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62、圧倒的ラスボス





いつ私の体が乗っ取られるかも(ソフィが死ぬか)分からないから、出来ることはするということで⋯無に対抗できるように策を練った。と言っても出来ることは限られている。


アイラお姉様が必死に魔法の特訓をしていたり⋯皆も、それぞれの特訓をしていた。それから、私達は学校をお休みした。


そして、今⋯私がいるのは、結界が何重にも貼られた教会。キュレンデルの森の主、精霊様が森の隠れにある神聖な教会でと力添えをしてくれたのだ。


内装は、すべて緑。なぜなら、木と葉っぱのみで出来ているから。木の枝が複雑に絡まり合い建物を教会のように形成しており、中にも祭壇や椅子があった。


とっても綺麗だった。こんなの初めて見たわ⋯⋯と感動もした。



でも、こんなに大事そうな場所借りてもいいの?と聞けば、『すぐに作れる。気にするな。お主の命とは比べ物にならないくらい質素なものだ』と言ってくれた。


私の命の方がこの建物よりも重いと言ってくれたのだ。こんなに心強くて嬉しいことは無かった。本当にみんなに助けられてるな⋯⋯私。


また涙が出そうになった。


「万全の準備をしているんだから。大丈夫⋯きっと⋯なんとかなるよね」


『そうだと信じたいわね』


そんな会話をしてから数日後、私に異変が起こる。


──


それは協会の祭壇の前で佇んでいた時。あの時のパーティの時のように⋯心臓がドクンと鳴った。


「⋯⋯⋯うっ!?」


私の目には見てわかる⋯⋯足元から真っ黒な影がまとわりつき始めたのを。


「⋯⋯ソフィ?!!」


「き、ちゃダメ⋯⋯」


これが呑み込まれるという事か⋯。こんなに呆気ないものなのか。あれだけ聖水やらなんやら、保護魔法やらかけてもらったのに⋯⋯全然効いてない。オマケに体が動かない。


「⋯ナニを言ってるんダ」


そう呟いたのは私。でも、声がおかしい。


「「「「「「「⋯!?!」」」」」」」


「こ、な⋯いで⋯⋯喋るナ」


「ソフィに取り憑いた奴か!!」


リアムが声をあげた。


「ふふ⋯⋯そうだと言ったら?なんてね、私よ。リアム」


「⋯⋯⋯⋯ソフィ様じゃないです⋯」


アイラお姉様がそう言った。


「き、かないで⋯⋯おね⋯が⋯さぁ、こんなところで何をしようというの?」


お陰で予定が狂ったと言ったソフィの言葉は生憎、皆には聞こえていない。


「ソフィから抜けて彼女を返せ!」


レン様が感情的になって叫んだ。


「僕の友人を返して、お前は⋯タルアニアに入っていい奴じゃない!!」


クリスも。


「俺の弟子を返せ。お前が所有していい人じゃない」


スザクは憎悪を含ませた瞳でソフィの中にいる"無"を見た。


「タルアニアはさ、そこそこ仲良い友人なんだよ。返してもらわないと困るんだよな」


グラウスも、怒気を含んだ声で。


「僕は興味あるものを横取りされるのは嫌いなんだよ。邪魔だから───ぐっ⋯⋯⋯!!」


スクラも黒い顔をしながら言い放つが苦痛に顔を歪めた。


「⋯⋯ほぅ⋯この私に、洗脳をしかけるのね。けれど無駄よ。弱すぎるわ」


そう言うと、ソフィはスクラに更に何かをした。


「うぐっ!?!」


スクラは片膝をついた。


「おい!スクラ大丈夫か!!」


グラウスが彼に駆け寄る。


「ぐあっ⋯⋯⋯ああぁああぁっ⋯⋯⋯!!!」


スクラは頭を抱えて、叫ぶと意識が飛んだ。


「おいっ!!」


グラウスが呼びかけても、スクラは目を覚まさない。


「あらあら、これだけで終わり?スクラは起きないわよ⋯さて次は誰?」


「俺が行く」


そう言ったのはスザクだった。


「私と同じ闇魔法を扱えるのね。でも、この子(ソフィ)より圧倒的に純度が低い⋯⋯紛い物ね」


「ッ⋯⋯⋯⋯!!」


「でも本当に、この子を傷つけられるの?貴方はこの子が好きなのでしょう?無理ではなくて?」


「ソフィを借りて語ろうとするな!!!」


スザクは魔法を発動させたはずだった。けれど、ひとつも出なかった。


「なんで魔法が使えないんだ!?」


それを聞いた、グラウスやクリス、レンにリアムは魔法を発動できるか試した───が。


「使えない!!」


「なんで、水魔法が発動しないんだ⋯!?」


「⋯⋯俺も発動しない⋯」


「⋯⋯⋯⋯⋯」


リアムは黙ったままだった。


「あっはっは!!滑稽ね。この私に適うはずがないでしょう?これだけの力を手にしているというのに。この世界は醜くてしょうがない。真っ黒に染めてあげなきゃ。あぁでも、聞いても意味の無い事だけれど、教えてあげようかしら」


