31、彼女のもう1つの名前
リアムside
ソフィが幼い頃の話を聞かせてくれた。その直後、不安そうな顔で。
「でも、私もう⋯一般庶民になりますし⋯。この学園に通えない⋯⋯」
まぁ狙ってたと言うと良くないから言わない。
「大丈夫⋯と!!」
「へっ?!」
「ソフィ⋯病み上がりで悪いが国へ戻れるか?」
お母様に報告しよう。手配してくれるはずだ。
「え、はい。ユーフィリア様のお陰でピンピンしております」
「私も、できる事をしたいと思います!では!また後程!」
ユーフィリア嬢は慌ただしく出ていった。多分きっと彼女とは同士になれるかもしれない。
「えっ?!」
「ソフィ、悪いけど頼む」
「わ、分かりました。リアム、目を閉じてくださいね」
「分かってる」
毎度毎度、ソフィには目を閉じるように言われる。いつの間にか着いているのだ。おいの部屋に着いたとね。さ、行くか。ソフィの手を取って両親の元へ。
「お父様、お母様!!失礼致します!!」
バンッ!!!!!
あ、思いっきり開けてしまった⋯まぁいいか。
「あら?どうしたの??報告?」
コクと頷く。
「ん?ソフィ⋯そなた⋯その首の痣は⋯」
まぁ見えても仕方ない。わざとだし。
「ソフィここで待っててくれ」
「えっ⋯はい」
置いてけぼりにされているのでは?という顔をしているソフィを置いて、お母様の元へ。
「どうしたの?」
「ソフィが父親に殺されかけました。ソフィは何とか逃げれたようで命を取り留めていますが⋯」
「予期していた事だけれど⋯手は出せなかったからね。ソフィちゃんが無事で良かったわ。では、手配を進めるわ。ちゃんと射止めてくるのよ?いい返事以外聞かないからね」
「はい⋯勿論です」
そして、お母様は芝居がかったように言う。
「まぁ!!では、ソフィさん?とりあえず息子と2人でお話してきて下さる?」
「えっ?!あ、はいっ!!」
急に呼ばれて、焦るソフィ。どんな仕草も可愛いたい⋯。俺は、ソフィをテラスへと連れていった。
今日は月が綺麗に見える────。
きっと、ソフィと一緒だからだ。
この世界はおいにとってモノクロの何も無い世界だったけんど───
ソフィ君がいるから。
こんなにも世界は美しい────。
「ソフィ、今から話すことは⋯今後ソフィにとって重要な選択だ。それを心得て聞いて欲しいことがある」
本題に入ろう⋯。いや急かすのも良くないけれど、一世一代の告白を今からするわけで──
結論から言うと。心臓が煩すぎて平常心を保っていられない。
「リアム、貴方の口から⋯それを聞く前に私自身について話したいことがあります。心して聞いてくれますか?」
これは、おいが5年間待ってた話ではないだろうか。
「聞く」
もちろん聞くに決まってる。
「後悔しませんか?聞いたら後戻り出来ませんよ?」
「分かってるばい。ソフィが何を抱えていても受け止める」
ソフィはふっと息を吐き出すと。おいの目を見て言った。
「分かりました。私は⋯⋯転生者です」
「転生⋯者??」
とは?
「はい。この世界は私が作った世界なんです。転生前は取り柄のない2次元を追いかけるただの社畜オタク女子でした。ただ唯一というか第3くらいの趣味にしていた小説⋯本を書いてまして⋯。それがこの世界なんです」
頭の中で重要な箇所だけをまとめて確認する為に声に出す。
「うーんと⋯ソフィには前世の記憶があって⋯この世界はソフィが書いていた世界?」
「そうです!!ただ、私の知ってる世界とはかなり違うかもしれない。主要キャラだけじゃなくて違うキャラがいるし⋯」
きゃら?とは何だ⋯??
