序列3位 マシスタ
どうも、相笠です。
日がまたいでしまいました。
前話もそうですが、
おかしい点があるかも知れません。
また、修正しておきます。
では、どうぞ
訓練が終わり、体育館のような練習場から騎士団長が出ていこうとし、クラスメイト達が口々に「ご指導ありがとうございました」と言っている。
ーガチャガチャ
「む?扉が開かない?」
1度経験のある事態に周りが沈黙する。とっさに僕は哨戒を発動させ、辺りの魔力を探る。
「…ッ!」
「…よくお気づきになりましたね。魔力はなるべく遮断していたつもりだったのですが…」
異常な魔力を感知して、弾かれたようにその方向を見やり、手にしていた木刀を構えると、空間がぶれて、そこから1人の男が現れた。
「…ふふ、だんまりですか。警戒されたものですね。いいでしょう。ここでは貴方は周りの安全に気を取られ、全力を出せないでしょう。私の魔力に気付いたその実力を見せてもらいますよ。ガッカリさせないでください」
男の一挙一動に注意したまま、クラスメイト達の位置を確認していると、男は術式を発動させた。その術式が完成すると、僕と男は光に包まれた。そして、周りは誰も僕らに気づいていなかった。それこそ、元からいなかったかのように。
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光が弾けると、そこは荒野だった。
「さて、驚いていらっしゃるところ大変申し訳ありませんが、貴方の実力を見せてもらいますよ、異世界人のヒナタさん。貴方のクラスメイトに貴方が不甲斐なくやられていく姿を見てもらいましょう」
男は最初から僕らの事を知っていた。そして、男の近くには東條が椅子に座っていた。否、結界内に閉じ込められ、手足を椅子に縛りつけられていた。
「あなたは魔族ですね?」
そう聞くと、男は大きく頷いた。
「そうですとも。私は魔王様の側近にして、序列3位のマシスタと申します」
序列3位。記憶が正しければ、魔王の側近はそれぞれ、頭脳による序列と武力による序列があるはずだ。そして、男もとい、魔族の装備は使い込まれたもの。つまり、武力の序列で3位の実力を持っているということだ。
「なら、僕の事は知らないんですね。そんな新人には改めて知らしめてさしあげましょう」
使う武器は昨日使った弧月刀。日本武道を習った後だと、どうにも西洋の剣は振りにくい。やはり、日本刀、もしくはそれに近い形状の武器が扱いやすい。というよりは手に馴染む。
虚空から剣を取り出した僕を見て魔族はとても驚いた表情で固まっていた。
「さて、誰に手を出したのかを知ってもらおうか」
なにかスイッチが入った感じがする。僕が真面目に戦う時は、必ずこうなる。そして…
「俺は初代勇者なんだけどなぁ。知らないかな?まぁ、今からその身に刻んでやるけどよ」
人格が変わる。いや、意識的に変えてるだけで、こう、集中しやすいというか…あれだよ。スポーツとかの試合だとプレーが普段では想像つかないような感じのやつ。
「何なんですか?貴方は?」
漸く僕が脅威に値する相手だと解ったのか、表情を引き締め、隙だらけだった態勢を直し、剣先を俺に向けて、構えた。
そこに言葉を合図も要らなかった。どちらともなく動き始めた。相手を殺す為に。
ーキンッ
1相目、鍔迫り合いになり、俺が膝蹴りをし、魔族がわざとそれを受け、吹き飛ぶ。
ーカンッ
2相目、態勢を、立て直し、低い場所から突き刺しにきた剣を俺がいなす。
ーキンッキンッ
互いに打ち合う。その中、俺は相手の力量を悟った。こいつは力とスピードがあるという事。そして、技術なんて点でダメだという事。全てを力とスピードで補っている事。そして、それを上回られた時、こいつは何も出来ないという事も。だから、俺は…
ーパシッ
剣をいなし、そのまま剣の柄で魔族の手を打った。その反動で魔族は剣を落とした。
「…ありえない。人間が…人間如きが魔族である私に力で勝るなど…」
確かに、人間がこいつに力で勝つことなんて出来ないだろう。だが、あいにくと、俺は神の類なんでね。
「さて、ここで見逃して成長されても面倒だから…ここで…死ね」
ヴェルからはなるべく魔族は殺さないでくれとお願いされたが、それはあくまでも、クラスメイト達に危険が及ばない場合だ。それに、ヴェルにはクラスメイト達の安全を第1に行動すると伝えてあるので大丈夫だろう。そう思って、剣を振り下ろして、魔族の首を切断した。
「……」
やはり、戦いという、命のやり取りをしてる以上、どちらかが死ぬ。けど、平和な日本に生まれ育った僕には割り切る事が出来ない。やはり、思い浮かぶのは命を奪ったことに対する罪悪感。
ーギュッ
気がつくと誰かに抱きしめられていた。
「陽向くん。ありがとう。そして、ごめんなさい。…辛い思いをさせてごめんなさい…」
「…東條?」
いつの間にか拘束が解けていたのか、東條は泣きながら僕を抱きしめていた。僕は、東條の行動に驚き、人殺しの現場を見せてしまったことに気づき、そして、東條の体が震えていることに気付いた。
「…僕は大丈夫。僕の心が弱かっただけ。それよりも、怖い思いをさせてごめん。もう、大丈夫だから」
予想外の事なんてよく起きる。それに100%対応するのは無理だと思う。けど、今回のように予兆のある事は防ぐ事が出来たかもしれない。
今日の事を振り返りながら、東條が落ち着くまで、そのままでいた。
泣き止んだのは、実に20分後ぐらいであった。そして、泣き疲れて眠った東條を背負って僕は王城へ戻った。
対人戦闘なんて初めて書きました。
なんか、説明ぽいですね。
そこは、これからの私の成長に期待して下さい。
では、また次回
相笠でした!