ソフィは嬉々とした声で喋る。


「私を追い出そうなんて無駄よ。もうひとつ(・・・)だもの、ねぇそうでしょう⋯??」


ソフィは誰か(・・)に問いかける。


「⋯⋯そ⋯う⋯⋯」


ソフィ(・・・)は一生懸命絞り出したかのように喋る。そうして、ソフィ(・・・)は愛しい人を一瞬だけ目にいれた。


「「「「「⋯⋯ぐッ⋯⋯」」」」」


その場の全員は、圧倒的な強さに成す術もなく絶望に支配されていた。



聖女であるアイラも、懸命に光魔法を発動させようとしていたのが上手くいかなかった。






ただ1人を除いて絶望に支配されていない人物がいた────







「ソフィ⋯⋯謝るばい。おい()が⋯⋯⋯君を殺して⋯おい()も共に逝く」


ソフィは、一瞬だけ嬉しいとほころばせた時の笑みを見せた。 それをリアムは見逃さなかった。



────



本物のソフィは今の光景を全て()から見ていた。黒い空間の中で私は、さ迷っていた。けれど、目の前には皆がどうなっているのか見えた。私の身体は透けていて、足から徐々に消えていた。




そう、これが消滅なのだと思う。





皆が私に対する想いを告げてくれた。凄く嬉しい。だけど⋯⋯きっとこうなる運命だったんだと思った。アイラお姉様が頑張って光魔法を発動させようとしているけれど上手くいってない。


最初にスクラが洗脳という魔法を使って、私の中にいる"無"を操ろうとしたけれど⋯逆に、無からドロドロした感情をスクラの心に流し込んだ。それはスクラにとって苦痛が襲う。耐えきれなかったスクラは気絶した。気絶したあとも、悪夢という形で苦しんでいるはず。


今度は、スザクが声をあげてくれた。闇魔法で対抗してくれようとしていたみたいだけれど⋯圧倒的に強いのは"無"だ。みんなの魔法を封じてしまった(何でもありだな?!)



唯一、何も言わなかったのは私の大好きな人⋯リアムだ。


突然、"無"から私に対して答えろと命令が来た。言葉を話すだけでも⋯⋯私の体は更に消えていくというのに⋯分かっててやってるのね。だから、「そう」とだけ答えた。そして、リアムを一瞬だけ見ることが出来た。





私は、この人を守りたい。





死なせたくない。





また、中へと戻ってくればリアムは私に向けてこう言った。


「ソフィ⋯⋯謝るばい。おい()が⋯⋯⋯君を殺して⋯おい()も共に逝く」


謝らなくていいんだよ。それに、共に逝かなくていいんだよ。リアムが放った、この言葉は急いで私の元に駆けつけてくれた⋯あの日の夜に会話した内容の返事だった。


『ねぇ、リアム。もし乗り切れなかった時は⋯⋯何とかして私を殺してくれる?』


こんなの、人生で1回言えるかどうか分からない(言えないだろ)台詞を吐いてみた。


『縁起でもないこと言うな。おいは、嫌だ』


『もしもの話よ!もしもの!』


『俺は、もしもの話なんてしたくない。絶対に2人で生きる。それ以外に選びたくはない』


その言葉にジーンときた。二人で生きることが出来れば、どんなに幸せだろうか。


『分かったわ。じゃあ、もし間違ってたら謝ってね?』


『もしもの話は、しない!!』


『分かってるわよ〜。2人で必ず生きましょうね』


そう、話したのだ。たわいも無い話として。その時の返事が今⋯⋯聞けた。まさか、私と心中してくれるなんて思いもしなかったけれど。






あんなの冗談なのに。





リアムに殺させるわけないじゃない。





これが私がこの世界で、できる最後の仕事かな。とっても楽しかった。最初は死なない為にって必死に生きて、それから好きな人が出来て、婚約までして。


推しも眺めてイチャラブ見るつもりだったのに、あんまりイチャイチャしてくれないし。そこは不満だけど。


あぁ、それと初めての友達に新しい家族まで出来て⋯とっても幸せだったのに。ウィンやソイは、精霊様の元へ、ピィリアスは元いる場所に返した。


避難という形で、皆嫌がったけれど無理やりね。皆には、沢山言いたいことがあるな。けど、ありがとうとごめんなさいを伝えたい。





許される時間があるのなら⋯⋯せめてそれだけでも。













さてと、準備をしなくちゃ──










私の体は更に⋯闇の中へ徐々に溶けていった。










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