特定
新年度初っ端から投稿!
(月曜だからの投稿であって別に新年度関係ない)
「ちゃんと話してきたのかい?」
「一応は…まぁ、もっと色々話していたかったけどね」
「そっか…すまないね」
「…あの、1つだけ宜しいですか?」
「はい?」
「そこにいる少女は誰ですか?」
ウラジーミルさんがそう言って指さしたのは、メアル。
当の本人は不思議そうに頭を傾げている。
「ん?本当だ。陽向くん、そちらは…?」
今気づいた、という様子のヴェルに若干呆れながら、説明をする。
「えーと、彼女は、さっき仲間になったメアル。即戦力になりそうだから連れてきました」
「えと、初めまして?メアルです。魔法特化の後衛です。攻守支援、大抵は出来ます」
「へぇ…初めまして。陽向くんの保護者的ポジションのヴェルです。オールラウンダーです。基本的に陽向くんと一緒に前線を張っていると思います」
「えと…あの、初めまして。この度は英雄殿指揮の邪神討伐部隊に選ばれました、ウラジーミルです。基本的に弓を使います。この中ではダントツに弱いので、足を引っ張らないように頑張りたいと思います」
「でも、ウラジーミルさんは頭脳面や情報面では飛び抜けていますよ。足でまといなんかではないので安心してください」
一通り自己紹介が終わったところで、僕ら一行は、とある場所へ移動していた。
「ここが…?」
第何段階か忘れたけど、その目的である、負の源泉に来た。
砂漠地帯にぽつりとドス黒い何かが渦巻き、そこら一帯の砂は砂ではない何かに変化していた。
「そうですね。思っていた以上に状況は悪いようですね。メアルさん、浄化出来ますか?」
「浄化ですか?……えぇ、出来ます。ただ、如何せん数が多すぎます」
「数…?ねぇ、メアル。分かるの?」
「えぇ、はい。世界に点在しているのが分かります。これを全てやるんですか?」
どうなの?とウラジーミルさんを見ると、少し考え込んでいる様子だった。
「ウラジーミルさん?」
「え?…あ、あぁ、すみません。そうですね。これから先のこの世界の事を考えると全て浄化した方がいいです。ただ、次の本命の戦いを考慮すると、ここで力を浪費するのは得策ではないです。今、不確定因子ではあるものの、メアルさんという戦力が加わった中、勝算は上方修正、それによって、ある程度浄化すれば、十分に勝つ事が出来るという計算が出てます」
どうしますか、と訊ねてくるウラジーミルさん。そうか、僕にそれを決める権限があるのか。今の状況を考えると、後顧の憂いを断つという意味では全て浄化する方がいいのだろう。
「時間的余裕はあるのですか?魔力、時間共に余裕があるのであれば、全て浄化しましょう」
「時間は大丈夫です。定時報告でも特に異常なしときています」
「魔力的にも問題ないです」
という訳で全て浄化することになった。
「それじゃあ、始めます」
「では、僕達は周囲の魔物を倒してきます。あ、陽向くんは休んでて」
「分かった。気をつけてね」
『ご主人様。何かやることはありますか?』
『フィア?…うーん。ない、かな。それよりも、多分今から何日間か連絡取れなくなると思うけど心配しないでね』
『むぅ、やっぱり力になれないというのは辛いです。ただただ待っているだけなんて私には出来ません』
『ごめんね、でもフィア。ほら考えてみて、フィアの大事な人が危険な所にいると知っていて正気を保って戦闘出来ると思う?』
『それは…でも、私だって、大事な人が戦地に赴いているのに、それを知っていて呑気に生きれる程図太くないです』
『…確かに』
「陽向さん、浄化終わりましたよ。何かありましたか?」
「ん?いや、なんでもない。それよりも終わったんだ。ヴェル達を呼んできてくれる?」
「はい、分かりました」
『ごめん、時間が来た。じゃああれだ。終わったら1日何でも言うこと聞いてあげるから』
『それ、ふらぐ?じゃないですよね?ちゃんと無事に帰ってきてくださいよ?』
『あ、確かに。でも、安心して、世界でトップクラスの戦力をかき集めたから。簡単には負けないよ』
それだけ言って、意識を戻した。
丁度ヴェル達がやってくるのが見えた。
「完全に浄化しました」
「魔力残量は?」
「残り6割程度です。全快まで2時間程度掛かります」
「魔力譲渡するか」
「そうだね、1人1割ずつ」
「これが巷で流行りの割り勘ってやつですね。いいですね、やりましょう」
約1名ズレているが気にせずに、魔力を譲渡する。
手を繋いで不足している分を足していく。ヴェルと2人で調整して、残りの不足分をウラジーミルさんが足す。
「魔力譲渡なんて初めてでしたが、拒絶反応とか起きないんですね」
「それはね、魔力の質を調整しているからだよ」
「どう言う事ですか、ヴェルさん?」
「魔力って言うのは一人一人波長が違うけど、元を辿れば大気中にある魔素、これに辿り着くんだよね。それに近い状態に調整して他人に渡す行為、これを魔力譲渡と呼称するんだよ」
「なるほど。なら、相手の攻撃魔法を吸収する事とかは?」
「難しいと思う。なぜなら、その攻撃魔法を構成する魔力は、個人の波長のある魔力であって、必ずしも他人に適合するかは分からない。それに、相手の魔力をこちらが干渉して変質させるというのは、効率が悪い上にリスクが高い。こう言った点から難しいと思うよ」
「確かに…。ありがとうございます」
「流石ヴェル。博識だね」
「これは僕の考察だから、博識って訳じゃないよ」
「そっか。んじゃあ、行きますか」
目の前に世界の地図を表示させる。そして、現在地を示し、ウラジーミルさんに次の目的地を教えてもらう。
「次は、邪神ゼラミスの討伐。だよね?」
こくりと頷くのを確認して地図にゼラミスを表示させるようにする。
すると、光点が…でない。
「でない…」
「何か他に手掛かりは?」
「時…あ、もしかして亜空間?」
「「「亜空間?!」」」
そう、亜空間。僕が荷物を入れるのに活用している亜空間。生物は入れないという制限はあるものの、時を司る神と言ったらそれくらいしかない。
「とりあえず、それで検索してみるよ」
亜空間への入り口。そんな大まかな条件で検索する。これは、僕が記憶している世界の地形に、先程作った転移結晶を融合させて、地図上に目的地を表示させるように改良したものだ。
「お…」
「「「でた!」」」
場所は、世界の中心…大海原の中心。高度は…!?
「これは…」
「凄い高い…」
「どうやって行きましょうか…って転移結晶があるのか」
「成層圏。そこにあるのか…亜空間。どんな世界が待ってるんだろう」
示された高度は地上から約50kmの地点。そこに強大な反応が出た。
「…?陽向くん!」
その声に思考の海から引き上げられる。そして、その瞬間に背筋が凍る感覚を覚え、その場を飛び退る。
直後、晴天から雷が落ちた。
それぞれが障壁を張って耐える。
4、5発落ちた後、そんな不思議な現象は止んだ。
「これは…」
「一体?」
「どうして?」
「多分、逆探知だと思う」
「逆探知か…それは邪神の居るであろう場所を探知した事で相手にそれを悟られたと?」
「うん」
「なかなか手強そうな相手だね」
どうやら思っていた以上に手強い相手のようだ。
4月ですね。新年度ですよ。学生は新学年になって、社会人はまぁ、この日を節目にまた心機一転頑張っていきましょう
新元号楽しみだなぁ。
エイプリルフールだからって嘘は程々にね!
んじゃあ、また来週




