっ?で、でも私⋯⋯⋯」
「大丈夫よ、きっと。さぁ2人とも目覚めて──」
「ソフィ⋯⋯!!ありがとう⋯!幸せにね!」
女性は泣きながら、言う。
「幸せにって⋯⋯バレてたのね。えぇ、貴女もね!」
「ソフィ様⋯⋯!!どうかお元気で!!」
「えぇ、そこの馬鹿妹を頼んだわ」
「はい──────!!」
ソフィ様はニコッとソフィ様とは違う優雅な頬笑みを浮かべて、彼と共に消えた。
「アイラお姉様⋯⋯⋯」
「ソフィ様⋯⋯帰ったら沢山お話しましょうね。まだまだ沢山やることはあるんですから!」
「うん⋯⋯!!」
そうして私達は、白くて眩い光に更に包まれたのでした。




