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36、嫁に怒られました






私が転移した先は──



学校の裏庭。


何故かって?やっぱり、見学はしたいでしょ?学校ぶらぶら探索!だってよ!?




私が描いた学園が今、目の前にあるのよ?!!



見なきゃダメじゃない!!先生には建前であんな事言ったけど。


そこから移動してキョロキョロしながら歩いていくと。チラホラと生徒はいた。ていうか⋯ものすごく、視線を周りから感じる。



なんでだと思ったら──。



えぇ、制服じゃなくて普通の格好だったのと明らかに──女子からの視線が多い。




思わず───




ニコリと普段は引き攣るであろう頬の筋肉を動かして微笑む。







否───女性達が倒れた!!









恐怖に倒れたようではなく⋯

フラリと倒れた。

そして


「あぁ────麗し⋯」


とブツブツと頬を染めながら倒れる女性達が続出。なんだこれはァー!!!と叫びたいが叫べそうにもないので⋯⋯


とりあえず、何処かに姿を隠さなきゃ!と思ったところで。温かい⋯⋯私が知っている゛手゛に掴まれた。


「こっち来ると!!」


「⋯⋯!リアムッ⋯⋯!」


瞬時に小声でその言葉だけを交わす。


幸い、追ってくる人もいなく──


身を隠すことが出来た。





そうして彼の第一声は─────!!





「何をしとるばい!!そんな格好で!部外者として締め出されとったとよ?!!」


はい、案の定⋯怒られました⋯。あぁっ!でも怒ってるリアムも大好きです!!ご馳走様ですっ!!


「ごめんなさい⋯すっかり忘れて⋯」


「忘れてじゃないだろ⋯はぁ、俺がいなかったらどうなってたと思ってる」


急に戻った口調!方言のままで良かったのに!!と嘆く暇はない。


「すみませんでした⋯」


「それに⋯どう見ても男として間違えられてるだろうし⋯⋯服は?」


「ありますわ!」


「このまま、転移して部屋に戻るのか?」


「そうですわね⋯アイラお姉様が帰ってるかどうかは分かりませんが。風呂場に転移すれば大丈夫でしょう」


「分かった」


分かったと言った声は──何だか沈んだ声だった。


「リアムに少しでも会えて嬉しいですわ。この後、まだ時間がありますでしょうし⋯⋯。後程、少しの時間⋯一緒に構内を回りませんか──?」


私なりに頑張って誘った。ドキドキと心臓が煩い。確かにお互いの気持ちを確かめあって通じ合った後でも──




やはり、緊張はした。






「うん!おいも一緒に周りたいと思ってたと!!」


それはそれは満面の笑みを浮かべて返事をしてくれた。心に、お花畑が宿る。それぐらい心が浮き足立って嬉しい。


何だこの恋が実ってない前みたいな感情は。でも、とにかく嬉しいので早く支度をしなくちゃ。支度に手間がかかるほど一緒にいれる時間が無くなる。



それは勿体なさすぎる!!!




「では、先程の噴水の場所で」


「ん。また後で」


「はい!」


そうして、私は自室の風呂場へ戻った。アイラお姉様は、帰ってなかったようでひとまず安心だ。早く着替えなくては!!


『髪、セットしてあげるヨ!』


『オレにも任せロ!』


ウィンが風魔法を使って私の髪を綺麗にセットしてくれた。少しでも明るく見えるように、括っていた髪をそのままグルっと巻いて団子に。そして、ソイが火(ほんの少しだけ扱える)魔法を使って(所謂、ドライヤー)触覚ヘア(の代わり)と呼ばれるものをクルッと巻いてくれた。うん。完璧!


「ありがとう!ソイ!ウィン!」


そうして、私は慌ただしく庭へと向かう。


私はリアムに夢中で気づいてなかったけれど、「あの令嬢って?」と噂されている事には気付きもしなかった。


「お待たせっ!」


「ソフィ⋯⋯!走ってきたら駄目ばい!」


あ!!すっかり忘れていたわ。


早く急がないと時間が減る!!という私利私欲だけの感情に突き動かされて令嬢としてはあるまじき行為⋯走ってきてしまった(色々と終わってる)


「申し訳ございません⋯つい⋯⋯どうしても、リアムに早く会いたかったので」


そう言えば、リアムは言葉に詰まって⋯頬はほんのり赤い。


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ッ⋯⋯⋯⋯⋯俺⋯も」


俺も⋯と聞こえるか聞こえないかの声量で言われた。勿論、聴き逃してはいないわよ!!おっほーっほっほっ!!


「あの⋯⋯では、行きますか?」


「あぁ。行こう」


そうして、私の手を取ってくれた。ほんのりと温かい手に包まれて、気持ちがフワッとなる。


何だか⋯小学生みたいな感想しか言えないのが何とも歯痒いのだけれど。何年も恋してない⋯⋯いや2次元オタクの私にはコレが限界なのである。


「リアムは案内してもらったと思うけど、どうだった?」


「そうだな⋯⋯強いて言うなら、食堂」


「食堂!!」


「ん。食堂では、朝昼夜で時間は決まっているが食べたいランチを無料で頼むことが出来る。ABCってランチがあるんだ」


「へ、へぇ〜」


や、やったぁー!!!私の裏設定がそのまま存在しているわ!!小説の中では食堂の説明は深く追求されていない。


何故なら、舞台として使わなかったから!!いじめの舞台にね。でも裏設定で前世で言う三ツ星シェフぐらいの凄腕料理人のご飯が、毎日3食。


しかも、3つのランチがあってそれをタダで!!食べれるという夢のような設定をしていたのよ!!まさか!!まさかぁー!!ありがとう!!神様!!ありがとう私っ!!!


