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60/75

60、終焉

本日をもって完結まで投稿致します。

最後までお読み頂ければ嬉しいです。




ソフィside



目が覚めた時には、私はベッドの上にいた。このベッドは見覚えがある。診療所のベッドだ。父が私を見つけたんだと思う。獣人だから鼻が利くだろうしね。


私はもう少しすると、自我が消えるだろう。そうしたら何をするか分からない。


『自我が消えるってどういうこと』


今まで黙っていたソフィが聞いてきた。


今、私の体は限界に近づいてる。私の使う闇魔法は体に負担がかかるの。私の闇魔法の魔力は特別でね。純粋なの。


スザクも闇の魔力を使うけれど、私の魔力とはまた別なのよ。だから本来、私は闇魔法を無闇に使ってはいけない。


普段用として使う分なら一生不自由なく生きれたでしょう。私の魔力量は膨大だからね。だけど、私は⋯⋯⋯いつの間にか、魔力をある一定値以上使ってしまった。





それがトリガー。





そのトリガーを超えてしまうと勝手に魔力を使った量が蓄積されていく。そして、侵される。私が書いたストーリーでは、禁忌を侵しまくったせいなんだけれど。


それで、自我が消えるって言うのはね⋯⋯魂の消滅を意味する。



「⋯ソン⋯⋯⋯ナ⋯!?」


「どういうことダ?!」


「ピィー?!」


あら、3人も聞いていたの??


「キイテル!!!」


ウィンが怒鳴った。


「ウィンが怒鳴るなんて珍しいこともあるのね」


「何、レイセイにイッテルんだヨ?!!」


「冷静だと⋯⋯思う?」


「うっ⋯⋯⋯」


「冷静にいれるわけないじゃない⋯⋯⋯」


自然と頬に涙が伝っていた。泣いたって何も変わらないのは分かっていたけど、いつ。自我が無くなっても、おかしくない状況なのだ。血を吐いたんだから。吐くまでの症状が出ると末期を意味する。


「私が消えて⋯⋯みんなを傷つけたらどうしようって⋯⋯ストーリー通りなら私を倒して終わりだけれど傷つくのは間違いない⋯⋯!でも、時期が早すぎる⋯アイラお姉様がまだ⋯⋯聖女の本当の覚醒をしていない。ということは、私がこの世界を殺すかもしれない。だけど⋯私、死にたくない⋯⋯皆を殺したくない⋯。好きなの!!この世界が!!私が作った世界だけれど、この世界に命が宿ってて⋯すっごく感動して。相手の顔を見て喋ることが出来て⋯⋯!!同じ世界に生きてるって感じれて⋯⋯⋯あーもうぐちゃぐちゃだわ⋯⋯。私は、リアムのお嫁さんになって⋯学園のみんなと推し達と⋯⋯せっかく⋯仲良くなれたのに⋯⋯⋯ストーリーは変わったんだって。いい方向に向かってると⋯⋯思ってたのに───ぬか喜びだった⋯⋯バカみたい⋯」



なんで⋯⋯今この時なの?ホントなら、猶予はもう1年あったはずなのに。なんでこんなに早まってるの。


遅れたり早まったり⋯もう訳が分からない。だけど、疑問に思ったって仕方ない。私は決断をしなければ。











自害か─────














消滅か─────


















2つに一つだ───











どっちにしろ、死ぬけれど。あぁ、私は⋯⋯お別れの時に笑っていられるかな⋯。悟らせないように出来るかな。二つに一つなんて言うけれど、二つの選択肢なんて元から無い。


消滅を選べば、結局⋯皆を傷つけることになる。そんな私の選択肢は自害しかないじゃない。しかも相手(・・)に悟らせないようにしないといけないし⋯⋯。


「ソフィごめんね⋯⋯あなたの体を殺すわ」


『⋯⋯⋯本当に他に方法は、ないの?』


「ない⋯⋯⋯。言い切りたくはなかったけど、私が助かる方法はない。私が描いたソフィは、絶望しながら消えるの。ソフィはレン様を愛していた。でも、レン様は聖女のアイラお姉様が好きだった。それに嫉妬したソフィはアイラお姉様に嫌がらせをしていく。最終的には闇魔法の禁忌を使って自らの手でアイラお姉様を殺そうとする。けれど、それがあと一歩手前で出来なかった。この世界の無に殺されるから」


『無とはなんなの?』


「そうね⋯⋯無って言うのは、そのまんまの意味よ。何も無いの。だけどね、探しているの器を。その器になるのが、この私。ソフィなの。まぁ、体を乗っ取っても戦いの末にレン様とお姉様に殺されるんだけど。でもね、そんなの推し達は知るわけも無いし、本来の物語に出てくる悪女の結末なんて誰も知ろうともしないし知りたくもないだろうし。彼女の結末を知っているのは作者の私だけ。ちゃんと話をするとね?原作は、ソフィがレン様に一目惚れして」