「違うきゃ⋯ら?」
「あー⋯えっーと。人物です。だから⋯リアムやスザク⋯は私の物語では居なかった人物なんです」
「え。おい、いなかったと?!」
俺⋯存在してなかったと?!という事は、おいが⋯ソフィに会うこともなかったという事で──。
「あ⋯はい⋯⋯」
「登場はしませんでしたが!!私はリアムと会えて良かったです!!ホントに一目惚れなんてあるんだって。知れましたし⋯⋯」
ソフィだけどソフィが少し別人に思える。それはそうなのかもしれないが⋯俺が知っているのは転生してきたという彼女だ。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯ソフィ⋯さっきから口調おかしいたい」
「うっ⋯⋯仕方ないでしょ⋯⋯。だってこれが本当の私でもあるし⋯ソフィも今は私の1部」
2人とくくるのは、オカシイのかもしれないけど。でも、ソフィはソフィだ。
「まぁ⋯どっちでもよかやけどね。ソフィはソフィ。それは何も変わらない。1つだけ聞きたい。ソフィは、いつから⋯」
「思い出したのは、7歳になりますが。7歳の時に本来のソフィは死んでいます。ソフィが亡くなったと同時に私の魂がこの体に入った。そして記憶を思い出したかのように思えましたが、実際は違うんです。魂が入り込んだが正しい。ソフィ本人から、聞きました」
ん?なんか凄いこと言ってなか?!
「えっ?!ソフィ本人と対話したと?!」
「はいっ!!」
多分、俺はびっくりした顔をしていると思うばい。
「因みに今も対話できますわよ!!」
「急に戻ったとね!?」
いつものソフィだ──。どっちのソフィも好きだと言える。これは間違いない。転生者と聞いた後でも心臓の鼓動は収まらない。
「おほほ⋯失礼致しました。とりあえず、そこまでは良かったんですけど⋯。問題があったんです。私の描いた世界は⋯いや⋯この私ソフィ・カンタレラは極悪令嬢で主人公であるアイラ・ユーフィリア様を婚約者のレン様を取られまいと嫉妬に狂ってアイラ様を虐め倒すのです。虐めと言っても軽いものでは無いですわよ。常にユーフィリア様に"死"が付きまとうのですから」
「えっ?」
ソフィがレンを愛して───狂う?
「私はアイラ様を殺しに行く役目なのです。そして、私は⋯攻略対象であるレン様を始め他の攻略対象の方々からも軽蔑され、最後には必ず死ぬ運命なのです。死に方は様々で火あぶりの刑や首をスパッと⋯とか。溺死、餓死、首吊り、岩のあるがけに飛び込み⋯などなど。たくさんのバットエンドがあるのですわ。追放とかあればいいですけど、それは一切ないので。必ず死ぬんです。まぁ、それ相応の罪を犯しているので当然ですけれど」
しかも処刑される───。
勿論、今のソフィがするはずもないと思う⋯
「ソフィが死ぬ?処刑?レンがソフィを追放?死刑にする?有り得ない。そんな事をアイツがするなら⋯おいが殺す」
ソフィを⋯愛する彼女を殺されるのであれば、おいは全世界を敵に回してでも彼女を守る為に人を殺める事を躊躇ったりなどしないばい。
「リアム?!殺しちゃダメだからね?!」
「大丈夫。ソフィは俺が守る」
この言葉を嘘になんて、させたりしない。だから改めて言うばい。
「話してくれて、ありがとう。絶対に死刑になんてさせたりしない。だけど、ひとつ疑問がある。ユーフィリアをその⋯殺そうとしたり虐めたりしなければ大丈夫なんじゃ?」
おいは、思わず抱きしめてこう呟いていた。
「それは私も思った。だけど、物語補正がかかるもしれないから。実際そんな事をしていなくても、まるで⋯悪い事を行ったかのように話が進んだりするの」
濡れ衣⋯だとか、この世の中ではごまんと存在する。
「そんなことは⋯ない!!とは言いきれんばい」
「でしょう?何が起こるか分からないから私は対策を立てないといけなくて。だから、ずっと幼い時から稽古をつけてもらっていたんです。そして私が使える闇魔法も高難易度魔法は使えます。スザク師匠のお陰でね。3年間みっちり修行して⋯10歳の時には、そこそこのレベルに達していました。その時、リアムと出会えたのは奇跡ですね」
待て⋯とても重要な───
「あの時には既に⋯いやそうだったな⋯。あの時も今さっきも⋯闇魔法を使っていたのか」
「はい⋯⋯⋯⋯」
これは奇跡としか言えない。ソフィが闇魔法を扱えるとは⋯⋯
「おいの花嫁に相応しいばい⋯」
「ふえっ!!?」
ソフィに言ってないことがある。
「ソフィ、ソフィは俺の事⋯猫の獣人だと思ってるよな」
「えっ?あ、はい」
「間違ってはいないけど、俺達王族は、猫と狼の混血獣人なんだ。そして、相性が良いのが⋯闇魔法を扱える者」