「ソフィ⋯⋯?大丈夫か?」


「だ、大丈夫よ!ん?ちょっと待って⋯⋯」


そう言えば、すっかり忘れてたわ!!学園での規則について。門限は九時。女子寮に男子立ち入り禁止。男子寮にも(既にやらかした事を)女子立ち入り禁止(忘れている)


因みに、この世界は前世と同じ24時間で一日が終わる。食堂では6時から8時の間に朝食ランチ、12時から13時までが昼食ランチ、18時から20時の間が夜食ランチの時間。


という事はよ??夜のご飯も⋯⋯リアムと一緒に食べれるじゃない!ひゃっふうううぅ(荒ぶっております)!!


「ソフィ⋯百面相してどうしたと?」


「はっ!!あーえっと、そう言えば⋯夕食も一緒に食べれるんだなぁ⋯って気づいたら嬉しくって!!」


「⋯⋯!!」


「嬉しくない⋯?」


「嬉しか⋯⋯」


そう照れくさそうに、でも満面の笑みでそう言ってくれるリアム。キャァアアアアアァァッ!!!!I LOVE YOU!!と叫びたいわ(既に叫んでるだろ)!!


『煩いわね。私の身にもなってよ。リアムと会う度に貴方の悲鳴(正しくは黄色い悲鳴)を聞かされて嫌だってのに』


良いじゃないの!!貴女も好きでしょ?私と同じ気持ちでしょ?!


『⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯』


ほぉら⋯図星じゃない。


『違うわよ⋯。呆れていただけ』


えっ?そうなの?


『そうよ⋯』


ふぅん?まぁいいわ。この生活、満喫してやりますから!!待ってらっしゃい!!未来!!


『あーあ⋯完全に壊れたヨ』


『いつもの事だよナ⋯』


『はぁ⋯⋯⋯』


3人はため息をつくのであった。


───



それから他愛もない話をして、夕食も一緒に過ごしてから部屋へと戻った。有意義な時間を過ごせたわ。


「ふふ⋯⋯⋯とても嬉しそうですね」


そう言ったのは⋯アイラお姉様!!


「えっ!!顔に⋯出てたかしら⋯?」


「はい⋯⋯!カンタレラ様の周りにお花が飛んでおります!」


ぇぇええええ!!!?そこまで浮かれてるの?!私!!


『自覚してなかったの?!馬鹿にも程があるわ⋯⋯』


ソフィはやれやれと首を振っているのが想像できた。


「は、恥ずかしいわね⋯⋯」


「カンタレラ様は可愛いです!あッ⋯⋯!今はタルアニア様でした⋯⋯すみません⋯⋯!!」


「お世辞でも嬉しいわ⋯」


なんて言ったって!!あの!!ちょー美少女のアイラお姉様に可愛いです!って言われるなんて!!貴女の方が可愛いです!!と叫びたいのを我慢する。


『我慢してないじゃない。現に、私には聞こえてるわよ』


と言われたが気にしない。


「そうね⋯私、正式に名前が変わったものね⋯⋯」


「あの!!お世辞じゃないですし⋯!!そうですね⋯⋯素敵なお名前です」


「ありがとう」


まさか、主人公ちゃんとこんなに穏やかに話しているなんて⋯⋯転生したと知った時の自分だったら信じられないだろうな。こうやって関わるつもりもなかったのに、関わらざる負えなくなっているのだし───。


「あ⋯⋯タルアニア様の寝間着は、かっこいいですね!」


「そう?ありがとう」


生地の色は黒で、縁の部分には金色の線が入っている。そして、左胸の部分に紋章が入っている。私がデザインした紋章。


まぁ現世の紋章を自分なりにアレンジしたものだけれど。猫と狼が主役の紋章。え?どこからその発想をって?え?聞かなくても分かるでしょ?



勿論────



『はいはい、リアムね。分かったわ。1回黙りなさい?』


ものすごく低い低音ボイスが聞こえた。はい、黙ります。ごめんなさい!!


「これは猫さんと狼さんですか?」


「そ、そうなのよ」


「可愛いですね!」


「ありがとう⋯⋯」


あ〜!!!ヒロインちゃんに私の描いた服を着せたい!!着せて写真を撮って!!!眺めたい!!!


『だから、黙りなさい。変質者』






ガーン⋯⋯!!!!






ものすごく心に刺さった⋯ほんとにすみません。ミジンコになりますから許して下さい。


『あら?本当になれると思ってるの?馬鹿なの?出来ないことは言わないで』


はい、ごめんなさい⋯。


「あの⋯タルアニア様⋯⋯。大丈夫⋯ですか?」


そうして────


下からの攻撃をくらった。






ぐはっ!!!!








私はそのまま倒れて、眠りへと落ちた。


『耐性無さすぎじゃない?!』


『アハハハ!!面白すぎるヨ!!』


『白目剥いてるゾ!!どんな威力なんダ!アッハハハハ!!』


「タルアニア様っ?!!だ、大丈夫ですか〜!?!!」




そして、夜にアイラお姉様の悲鳴が寮に響くのであった。



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