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6、光を映さない王子様


皆様。おはようございます。私は今、ものすごく眠いです。あれやらこれをと考えるうちに、寝れませんでした。自業自得です。ハイ。


なので、買い物に行くつもりが⋯。今はベッドの中に、まだいます。そして、すっかり忘れていたのが⋯お勉強です。出かけるー!と呑気に言っていたけれど、毎日⋯妃としての授業ありました。


ん?あ、そうだわ!!脱走すれば良いじゃない!!!私、賢いっ!!


将来は闇の魔法を使った、空間移動魔法も使えるようになる(ソフィ)


「ふふふふふふ⋯」


今からが楽しみだわ!!そうして──私は日々、闇の魔法をスザクに学びながら密かに他の魔法も練習し、体術も乗馬も習い様々な悪事を避けきれるよう鍛え続けました。










それから──約3年が経った今⋯。









私は10歳の誕生日を迎えた。


「ソフィ、おめでとう」


「ソフィ、産まれてきてくれてありがとう」


「ソフィ様!おめでとうございます」


両親にも、おめでとうと言われ。使用人の方々にもおめでとうと言われた。以前の私は、使用人達に好かれてはいなかった。


だって気味悪いお嬢様として、通っていたらしい⋯。ただ、今は妃になるための教育を逃げ出す、お転婆で大変厄介なお嬢様へと変貌を(好かれて)遂げていた(いる訳でもない)


そうなのです。聞いてくださいまし!私、ソフィはですね!!なんと!なんとおおお!!闇の魔法を使った空間移動魔法を習得、致しましたの!!


おっーほっほっほっほっ!!なので、好きな時に行きたい場所へ行けるのよ。まぁ⋯1度行った場所しかダメなのだけれど。なので、スイスイと脱走は可能!!



なんて素晴らしい!パチパチパチ(はい、拍手)



これは私とスザクだけの秘密ではありますけどね。勿論、スザク先生も習得致しましたわよ?ふふ⋯。さぁてと、今日も逃げ───


コンコン。


「お嬢様。レン・クラトゥニィウス様が、いらっしゃっています」


「!?」


私は今、一瞬すごい顔をしていたと思う。有名な絵画で例えるなら⋯ム○クの叫びのように。だって、私が脱走を試みて──はや3年。1度たりとも、家に来なかったレン様が自ら来たんだ。


ヤバイとしか思わないじゃないか。あ、あれか?!本編始まる前に断罪か!?断罪なの?!お、落ち着きなさい。私⋯!


何かあれば、逃げればいいの。弱肉強食で、強い者は勝つ。逃げ足の早い者も勝つ。その後者になればいいの。たった、それだけよ。


「分かったわ⋯お呼びして」


「かしこまりました」


そして、レン様はやってきた。あの7歳のお茶会で見た時と変わらず、美貌は健在。ただし、瞳に光を映さない虚ろな目をしたままで。


─────


───


──



レン・クラトゥニィウスside


⋯⋯僕が6歳の時。婚約者が出来た。ただ、7歳の時に開かれたお茶会辺りから、その婚約者になったソフィという令嬢が⋯妃になるための授業を抜け出すという事態になっていると聞いた。それも約3年間。


僕としては、どうでもいいのだけれど⋯。なんせ王と妃なんて、ただのお飾りだからだ。とりあえず⋯そのお飾りの両親に言わせると、貴方の婚約者なのだから何とかしなさいとの事だった。


つくづくどうでもいい⋯。面倒だ。誰が僕の婚約者になろうと、どうでもいい。それぐらい⋯本当にどうでも良かった。彼女に会うまでは。


ソフィという婚約者の部屋に招かれ、初めて対峙した。と僕は思っていたが⋯相手はそうではなかったらしい。


「クラトゥニィウス様⋯」


それじゃ、誰を呼んでいるか分からない。呼び名くらいは⋯ちゃんと決めておかないと。


「⋯⋯レンと呼んで」


彼女は息を飲んだ気がした。


「わ、わ、わ、わ、分かりましたわっ!レン様!」


なんなんだろう。この令嬢。騒がしい⋯。


「そ、それで⋯レン様。私に何の御用で?」


「君、授業を抜け出してるって聞いた」


「⋯⋯えぇ⋯⋯」


「何故?」


君は、僕との結婚を望み⋯最初の頃は授業も真面目に受けていたと聞いている。ただ、その一年後から脱走するなど行ってきたと聞く。


「何故?私、3年前から言い続けていますわよ?婚約を破棄させて下さいませと」


「どういうこと⋯?君は僕との結婚を望んだんだろう?」


「えぇ、それは以前の私の話ですわ。今の私は望んでおりません。大丈夫です。レン様には、後々素敵な御令嬢と、ご縁がありますから」


「⋯そんな事は、どうでもいいけれど。とりあえず、婚約は破棄したいって事だね。分かった」


「レン様、おひとつお聞きしたい事がございます」


「なに⋯」


「何故、こちらにいらしたのです。貴方ご自身のお考えですか?」


「そんな訳ないだろ。僕は両親に言われたから来ただけだ」


「そう、でしたわね⋯。レン様。外に出られた事は、ありますか?」


「王宮⋯以外?」


「えぇ」


「ない」


「仕方ありませんわ。楽しいことや、今この国の現状を教えて差し上げます」


「は?」


彼女は使用人に何かを告げると、僕の手を引っ張り、衣装⋯が沢山ある部屋へ僕を連れていった。そこには男物の服ばかり。な、何が起こるんだ?


「そうですわね⋯レン様には、これが似合いますわ!さぁ、着替えてくださいまし!」


僕は、いつの間にか手渡された服に着替えることになっていて⋯⋯。いや、ちょっと待って⋯。着替えるにしても、君がいると着替えれない⋯し。そもそも、この服をどう着れば良いのかすら分からない。


「あら。レン様にも恥じらいは、あったのですね。でも大丈夫。そんなの気にしなくて結構ですわ。私は少年の裸には萌えませんもの!!」


「も、もえ?」


「あら!失礼!なんでもありませんの。おーほっほっほっ」


意味深なセリフを吐いた後、高笑いする彼女。一体、なんなんだ。そうして、服を着替え⋯頭に何かをつけられ身支度が終わると⋯また手を繋がれた。目の前にいる彼女は、どう見たって男にしか見えない。


「目を瞑っていて下さい」


僕は。すんなりと頷き目を閉じた。目を閉じて、数秒するとガヤガヤと騒がしい声が聞こえてきた。なんだ此処⋯。


「ここは城下町ですわ。すごく賑やかでしょう?街は生き生きとしているのですわ。まぁ、ここだけ(・・・・)ですけれど。では早速、露店など見て回りましょう?」


初めて見るものばかりで唖然とする。人々は無邪気に笑い楽しそうにしている。僕は、いつも笑顔の裏にある何かに──。いや、とりあえず⋯裏表がないんだと知った。


「さぁ、これを食べて下さい。あ!毒味しないといけないんだったね」


彼女は、黄色い食べ物にかじりつきモグモグと頬張る。小さな動物みたいだ。


「大丈夫だよ。さぁ、食べて」


興味もあったから、すんなり口にした。


「美味しい⋯」


「でしょう!この食べ物はですね、コーンというのです」


「へぇ⋯」


「さぁ、まだまだあるよ!行くよ!!」


そうして、城下町にある食べ物を彼女と共に食べ尽くした。王宮では食べたことがない味に驚いたり、色々なことを知った。




そして、この国の現状も───。






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