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現状

どうも、1時間遅れで相笠です。

今回は説明回。ごめんね。

「あれ?もう別れは済んだのかい?」

「そうだね。大事な人達だけに挨拶してきたよ。それ以外は魔王討伐直前に別れの手紙を渡すつもり」

「そうなんだ…よし、なら時間もないし早速特訓という名のいじめ…しごきと行こうか」

 天界に戻るとヴェルを筆頭とする何人かの天使が忙しなく動いていた。忙しなく動いているけど、別に焦った表情を浮かべている訳でもなくて、どこか余裕のある表情で動いていた。

 そして、僕の事を視界に収めると、ヴェルは仕事の手を止めて、僕の方によってきた。

「ヴェル、仕事は?」

「あぁ。大丈夫だよ」

「みんなは動いているけど」

「みんながそれぞれひとつの仕事を分担しているからね。元々僕に分担されていた仕事は終わってるし」

「そうなんだぁ…天界って不思議だね」

「気になるかい?」

 頷くとヴェルは張り切って説明を始めた。

「この天界はね、地上世界より遅い速度で時間が経過しているんだ。これ分かるよね。それは単純に世界中で起きている問題を出来るだけ早く解決するためなんだ。世界規模…事が大きくなればなる程ここの時間経過は遅くなる。1つの事に時間を掛けてよりいい案で、よりいい効率で解決出来る策を考えるんだ」

「なら普段から遅くしたら?」

 そう言うとヴェルは首を横に振った。

「それだと必ず誰かが堕落してしまう。危機を危機だと感じるからこそいい案が出るんだよ。平和ボケと一緒さ。僕らの仕事は失敗を許されない。だから、一つ一つ丁寧に素早くやるのが大事なんだ。それに有事の際、互いの仕事のペース、得意不得意を知っているかどうか。これが個人を活かすか殺すかを分けるんだ。だから普段から遅くやっていては何が得意なのか、どういった発想をしているのかが分からない」

「なるほどねぇ…」

「それに、今が有事なんだよ」

「…邪神か。こんなことは以前にあったの?」

「そうだね…これクラスの案件はあったし、実際に対邪神体制をとったこともある」

「え?そうなの!?」

「そう。1度僕らは邪神に勝っているんだ。だから今回は以前より早いペースでの対策が出来てる。あっちはそれ以上の侵攻ペースを見せているんだけどね…」

 そう苦笑するヴェルの横顔は厳しいものだった。

「今、現状はどんな感じなの?」

「現状…本当に知る覚悟はあるのかい?」

 僕の視界に映るヴェルは、普段のどこかほわほわしているヴェルではなく、確かに死線を乗り越え、多くの経験を詰んだ猛者を感じさせるヴェルがいた。

「うん。どうせこれから対峙するんだ。相手がどんな事をしているのか知っている方がやりやすい」

「そうかい。決して落ち込むなよ。これは僕達の責任だ」

 そう引っ掛かる前置きをした後、ヴェルは話し始めた。

「現在、邪神側は魔界と地上界の結界を破壊して、ラノバ渓谷やケルベノス洞窟をはじめとする9つの拠点を築いている。それぞれに魔王クラスの幹部がいる。それによる被害は…獣人と主とする国が1つの落とされた。さらに、各地の拠点から城壁都市の近くまでの村や里のほとんどが壊滅。つまり、君のクラスメイトの近くまで邪神側は侵攻している。今は各地の神官の結界を強化している為、突破される事はないかと思われる。ただ、全世界の人口の3割は既に…」

 予想してた以上の被害に言葉が無くなる。自分がどこに立っているのか分からなくなる感覚に陥る。

「ほら、落ち込むな。何度も言うが、これは僕達の責任だ」

 そう言うと、ヴェルは僕の肩をがっしり掴んで、それからこう言った。

「失った命はもう戻らない。けど、まだ君が救うべき対象はいる。今やることは何か自分で分かっているんだろう?なら、一刻も早くそれを果たし1人でも多くの命を救ってくれ」

 そう懇願するヴェルの顔には悲愴が浮かんでいた。その表情にハッとする。そして、自分のやるべき事を思い出す。

「ヴェル、武神の所に案内して」

「あぁ、頼んだぞ」

 そう言ってヴェルは僕を武神の所に転移させた。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 目を開けると目の前にごついオッサンがいた。筋肉質でだけど人の良さそうな顔。

「よう。辛気臭い顔してんなぁ…お前1人を頼るようで悪いが、俺達はそっちに直接介入することが出来ないんだ。だから、これからお前に俺の全てを受け継がせる。そうだな…こっちでの1週間。あっちの1日。これで習得してくれ。休みは基本無しだ」

「いや、5日で全て終わらせる。睡眠より先に全て終わらせたい。幸いに僕のスキルのおかげで睡眠はあまり要らないんだ」

「…確かにな…でも不完全だな。ほら、叡智の所行ってこい。多分そのスキルを完全にしてくれるはずだ」

 そう言って僕はたらい回しされるように今度は魔法神の元に行った。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 目を開くと、今度は目の前にいかにも賢そうな丸渕眼鏡の人がいた。研究所に居そうな質。

「おや、こっちに来たのか。特訓か?それとも他の用事か?」

「あ、はい。スキルの調整をしてこいと武神に言われまして…」

「なるほどね……具体的にどのスキルだ?不完全なのは2つ程だから全て調整しといた。あと…複合出来るのも何個かあるな…やっておこう」

 本当に研究者気質なのか、気になると周りが見えなくなるようだ。そこで少し落ち着いた所で声を掛ける。

「えと、眠らなくてもよくなるようにして欲しいのですが…」

「あぁ、永久機関ね。確かに今は半ってついてるからね……でも、いいの?君、人間辞めるよ?」

「えぇ、まぁもう人間辞めてますから」

「そりゃそうだ…よし、終わったよ。さっさと武神の所の特訓終わらせてきな」

 あぁ、また回されるよ。ってか武神が魔法使って転移させてた事にビックリなんだけど。

さて、今週で11月も最後ですね。皆さんくれぐれも体調にお気をつけて

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