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35、思わぬ家族の構図







さてと、そろそろ2人は終わったかなぁ。買いたいものも買えたし、準備は出来た。


後は、グレン先生に話を聞くだけよ。


そうして、帰ってきた私は、また爆発しそうになった。




何だよ?!!この甘ったるい雰囲気は?!



え、何?!何時間も放ったらかしてきたけど、2人とも何も喋ってないんじゃない?!


ネルはずーっと俯いたかと思えばチラッとグレン先生を見て⋯2人して目が合うと照れあって。




え?何?なんなの。私への拷問なの?!






リアムぅぅうううう!!!!






リアムに会いたいわよ!!なんでこんなバカップルみたいな(お前もな。)場面を見せられるのよぉぉぉぉ!!!


ハッ!!挨拶はしたんでしょうね?!


「2人とも、ただいま」


「あ、あぁ⋯おかえり」


「あ、お帰りなさいませ⋯ソフィ様⋯⋯」


「因みに、ちゃんとお話出来ておりませんわね?」


2人は仲良くビクッと反応した。


はぁ⋯


「これは図星ね⋯。まぁいいわ。じゃあ、まずは──お互いの好きな食べ物は?まずはグレン先生からね」


「えっと⋯⋯肉⋯」


「あ、私もお肉好きです」


そうよねぇ、ネル大の好物よねぇ⋯⋯。


「そうなのか⋯⋯」


と言いつつ何だか嬉しそうなグレン先生。


はい次。


「じゃあ、好きな趣味は?次はネルね」


「私は読書⋯が好きですが⋯⋯たまに、武器を見に行くのが好きです」


「俺も、武器を見るのは好きなんだ。まぁ⋯仕事柄でもあるからだが」


「えっ⋯?どういうことですか?」


ネルが問いかける。


「俺は医者だ。治療の際に⋯武器で負傷した患者を見る時に少しだけ役に立つのもあるんだ。武器の構造や⋯刺されたまま運ばれてきた患者の場合。刃物の形とかな」


「へぇ⋯⋯」


そんなので医療に役立つなんて!!(この世界だけです☆)


「ていうか、私⋯思ったのよ。貴方達、結婚しちゃえば?」


ぶっ飛んだ発言をしたソフィ()


「「えっ!?!」」


何だか、そんな気がするわ。

ていうか、私の目的からだいぶ逸れていってるわよ!


「というのは冗談か、真面目に言ったかどうかは置いといて。グレン先生。私の父になってくれたのは本当なのですか?」


「⋯あ、悪い。あぁ⋯そうだ」


「本当⋯だったんですね⋯⋯。私の父親になってくれたこと⋯。ご両親には反対はされなかったのですか」


「確かに、最初はそうだったけれど⋯ソフィだと伝えたらすぐに許してくれたよ。それに俺は後悔していない。俺はソフィみたいな娘ができて嬉しい」


ガタッ!!!


「⋯⋯⋯⋯⋯!!!」


突然、ネルが立った。


「そうなのです!!ソフィ様は⋯以前は根暗で⋯真っ暗で⋯⋯!もう不気味の一言が似合うお嬢様だったのですが⋯突然人が変わられたように!!」


ギクッ。

っていうかネル!そんな風に思ってたのね?!


「使用人には、お礼まで言うようになり⋯更には!」


更には?!


「とっても、頼もしく。明るく⋯素敵な美少年に成長し⋯私はっ⋯⋯虜になったのです⋯!!!」


ええええええええ!?!


そこ?!美少年?!そこなの?!


ネル?!他に何かないの?!


「美少年じゃなくて、美少女の間違いでは?」


いやいや⋯美少女とか照れるじゃないですか。いやいや待て待て。私は美少女と言われるほど素敵な美貌はもっておりません!!


「美少年なんです!ほら!今も見て下さいませ!!」


「ん?」


あ。そうだった。

男の子に見える格好してたんだった。


「あ⋯⋯そう言われてみれば⋯⋯」


「でしょう?!」


一体なぜ私の話で盛り上がれるのか分からないけど⋯⋯まぁいいわ。


「とりあえず、お返事させて頂きますわ。グレン先生⋯いえ⋯お父様。私の窮地を救って頂きありがとうございます。この御恩は忘れませんわ。それと、入学費も私財から出しますのでお手間はかけさせませんわ」


「そんなのは気にしなくていい。俺だって医者だ。それなりに貯蓄はあるし、俺は公爵だからな」


「それでも⋯ケジメだけはつけさせて頂きます。私が娘となったからには、迷惑だけはかけないように努力致します。末永く家族として⋯⋯宜しくお願い致します」


そうして、この日。



私には新しい1人の家族ができた。




グレン先生という父親を───。



────


──




「素敵な人だった?」


「えっ?!」


私達は今、村をブラブラと歩いていた。


「ネル、お父様に惚れたんでしょう?」


「えっ⋯⋯!?!わ、分かりません⋯。こんなの初めて⋯で、あの方を見ると⋯⋯心がふわっとなって⋯ソワソワして⋯でも心地よくて⋯。話しかけたいのですけど⋯上手く喋れなくて⋯⋯でもお耳としっぽが、また可愛くて⋯⋯でもお顔もキリッとしていて⋯⋯」


「それは正しく恋ね。まさか、ネルが私の母になるなんて思いもしなかったわ」


「えぇっ?!待って下さい!!私は、まだ結婚してませんし!!そもそも、ただのメイド⋯では無いですけれど。メイドである事には変わらないですから!!」


「大丈夫よ。王妃様に言えば⋯⋯上手いこと取り込まれるわよ」


ネルはなんたってハイスペックメイド。普通のメイドでは無い。確かにメイドの仕事も一流だけれど、裏の仕事も一流。


そんな彼女を貴族⋯であるお父様の傍に嫁として置く。かなり凄いことになるわよ。絶対、リアムのお母様なら止めないわ。


グレン先生のお父様やお母様だって王妃の推薦があれば⋯⋯絶対に頷くと思われるし。


「ソフィ様⋯⋯。私は───」


「言わなくていいわ。どうなるか分からないけど⋯⋯頑張るのよ?」


王妃様宛のお手紙に書いておこう。どうかネルに週一でお父様の元へ会いに行かさせてあげて下さいって。


そうして、裏通りに辿り着いたところでネルに別れを告げる。


「じゃあ、ネル⋯またね」


「ソフィ様⋯⋯お気をつけて───」


そうして私は⋯また、うっかりしていた。



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