おい達の王族は、闇魔法を扱えるお嫁にするのが伝統だった。だが、俺は王族と言えど異端。
それに──
獣人の女性達は俺に嫁ぎたいという奴はいない。いや、居ても⋯王妃という座を狙ってる薄汚い奴らだけ。
今更気付いたが、俺は女性不信というか毛嫌いしていた。いやそもそも人をか。獣人も人間も関係ない。
「今、考えてる内容で合ってると思うたい。おいの花嫁の候補は⋯闇魔法が使えることが前提でもある。そうか、闇魔法使えるんだな⋯⋯。ちょっと問題が減ったな⋯。いやその前に⋯」
1呼吸おいて──
「ソフィ。ソフィが転生者で前世の記憶も持ってて⋯ソフィが前世で書いた物語が今の世界と全く同じではないけど一緒で、今後の未来によってはソフィが殺されるかもしれない。そして闇魔法も扱える。そして⋯今、実の両親から命を脅かされている可能性が高い。それを理解した上で俺は言いたい」
「は、はいっ⋯!」
「おいは、ソフィと出会った時から⋯既に惹かれていた。ソフィは俺にとって太陽であったかくて、おいにとって⋯必要な存在たい。ソフィが傍に居てくれるだけで俺は頑張れるし、ソフィと共に一生を添い遂げたいと思ってる。おいは元々⋯⋯生きてる意味を探してた。その意味を教えてくれたのはソフィたい。大事にしたいし、何者からも、おいが守る。その為に、俺は力をつけたんだ」
ソフィは俺の言葉に耳を傾けて真剣に聞いてくれている。
「えっと⋯力をつけたというのは?」
「あ⋯!すっかり言い忘れとったばい!!」
勝手にソフィ抜きで行ってた事をうっかり忘れてたとね。
「えっと、おいが⋯ソフィと出会った歳にレンと婚約関係を破棄したいとソフィは言ってた⋯だろ?」
「そ、そうですわね」
「それで、おいは⋯ソフィの婚約破棄をかけた五年にわたる勝負をレンに申し出た」
「えっ!?」
そうでもしないと、婚約を取り下げれなかったばい。
「レンが婚約破棄をしたいと申し出れば、すぐに婚約破棄が出来ていた。勿論、ソフィが脱走していた件で十分に婚約破棄できる内容だったから」
国としては婚約破棄を認めるが、レンが許さなかった。あ、その前に──
「あ⋯ごめんたい⋯⋯。ソフィを国に連れていく時に調べた」
「大丈夫です⋯!!!」
そう答えて貰えてホッとした。そして肝心なことを伝えていない。
「だけど、レンは拒んだ」
拒むことは分かっていた。レンがソフィを見る目は俺と同じだったから───。
ただ、レン本人は気づいてなかったと思うけんど。
「だから、俺は勝負を申し出たんだ」
「えっと一体⋯なんの勝負を──?」
「俺はアイツに言った。お前の国は、俺達の国より酷いと。城下町の外れに出れば飢えて死ぬ人々なんて、たくさんいた。誰もその声に耳を傾けたりしない。でも俺達の国は違うとまでは言いきれないが──餓死して死んでいる者はいない。そこで、おいは言った。そんな国に大事なソフィを置いておけない。それに獣人にも差別がある国に。これは、お互い一緒だった。だから、それも含めて──5年後。この問題を改善し、人間と獣人が平等となる国々を⋯⋯。より良い国と他国から認められた方が勝者と。そして、その勝負に──おいが勝てば法律を変える事とソフィの婚約破棄を受け入れると言うのを約束させた。逆に、レンが勝っていたらこっちに不利なものを押し付けられたけどな」
驚愕した顔になっている。無理もない。ただやはり期間は短かったように思う。
「あ、たったの5年だから⋯いい国作りはまだまだなところもある。後は、他国の審査だけど、そこは魔法を使った。やはり、獣人だから、獣人の国の方が!!とか私情を挟む奴も当然居る。だから──そうならないようにした」
「へぇ⋯⋯そんな便利な魔法があるのね」
「あぁ。審議に使う時によく使われる」
やっと、ここまで伝えることが出来た。残りあと少し⋯。
「そして、今日──おいが勝った」
ほんとに危なかった──。
「と言っても⋯ホントに僅差で⋯レンの国も格段に良くなった。飢え死にしていた人は、自給自足の生活が最低限出来るようになって、死に怯えなくなった事や──他にも根掘り葉掘り調べたら色々と問題があって──ってのはどうでもいい」
こういう政は、別に今──聞かせなくてもいい。
おいは⋯2人にとって大事な未来について今告げたい───。
「それで⋯ほ、本題に入る────」
おいは1つ大きく深呼吸した。
すぅ───────
「ソフィ⋯おいは、ソフィを好いとー。いや、愛しとー。おいと⋯共に生きて欲しい⋯⋯」
ここまで思いを伝えたなら、あと残るは⋯あの言葉だけ──なのに。
この一言を言うのが怖い。
けんど、やるしかないと!!
