手段
どうも、相笠です。
「さて、小細工を仕掛けるぐらいの時間はあるか…この馬鹿みたいに多い魔力も役に立つものだ」
ふふっと笑みを零した後、どうやって一泡吹かせようか考える。
報告によると敵は南東方向からの北上。いや、そう考えるのは早計かもしれない。もう一度情報が欲しい。
「すまない。観測兵はいるだろうか」
「お、王様!?…は、はい。確かあちらの方に」
「そうか。助かる」
奥に入ると誰かの大声と足音が絶え間なく聞こえてきた。
「…すまない」
声を挙げるが動きが止まることは無い。
「…ここに!観測兵は居るか!?」
ありったけの声を上げると全員の動きが止まった。声に反応して止まり、そして誰が声を上げたのかを理解して思考まで止まった。
「「「「お、お、お、お、王様ぁ!?」」」」
そして、仲良く声を出した。
「…観測兵は居るか?」
「は、はい。私です」
そう言われて出てきたのは若い男。
「最後に魔族の進行を見た時、奴らはどの方角へ向かっていた?」
「はぁ…確か…私達の国に一直線に進行していましたが…それが?」
そうか…真っ直ぐに、ね。
「分かった。失礼したな。準備を進めてくれ」
となると、南東側の山の防衛線を活用するか。
南東側の防衛線。確か大昔に大戦で初代勇者が到着するまでの1ヶ月間もの間を耐えた防衛線。
今まで稼働している所を見たことがなかったが、魔力で制御出来ることは確認してある。
「他に使える場所…場所…ダメか。私の記憶にあるのはこれぐらいか…情けない」
魔族の到着まであと2時間程度。まだ時間に猶予はある。思い出せ…金庫の更に奥、歴代の王しか入れない書庫。そこで何かあったはず…計画…大規模…秘密裏…秘密裏?
「…秘密裏に進められていた計画」
何となくで記憶していたものの中に1つ思い当たるものがあった。
「急がなくては…!」
王城に向かって反転して駆け出す。久しぶりに体を動かしたが、全盛期より劣っているものの動いてなかったにしては上々の動きが出来た。
「王様!?」
「キャッ…お、王様!?」
「王様!?お待ちを…!」
「王様…準備が…あぁ」
誰かとすれ違う度に何か言われるが今は無視だ。それよりも策を練って少しでも時間を稼がなくては。
そして、金庫にたどり着いた。中身は全て無くなっていた。それを見て私はひとまずの安心をした。
「…ふぅ、よし」
呼吸を整えて左の壁に手を翳す。すると、私の魔力と反応して壁が動く。
「20年ちょっとぶりかな。この年でまだワクワクする事があったとはなぁ」
記憶を辿って書類を見ていく。
「あった…」
自国の防衛設備
この国が戦争を起こし、追い込まれた時、この国自体を防衛設備として起動させる仕組みを開発した。私達はこれを後世に伝えるべくこの書を記録する。
…
……
………
従って、私達は全ての山に防衛線を築き、更に北西の山の防衛線の司令部の隠し扉にとある仕組みの起動装置を設置した。これにより、本国の要塞化を可能とし、更には周りの地形を破壊する程の威力を持つ魔術兵器を使用することも出来なくなった。しかし、これはあくまでも最終手段だと覚えて欲しい。
この魔術兵器、通称ヌルは国王の命を代償として発動する。すまないが、私達ではこれ以上代償を軽くすることが出来なかった。
…
……
………
以上でこの記録を終える。無駄な諍いを起こさず、平和な国を築いて欲しい。
「…ん?」
下からもう1つ書類が出てきた。
魔族の進行を止める方法
「…な!」
急いで頁をめくる。
はっきり言うと止める方法ってのはない。ただ、遅らせる事なら出来る。私、15代国王ミルズへルドは魔族の進行を3ヶ月の間食い止める事に成功した。よってここに記そうと思う。
まず第1に私は国民の全てを国外に避難させた。何故かって?そりゃ私は勝てないと分かっていたからな。勝つ事は出来ない、けど負けない事は出来る。まぁ、つまり遅らせる事を目的としていた訳だ。
第2に、魔族の進行ルートを絞らせ、そこに幾重もの罠を張った。とはいえ原始的なものばかりで足止めにすらならなかったよ。
次に防衛設備の起動。その後は私自身が戦場に赴いて敵の注意を引き付けて敵を集める。そこに設備を遠隔操作で起動させて殲滅する。その繰り返しだった。
しかし、敵を2000倒すと2500増えるというように、敵は増える一方だった。唯一の救いとしては、旧王朝の伝説、竜騎士の騎龍が助けてくれたことだろう。北西の山の中腹にある洞窟、そこに彼らは眠っていた。防衛設備の起動と共に眠から覚めたと彼らは言っていた。事実、彼らの力は凄かった。魔族なんかものともせず、ただ一方的に攻撃をしていた。そのおかげで魔族は1度陣形を組み直すために撤退してくれた。
そして、私の実行した最後の策、それは飛行船からの爆撃。幸い、まだ何隻か飛行船が残っていたので、ありったけの武器や鉄、とにかく尖ったものや質量のあるものなんかを乗せて上空からそれらを落とすという作戦。龍の支援もあってかなかなかの戦果を上げた。
これが大まかな事の顛末。もし、また魔族が進行してきたのなら、この話を役立ててほしい。
次の頁には罠を仕掛けた場所や戦いになった場所が記されていた。もちろん、騎龍の居た洞窟や魔族の進行方向なども。
防衛設備の起動をすれば騎龍が目を覚ます…。
「…しかし、騎龍が暴れないとは限らない。安全をとるなら防衛設備の起動は国民の退避が終わってからの方がいいのか…それまでどうやって戦線を持たせるか…」
それぞれ波状で来ているならまだ望みはある。とはいえ、大型種を同時に相手することは出来ないが。
「王様…!」
「おぉ、どうした?」
宰相のスフィールドが走ってきた。
「出発準備出来ました。国民も全員集まっています」
まだ予定の時間まで余裕がある。
「教会の者は?」
「既に全員揃ってます」
「漏れはないのだな…?」
「えぇ、もちろんです」
だとしたら時間を稼ぐのも楽になる。
「なら、直ぐにこの国を出なさい」
「…最後に王様、国民の前で一言貰えませんか?」
「一言か…生きろ、しかないのだが…」
苦笑混じりに言うと宰相殿は大きく頷いてそれでもいいですと言った。
「仕方ない…後は頼んだぞ」
「えぇ、この命に替えてでも」
「ふふ、頼もしい限りだ」
2人で仕掛け部屋を出る。
余談で話す事がない!どうしよ。
もし、私にサンタが来るのなら語彙力と想像力をプレゼントして欲しい。もうね、あれですよ。言葉が纏まらない!
ってか最近、ようやく出た新作GE3をやっております。もうね、1.2とやってきた私は連日ハイテンションでプレイしてますよ!1.2を足して2で割った感じ?でしてね、部屋から1.2を引っ張ってきて久しぶりに野良で潜ったりととにかくGEシリーズをやりまくってます!
…って話すネタあったわ。
では、また次回、相笠でした!




