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12、獣人族の王国

明日も投稿出来たらいいな…と思う次第です。いや、書けてるんですけどね。





ソフィside




両親に伝えれば難なく許可が出た。


今の私だから、やっほーい!!って言えるけど、本来のこの子なら「あぁ、またか⋯」となって辛気臭さが増していたでしょうね。だから、地味で暗い令嬢と言われていた。


誰もこの家の、おかしさに気づかない。


そうして彼女(ソフィ)は愛を求めすぎたせいで狂うのだ。そういう経緯があるとは思わなかった。


転生してから、気づいたのは親から愛されていないこと。最初は気づかなかった。


だけど、後々⋯一緒に住んでいて分かった。


前世の私の親!!愛してくれてありがとう!!


ちょっと⋯いや、かなり厨二病入ってた私だけど。そんな、お馬鹿な私を愛してくれて、ありがとうううぅう!!と心の中で叫んだ。


そして、悪役令嬢ソフィの記憶が少し曖昧だったこと。思い出せる部分もあれば思い出せないものもあった。特に両親との思い出は思い出そうとしても思い出せなかった。


何か悲しい事があった気がするのに、思い出そうとすると頭痛や目眩を起こす。これは、かなり重症である。


思い出したくないらしい。


とまぁ、そんな回想は置いておいて⋯。





私は只今、(リアム)の国に来ております!!!あのね!?聞いて?!みんな、お耳がついてるの!!


めちゃくちゃ可愛い⋯hshsしたい。


もう隠そうなんて思わない。hshsしたいhshsしたァァァいい!!もう欲求不満爆発しそうです。


え?黙れ?あ、ハイ。黙ります、ごめんなさい。調子に乗りました。


そして私は⋯なんとですよ!!!


(リアム)の親と謁見することに!!え、ちょっと待って。これは失礼の無いようにして⋯ご両親に認めて(気が早い)貰わな(注意:両思いになった)くては(訳では無い)!!


「お顔を上げて下さい。貴女のような人間のお嬢様が私達の大事な息子を助けて下さるとは⋯ありがとうございます。ソフィ・カンタレラさん?」


「は、はいっ!」


ちゃんと見れてなかったけど、お母様もお父様もお綺麗〜!!


お父様の金の髪と瞳のサファイア色の瞳を受け継いでいるらしい。そして、お母様の方は金髪ではないものの綺麗な赤髪でいらっしゃる。


そして瞳はアメジストのような綺麗な瞳。お父様お母様⋯王様と王妃⋯は、猫耳。


きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあっ!!可愛いっ!!ってダメダメ!返事しなくちゃ⋯あくまで冷静に⋯!!


「私は当然の事をしただけです。何も特別な事はしていません。それに、私もリアム様に助けて頂きましたから」


「ほぅ⋯⋯もう名を呼び合う仲か⋯。なぁ?リアム」


「うえっ⋯と。そ、それは知らんとね」


「あらあら。動揺しているのが丸わかりだわ」


「そうだな。そこまで許しているとは──」


「あぁあああ────!!!もういい!俺の事なんかどうでもいい癖に言うな!!」


ん?何この不穏な空気は?


「「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」」


2人はピシッと分かりやすく固まった。

そして、シュンって感じで耳も、しっぽも下がった。





こ、これは!!






言葉も失うほど⋯放心状態でいらっしゃる─────────!!!


「ほらな、何も言わねぇ」


いやいや!!?(リアム)?!貴方!これだけ愛されてるのが分かるのに何故、気づかない?!


「リアム様⋯⋯ご両親が、何も言わないのはショックのあまり放心状態になっているからですわ。そ、そうですわね⋯お2人がお好き!と言ってみて下さいませっ⋯!」


「えっ!?おいが?!」


「えぇ!」


「お、おいは⋯⋯、2人が⋯⋯好きたい⋯」




ギャァァァァァァァ!!!!!