男は度胸たい!!
当たって砕けるばい!
「結婚して欲しか」
言えた!おい、言えたっ!!!そして、ソフィの反応を見ようとチラッと見る。
「えっ?!そんなに嫌だったと?!」
あろう事か、ソフィは泣いてた。
「ち、違います⋯信じられなくて嬉しくて⋯こんなに上手くいっていいのかとか⋯色々⋯しかもなんかロマンチックだし⋯⋯」
えっとこの反応はどういう事たい⋯⋯?混乱していると、ソフィが何か言い始めたばい。
「状況が状況だし⋯⋯私こんなだし。前世では彼氏いたことないし。結婚もしなかったし。そもそも興味なかったし。2次元を追いかけるただのオタクで⋯なんの取り柄もない私だけど、いいのだろうか⋯。それに精神年齢おばさんだよ⋯?本当にいいのだろうか」
かれし?とは、いっちょん分からんね⋯。とまぁ、ソフィの問いに素直に答えていく。
「良いばい。おいは⋯ソフィ⋯君だから好きになったとね。おばさんとか関係ない。取り柄がないって言うけど沢山あるばい。結婚しなかったって⋯それは嬉しかね。ほかの男と⋯いや、おいが最初の初めて全部貰えたなら嬉しか」
「うえっ?!!今の全部聞こえてた?!」
妙な上擦った声を出すソフィ。そんなソフィも好いとー。
「聞こえてるたい。返事は⋯⋯⋯??」
「私にはとっても⋯勿体ないですけれど⋯⋯私で良ければ⋯喜んでお受け致します。私もあな⋯貴方を⋯いえっ!り、り、り、り、リアム⋯を⋯えっとその⋯」
もの凄くドモっているソフィ⋯。なにか言おうとしてくれている。その言葉は君にとってもおいにとっても大切な言葉で。
「あ、愛しておりますわ!!!」
真っ赤な顔で、熟したリンゴのように頬を染めて⋯おいに一生懸命伝えてくれたと。
真っ直ぐおいの瞳を見つめて───
こんなに素敵な人が、おいの事を好きなってくれて⋯愛してくれると言ってくれて⋯。こんなに素敵な日は一生に一度きりたい。
ただ、この日だけじゃなくてソフィと過ごす⋯これからの毎日が、かけがえのない日々になる事は簡単に想像出来たとね。
あの日──
誘拐されたあの時に、ソフィに言われた言葉。
『ぬぁぁぁぁぁぁぁっ!!!私のお嫁に是非来てくださいませ!!』
今、思えば────
あれは逆。そして、今まさに⋯成功している。ソフィは俯き耳は真っ赤。あー可愛いか!!!けんど、余裕のない男はおいのプライドが許さないけん。
「おいにもソフィは勿体ない程、素敵な女性たい。ソフィに似合う男になる為にもっと頑張るばい⋯!!」
まだまだ彼女に釣り合うには、努力が必要だ。共に切磋琢磨していける関係を築けるように──
突然、ガバッとソフィが顔を上げて。
「私も!!リアムに似合う女性になりますわ!!それだけでなく⋯国民にとっても良い者になれるよう努力致します⋯!!」
こういう人なんだ。
おいの好きになった人は──。
俺の国の民は獣人族。人間の君からすると本来は嫌悪する相手なはずだけど、ソフィは違うから。ソフィは俺も俺の国の民も、まとめて愛してくれる。
俺だって、同じ種族なのに差別されてきたけれど。それでも、尚⋯受け入れるソフィを見て俺は変われた。いや変わろうと思えた。
「ははっ!流石ソフィだ。あぁ、後もうひとつ⋯聞きたかった。ソフィのもうひとつの名前は??」
そう彼女の、もうひとつの名前。
「私のもうひとつの名前は⋯」
いよいよ聞ける。
「鈴川 心愛」
とても心地いい音色の名前たい。
「ソフィ⋯⋯シオン、愛してるばい」
「私もです。リアム」
そうしてお互い、そっと唇を重ねた。
──
─
あの直後⋯ソフィは、ガクンと足に力が入らなくなったようで、慌てて抱きとめ⋯初なところも可愛いか!と思いつつベッドに愛する人を置いて⋯⋯
と、部屋を出る前に───
おいはつい!!!ついっ!!出来心でっ!!
