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透明日記

作者: M.P.P

誰にも見せない日記。人の心の中にある「透明日記」

これは私。私はこれ。

8/13(日) 快晴


 久しぶりに帰ってきて君の後ろを歩く。

 先を行く君はちっとも振り返ってくれない。前に会ったのは1年も前だから、もしかしたら怒っているのかもしれない。本当なら今年は二人で海に行くはずだったけど、その約束破っちゃったからかな…。

 炎天下の中でも君は帽子もかぶらず歩いている。家に忘れてきたのかな。それでもちっとも後悔はしていないみたい。


 久しぶりにみる我が家。去年の春までここに住んでいたのだから懐かしく感じるのも当然だ。

 家について、君はようやく私に話しかけてくれた。去年会って以来の出来事とか、君の最近の趣味だとか、そんなたわいもない話。それでもとっても楽しい話。

 また今年も私のためにたくさんの贈り物を買ってきてくれている。果物とか、お菓子とか。結局去年も食べきれなかったのだから、もう少し減らせばいいのにと思う。それでも君は後悔していない。


 台所の方からクロがやってきた。小さいころ私が拾ってきた黒猫。私の大切な家族。

 クロは君の足元で寝転がると、ぼーっと私を眺めた。私はそっと近づいて、クロに話しかけてみる。

「ねぇ、あれからクロは元気かい?私がいなくても大丈夫?」

多分クロには聴こえていないけれど、それでもいい。後悔はない。


 少しして君がアルバムを持ってきた。私と君の、秘密のアルバム。

 私は写真を撮られるのが苦手だから、どんな写真ももれなく真顔。ぶっきらぼうでかわいげがない。それでもそんな私を君は「かわいい」と言ってくれたんだっけ。

 こんな私を選んでくれた君には感謝している。ほかにももっといい人はいたんじゃないかとも思うけど、きっと君は後悔していない。


 お盆の時期だから、仏壇が広げられている。

 私はその前に立って深呼吸をする。目を開く。去年もみたけれど、この写真もとってもぶっきらぼうに映っている。

「どうせならもっとかわいく映っておけばよかった」

 私は一つ、後悔をした。

 初めて短編に挑戦してみました。使い古されたネタな気もしますが、やはり王道で深みがある気がします(笑)

 さて、今回は前書きからお話を始めてみました。こういう使い方もありなんでしょうか?

連載小説の方も随時アップロードしていきますので、どうぞよろしくお願いします。

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