私も好きです!!じゃなくて!!



照れ可愛──食べちゃ───死ぬぅ!鼻血でる!!あれ?ほんとに鼻血⋯で、出たァー!!


王と王妃は、(リアム)が放った言葉に分かりやすく耳も、しっぽもピーン!と上がった。これは喜んでいるな!!あーかわいい!!!


さらに私は、鼻血が出た(リアルで)


先程よりも(血の量が)酷くなっていた(増えた)なんて、私は興奮しすぎて分かっていなかった。


「「「!?」」」


「「「血、血がァ!!!」」」


王と王妃と(リアム)が揃って同じことを叫ぶ。なんて、息ピッタリ!!


流石、相思相愛の親子ねっ────!


「ソフィ!!」


と、私の事を案じてくれる(リアム)の声を聞きながら


私は、意識を手放した───(手放すんかーい!)


────


───


目を開ければ、


「大丈夫とね?!」


心配そうに私の顔を覗き込む彼の顔が間近に──


あぁ⋯。また、意識がッ⋯⋯⋯⋯⋯⋯!!

いかんいかん、大丈夫⋯大丈夫。


「だ、大丈夫です。ごめんなさい。ちょっと興奮し──ゲフンゲフン⋯。みっともない所を、お見せして、すみません」


「そ、それは大丈夫ばい⋯。とりあえず、意識が戻ってよかった」


「ご心配おかけ致しました。もう大丈夫ですわ」


少しクラっとしなくもないが、大丈夫だ。


「無理はするな」


「ふふ、大丈夫ですから。ありがとうございます。それより、ご両親に愛されているのですね。リアムは」


「⋯⋯⋯??」


分かっていないなコレは⋯⋯。何を言ってるんだって顔してるし。この人⋯本当に大丈夫かな?

鈍感すぎなのよね⋯。そして、あのご両親も。


言葉で伝えればいいだけなのに。


なんて不器用なんだろう。態度で分かってもらおうなんて傲慢にも程があるのだ。勿論、前世の私の両親は 、こんな私を好きだと愛してると言ってくれた。何かあると気にかけてくれてた。最後の最後まで。


まぁでも、私の方が両親より先に死んじゃったけど⋯。最後まで親孝が行出来なかった。


本当に申し訳ない。

と、リアムのことを忘れていた。


「分からないって顔してますね。貴方のご両親は態度が分かりやすくて良いですわ」


「態度が分かりやすい⋯?」


「えぇ。だって、皆様には耳としっぽがありますからね」


「あ⋯⋯⋯。待て、なぜ君の親は⋯⋯許したんだ⋯。この国に来る事をあっさりと───。いや俺も、どうかしていた」



あ、今更それを?



獣人と人間はお互いが差別してきたのだ。そう、犬猿の仲なのである。勿論、人間の私がリアムの国に行くのは自殺行為にも等しい。

多分、この王宮⋯いや、部屋を出てしまえば。


私は悪意に晒される確率が、かなりグッと上がる。それを今、この人は気付いたらしい。


親は、なぜ許し(獣人の国に来る事)君はなぜ黙って着いてきたのかと。聞きたいのだろう。


そして、それに今まで気付かなかった事を悔やんでいる。本当に分かりやすい人だ。


更に好感が、もてる。ほんとに好きだわ。


「私は貴方の国に来たいと思ったから来ただけです。それ以上でも、それ以下でもないですわ」


えぇ。リアムの御両親に、ご挨拶を兼ねてなんて微塵も思っておりませんもの!オーッホッホッ(私情だらけだった!)


「⋯えっと、ありがと⋯。でも俺も、この国では歓迎されてないから⋯」


「何故ですの?」


え、このリアムに一体⋯歓迎されない点があるの?!ありえないわ!!