ソフィの額に口付けを落としたばい。
『チュッ⋯⋯』
目をまん丸くして、驚いた顔するソフィ。とっても可愛いかっ⋯⋯!!あー!!!言葉にしたくても出来ないこの気持ちは一体⋯なんね!!
とりあえず───
『すぐに戻ってくるけん。ソフィ、いい子にして待っとって?』
ソフィは全力で頷く。そんな所も好きたい!とまた、新たな一面を知ってウキウキと⋯部屋を出た。
そうして、お母様の元へ⋯⋯。
はぁぁぁぁ⋯向かうまでに頭の中にチラつくのは、ソフィの唇⋯柔らかっ───ブンブン!!
何、考えとると?!はぁ⋯もっとソフィの傍に居たかったとね。いやいやでも!すぐ⋯にまた会えるばい⋯!!
と思って、ソワソワしていたが両親に会いに行けば──現実を突きつけられた。
「その顔だと、上手くいったようだな。 」
「はい⋯」
「あらあら!ニヤケちゃって!可愛いわ〜!!」
「そうだな。我が息子は可愛くなっ───いや、立派になったな」
それを聞いて、年甲斐にもなく─頬が赤く染まっているだろう。ソフィがこの城に来てから⋯おいの両親は、こうやって言葉にしてくれる事が多くなった。
ソフィが何故、俺がこんなにも両親に対して無愛想だった⋯自分のことは何とも思われていないと思っていたのか──
気になるみたいだったけれど、聞いては来なかった。今度、聞かれたら話そうと思う。
「ふふ、そうね。立派になったわ」
「そしてだ」
「ソフィちゃんは、女子寮に住むことになったのと──養子に入ってもらったの。彼女の許可を取ってないのだけれど。先手は打たないとね?」
そう言って、薄ら笑いを浮かべるお母様は怖い。策士だと思う。
「あぁ⋯⋯それと⋯カンタレラ家の使用人が、こちらで働くことになってね。ソフィちゃんに言っておいて、貴女の屋敷の家族は貴女の元にいたいと言って、この国へ来たと」
「分かりました」
「それから、カンタレラ家は⋯勿論──傾く事になったから」
「はい⋯⋯」
「と。ちゃんとある程度の事は伝えておいてね?後日、こちらから詳しい内容を伝えに派遣するから。それと、リアム?浮かれているところ悪いけれど、貴方達学生よ。という訳で、直ぐに戻りましょうね?」
「あっ!!」
すっかり忘れてたと!!!学園の寮には門限があり⋯あ、でも───保健室!!早く帰らんと⋯!!大変ばい!!
「失礼致します⋯!!」
そして、急いでソフィがいる部屋の前まで戻るが。ふぅ⋯一旦落ち着こう。そして、扉を開ける。
ガチャッ。
「ソフィ、寝とー?」
そう声をかけて、ソフィがいるであろうベッドを見たら布団から這い出てきた。
「うおっ?!そ、ソフィ⋯それは流石に怖いけん。もう少し普通の登場⋯いや、返事してくれればよかやのに」
「す⋯すみません⋯⋯ちょっと⋯いえ、かなりソワソワしてまして!!」
それを聞くと安心する。
「お、おいと⋯⋯一緒たい⋯⋯」
同じ気持ち⋯は嬉しいたい⋯。
「大好きです!!!」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯!!!!」
彼女は、ほんとにおいを殺す気だろうか?
また、頬が熱い。いや顔があつか。
でも、ソフィも言ってくれたのならば──
「おいも⋯⋯その⋯好いとーよ⋯⋯」
その直後、ドサッと音が聞こえて。
「ソフィ?!!」
ソフィは気絶していた。
俺にとって、今もこれからも──素敵な日が続く大事な日になった。
おいは、今──世界で1番⋯幸せたい!
面白いや、続きが読みたい!って思って頂けましたらブックマークや評価を是非お願い致します!
作者のやる気に繋がります。
✵お知らせ✵
残酷的な描写が入る可能性がある為、今までつけていなかったのですがつけております。苦手な方は申し訳ございません。




