2日目 〜王城探索〜
どうも、相笠です。
ようやく2日目です。
今回は切るところが分からなかったので、
いつもより長くなりました。
では、どうぞ
「うー…」
「…えへへー」
「……」
ドサッー
何事!?
腹に衝撃を感じて目を覚ますと横田 龍一の腕が腹に乗っかっていた。目が覚めてしまったので、二度寝するのもどうかと思い、外を見る。
体感というか、陽の位置からして6時前。この世界のこの地域も、地球の日本と同じように、四季があり、陽の昇り方も違う。昨日確認した位置と陽の昇り方を考えると、春から夏の間だ。後少しでみんなが起きる時間だ。
「…はぁ、起きろー」
「うぅん。後すこしぃ」
…結局起こすのの30分程かかった。
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コンコンー
「王様、お時間よろしいでしょうか」
みんなが起きる前になんとか3人を執務室へ連れてくることができた。
「…あぁ、構わんぞ」
「陽向です。報告があって参りました」
久しぶりにへりくだりながらそう言う。
「…何だ?」
「えっと、クラスメイトが増えたというか…」
「む?どういうことだ?」
「転移する時間が遅かったようで…朝、僕の部屋にいました」
「そうか!つまり、勇者が増えたのだな!?…(これで周りの諸国に対する牽制となるだろう)」
あ、やっぱり保身が1番なんだね。まぁ、まだ若いのに白髪が目立つことから苦労してきたんだろうけど。…今度図書館で外交関係について調べるか。
「彼らの部屋は…」
「あ、あぁ、すぐに手配しよう」
やったね、そんな思いを込めて振り向くとみんなガチガチに緊張していた。
「(…あの、自己紹介しとかないと…)」
「…ふぇ?あ、わ、私根本 美咲と言います。よ、よろしくお願いします」
「わ、私は峰岸 智子です。よろしくお願いします」
「おれは横田 龍一です、よろしくお願いします」
定型文みたいな挨拶をした後、王様も自己紹介をして、僕らはその場を後にした。
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特にやることもないので、王城を散策する。…にしても広いな、この王城。どうせなら、と僕はこの世界の鍛冶技術のレベルを確かめるために、王城の、専属鍛冶師の鍛冶場を見に行くことにした。
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王城の1階の角に、つまり、物品の搬出の出入り口で、馬小屋の近くに鍛冶場はあった。
「失礼しまーす…」
恐る恐るといった様子で鍛冶場に入る。
「あ、こんな無造作に置いとくなんて…」
テーブルの上、壁、壁のラック至る所に、無造作に立て掛けてあったり、置かれたりしている。これが、この王国で1番の腕の持ち主によるものだとしたら、最盛期の第7世代に匹敵するものだと思う。が、逆にいうと、第7世代以降、鍛冶の発達はすることはなく、逆に衰退してる可能性がある、ということだ。第何世代とは、鍛冶で武器生産を始めた世代を第1世代とし、それ以降、王国の専属鍛冶師が変わる毎に第2、第3と続き、最盛期が第7世代、つまり、僕が初代勇者として召喚された時代だ。
「…第7世代、フェルディナントを凌ぐ鍛冶師は現れなかったのか…」
フェルディナントとは、ドイツの博士ではなく、僕と一緒に孤月刀を製作したドワーフだ。そして…
「魔法付与や、効果付与の術式を組んでない…?何か別の方法があるのかな…。…鑑定でも普通の能力だけ…。なら、付与魔法は廃れた…?」
「面白い事を言うね、少年。何処から侵入したのかな?事によっては牢獄送りだぞ?」
その声に驚き、振り向くと、ガッチリとした体型ではあるものの、何処か研究者気質な顔立ちの男性がいた。…ドワーフかな?それにしては細身なんだけど…
「…僕が召喚された勇者の1人と言っても信じないですよね」
「いや、信じるぞ。…信じ難い所も多々あるが…その服は王城の来賓向けの服。その黒髪と勇者達全員から感じる異質さ。特に君は異質なようだ。まるで人じゃない。…これだけあれば、信じるだろう?」
確かに、と納得してしまう。
「あなたはドワーフなんですか?あと、先程の、『面白い事』とは何ですか?」
「ふむ、そうだね。僕はドワーフとエルフの混血さ。君が付与魔法について、『廃れた』と言っていたが、あれは元々エルフによく現れるスキルであり、人族ではほとんど使い手がいない。そして、300年程前に1度大戦があってね、それきりエルフは森からほとんど出てこない。つまり、人族の間では文献にしか残ってないもはや架空上のスキルとなっているのだよ。つまり、昔、人間がそれを使えていた、ともとれる言い方をした事だね。そして、気になる所、その1、少年、君は何故付与魔法について知っている?その2、何故見ただけでその剣に、効果付与がされてないと分かった?さぁ、答えてもらおうか」
うっ…これは拙い。何が拙いかって?正直に話すと、それが王様の耳に入り、僕の自由が制御される。僕の望みは、2度目の異世界を自由気ままに生活することだ。その為に、早く魔王を倒して、みんなを地球に戻し、邪神を倒す必要がある。
…って考えて見ると途方もない道のりだよね。にしても、エルフとの混血か、道理で鋭い感とドワーフにしては細身な身体になってる訳だ。
…と、とりあえず。…なんて言おうか。
「その、僕の世界にはライトノベルという、こういう世界を題材にした小説…読み物、書物があるんです。その、中に付与魔法というのがよく出てきました。なので、この世界にもあるのかなぁ、と」
「ふむ、それで?それだけなら、気になる所、その2は説明出来ないぞ」
ふぅ、なんとか乗り切った。次は…東條が突然心が読めるようになったようにすれば…。「えと、こちらの世界にきてから、物の性能などがみえるようになったんです。一晩中研究して、知りたい物だけみれるまでになったので、王城を散策してました」
「なるほど、悔しいけど、理にかなってるね」
よし、乗り切った!
「では、最後に…何故僕の祖先のフェルディナントを知ってる?彼はとても優秀であったものの、文献には残ってない。これは、今までのでは説明がつかないはずだ」
…聞かれてたのか。確かに、彼は剣を打つ相手を選んだし、山奥の辺鄙な所に住んでるので、ほとんどの人が知らなかったのだろう。その為に、歴史に残る事もなかったのだろう。
「…何が目的ですか?」
正直、降参する他なかった。
「何、って訳じゃないさ。ただ、私は君の正体が知りたい。これでも、学生時代、研究所にいてたくさん論文を書いたからね」
やはり、研究者だったのか。…まぁ、それは置いといて
「それは、今は言えません」
「そうか…でも、今はってことはいつか言ってくれるんだね?」
「少なくとも、魔王討伐の前には否が応でも分かりますよ」
そう言って、僕は鍛冶場を後にした。幸いにも、男性は僕を引き止めなかった。
はい、次は来週ぐらいかと。
小説投稿にも慣れてきたので、
投稿ペースが上がるかもしれません。
では、また次回、相笠でした!