「ほら、おいの瞳⋯が」


瞳??あぁ、オッドアイのこと?それだけで人を差別するのもおかしいけどね。


リアムは人としても素敵だし、勿論ルックスもそうだけど。でも本当に素敵なのは容姿とかじゃなくて性格よね。


この人は民に何かあれば守ろうって言える人だと思うから。身分とか関係なく⋯ね。


「その瞳は、化学で証明されているわ。なんら、不思議なんてない。変じゃないし、むしろ綺麗。その瞳で何かを言われたら、この瞳の何が悪い綺麗だろ!って言ってやりなさい。それ程、自信をもっていいものよ。それに、両親から頂いたものだと思えばいいの。特別なモノってね。リアムの両親は、その瞳の事を悪く言ったことある?」


「ない」


即答だった。


「でしょ?尚更、その瞳を馬鹿にする人程⋯王と王妃を侮辱していると怒ればいいのよ。確かに人と違うって事は、すんなり受け入れ難いことだとは思うけど。時間をかければ受け入れできないわけじゃない。根本的な考えがそう簡単に変わるわけじゃないけど⋯心に訴えかけて動かすことが貴方になら出来る。私は、そう思うわ。まぁ会って⋯たったの1日だけれどね」


「───君には負けた⋯。おいが、ずっと悩んできたこと⋯。一瞬で解決したとね」


「あら?そんなことないわ。私は綺麗事を述べただけよ。でも貴方は、その綺麗事を現実にしなければならないのよ。時間も根気も必要だけど、全員じゃなくていい。理解してくれる人が必ず現れる。それは一つ一つと大きくなって、貴方にとって⋯やがて大きな力になるわ」


「その1人目は⋯ソフィ、君だ」


「へっ?」


素っ頓狂な声が出た。


「君は俺の素性を知らない時から、無条件に受け入れてくれた。あたたかい言葉も沢山貰った。そんな人は初めてだった」


「そ、そんなことないでしょ?私以外にも、いるはずよ」


「いやいない。君だけたい」


あーもう!!照れるわ可愛いわで私の心臓がもたないんですけど!?落ち着くのよ私!!


「そ、そう⋯ですの。あ、有難く⋯お言葉は頂戴致しますわ?」


自分でも何を言いたいのかよく分からなくなった。


「えっと、あぁ⋯?」


2人とも疑問形で返す。この話は、やめた方がいいかもしれない。


「と、とりあえず⋯私は大丈夫ですので。本当にありがとうございます」


「あ、あぁ⋯。それと、メイドを3人付けることにした。信頼が、ある者を厳選した」


「お気になさらなくていいのに」


私は元平民というか、立派に社会人になって炊事や洗濯は出来てたんだから!!


「お客様だからな。大事に、もてなさせてもらう」


「⋯ありがとうございます。リアム様」


「様は、いらない」


「ふふ⋯分かりました」


そんな3人のメイド達は私を見るなり、嫌そうな顔は一切表には出さなかったが、態度には出まくっていた。


うん。


お客をおもてなしする態度ではないな。まぁいいんだけどさ。ヒロインだったら、また違った待遇だろうけど。


なんせ私ですしね。えぇ、仕方ありませんとも。でも、何もされないって楽なんだよなぁ⋯。自分でしたい事が出来るっていう贅沢!!


そう、お部屋の掃除も!!


いやぁ⋯使用人の仕事とるつもりは無いのよ?でもね、なんかねー落ち着かないんだ。自分の家じゃないからだろうか。


いや、自分の家でも安らげる日が来るのか分からないけど。


いっちょ、お掃除やってやりますかー!!


────


───


──



ソフィが鼻血を出して倒れ部屋に担ぎ込まれている間の王と王妃の会話。


王:あの子が…俺達を好きだと言ってくれた…。

王妃:えぇ…私も聞きましたわ…。

王:映像残ってるか。

王妃:えぇ…残っていますわ。

王:家宝にしよう。

王妃:勿論ですわ。


単なる親バカだった。

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