『えぇ、そこは間違ってないわ。あんなに綺麗な人は初めてだったの。眩い光を見たのは初めてだったの』


「そうよね。そう、それでねソフィはレン様に愛されたくて色々と努力はするのだけれど全然振り向いてくれないの。一方的な片思い。それに、政略結婚でもあったしね。そして入学した時に問題は起こった。ヒロインが嘘偽りない姿を見せていくうちにレン様は救われるの。それが恋心に変わる。それを見ていたソフィは嫉妬に狂った。ソフィだって嘘偽りなんてしてなかったからね。確かに笑顔は気味が悪いし、そもそもが暗いし、元から悪いイメージを持たれやすいという不運が不運を呼んで見向きもされなかったソフィは恋心が憎しみに変わるの。でもね、愛してるのよ。レン様を⋯⋯まぁヤンデレと言うやつね!(気楽に言うな馬鹿)


『それで、ヒロインを殺そうとしたのね。意地悪だけではすまなく。でも、レンも浮気なんじゃないの?婚約者がいるのに』


「それは!!言っちゃダメなやつなの〜!と言っても、レン様は2人きりというのは人目を避けて見えない場所で会っていたから。知ってるのは私だけよ。所謂、ストーカー?よね。あら怖い」


『もう!!おちゃらけた風に言わないで』


「はいはい分かってるわよ〜」


でも、こうでも言ってないと⋯⋯。また⋯泣きそうなんだもん⋯。






死ぬのは怖い。








自分で死ぬんだよ?でもさ、愛してる人を守れるなら死んでも構わないと思ってるのは事実なんだ。こんなふうに思えるなんて思いもしなかったわ。


この世界に産まれたからこそ、この思いを知る事が出来た。私は主人公にもヒロインにもなれないけれど⋯⋯。最後まで、やり遂げたいと思う。


『ひとつ言いたいのだけれど、そのトリガーとやらの原因は莫大な魔力の消費よね』


「うん⋯」


『なら、その原因はあの誘拐されたあの時よ──』


「⋯⋯⋯ッ⋯⋯!!!」


「えっ!?ボクたちが、動けなかった時の話ダヨネ?」


「そうだわ⋯⋯魔力を使い切ると、ぶっ倒れるの。だから、わたしは⋯⋯⋯あのクソ男があぁぁぁ(お口が悪いです)!!!」


叫んですぐ───





バァン!!!






「ソフィ!!大丈夫か!!?」


「あっ⋯⋯⋯お父さま⋯⋯」


グラン先生が来てくれたのだ。


───



「目を覚まして良かった⋯血を吐いていたからな⋯。体を見させてもらったが、どこにも異常はない⋯。なぜ血を吐いたのか⋯理由は分かるか⋯?」


私が答えるべき事はただ1つ。


「いいえ⋯分かりませんわ⋯」


「そうか⋯。とりあえず、連絡はしておいた」


「リアムに⋯?」


「あぁ、それとネルに」


「お父様⋯今⋯!!ネルって!」


「⋯⋯!!」


「ふふふふ⋯そんなに顔を真っ赤にさせちゃって!初なんだから!そうだったのね⋯!そんなに進展してるなんて!娘として嬉しいわ!」


「って、俺の事はいいんだ!!とりあえず⋯まだ安静にしてるんだ。いいな?」


「はい、分かっていますわ。心配してくれてありがとうございます」


「⋯分かったならいい。それじゃあ、また後で来る」


「はい⋯」


そうして、お父様は出て行った。


『ソフィ、ひとつ言いたいことがあるのだけれど』


なぁに?


『リアムに話さないつもり⋯?』


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」


『なんでも話すって、約束したわよね?それを破るつもり?』


その時、私は⋯そうだったと思い出した。こんな大切な事も忘れていたのか。でも言いたくない⋯言えないのが本音では、ある⋯。


でも約束を破りたくはない⋯。言った上で⋯納得してもらってお別れするか⋯出来るかしら私に。


『できる出来ないじゃない。やらなきゃダメなのよ。死ぬにしても、黙って何も言わないまま死んだら私がリアムの立場だったら怒るわよ』


それもそうだ。私が逆の立場なら、教えて欲しいと思う。なんで言わなかったの?!言ってくれなかったの?!ってなる。





ストンと心に落ちた。リアムには真実を話そう。全て(黒歴史)は終焉へと向かっているのだと。




















そこに、私の未来はないのだと────














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