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別れの挨拶

投稿遅れました。すみません。どうも、相笠です。

いや、ね?言い訳をさせてくださいよ。間違って今回の分消しちゃったんですよ。そこでモチベーションが急降下しまして。そこから上昇角8度ぐらいで上がってようやく書いたのがこれなんです。

今回出てくるフレーズじゃないけど…許してください!

追記!投稿時刻は大抵午前零時です。投稿まだかなぁと思ってる人は、それを参考にしてください。

 別れの挨拶か…。1週間で全て終わらせるとして、今日、明日で別れを済ませ、特訓する。そして、その翌日には討伐。ぐらいのペースか。ヴェルも特訓はこっちの2~3日程って言ってたし。

『…またね、お母さん』

 突然横から声がして、それで僕の意識が神界から引き戻された。

「ん?どうした?」

『あ、あれ?ここは…?』

 どうやらフィアも同じだったらしく、先程見ていた風景と変わっていることに気づいてオドオドしている。

「迷宮の前、だよ」

『そうですか…』

「誰かに会ってきたの?」

『えぇ、お母さんに別れの挨拶をしてきました』

「そっか…別れ、ね」

『えぇ、お母さんとは急な死別でしたから、ろくに挨拶も出来ませんでした』

「そっか…」

 哀愁の漂うフィアを抱き上げると、そのまま僕は宿に帰った。

「別れの挨拶。どんな感じだった?」

『そうですね、久しぶりに会って、少し思い出話をして、それで…じゃあね、って感じでした』

「そっか…。置き手紙でもいいよね」

『?何がですか?』

「いや、僕ももうそろそろ皆にさよならを告げなきゃいけないから」

『ってことは』

「うん。魔王の討伐及び邪神側の勢力の殲滅。たったの1週間で魔王討伐。それが終わればみんなとはさよなら。だから、もうさよならなんだよね」

『随分と急ですね…その、大丈夫なんですか?』

「ん?…んーまぁ、だいぶ前から分かってたことだしね。一応は、ね」

 今までに仲の良かった人や知人が死ぬなんて何度も経験している。それに比べたら生き別れの方がマシだと思う。かと言って別れに慣れているわけでもないんだけどね。

『そうですか。でも、仲良くしてた人とはちゃんとお別れした方がいいですよ』

 自分の体験もあってか、フィアはそう言ってきた。

「そうだね」

 時間が取れれば挨拶しようと思う。それよりも先に強くならなきゃいけないからね。

「さて、手紙を書くから誰かが起きたら伝えて」

 宿の食堂のテーブルに紙を広げ、4脚ある椅子の1つに座り、その対角線上の椅子にフィアを座らせる。

『分かりました』

 そう言うと、フィアは丸まって目を閉じた。

 さて、何から書こうか。まずはクラス全体宛の手紙。急な別れの謝罪と今回のことの顛末…は書けないなぁ…でも、事情と僕の役目ぐらいは今書けるかな。

「…よし」

 それから2時間ほど。だいたいA4サイズの紙3枚分程。なんか色々書きすぎた感は否めない。

『江本さんが起きましたよ』

「裕二?ありがと…よし、時間余ってるし会いに行こ」

 そう思って立ち上がり、手紙を持つと僕は裕二の所に向かった。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「おはよ」

「ん?あ、陽向か」

 ベッドから起き上がって伸びをしてる裕二の姿が視界に入った。

「ん?何だそれ」

「あぁ…なんでもない」

「そっか」

 魔王を倒すまでにこれを見られると、みんなが魔王を倒しに行こうとするか、僕を止めに来るかどっちかだと思う。だからせめて、僕の修行が終わるまでは秘密にしとかなきゃいけない。

「お前なんか隠し事してるでしょ」

「…え?」

 いきなりの核心をつくような言葉を聞いてたじろぐ。その反応が面白かったのか、裕二は吹き出した。

「お前、正直過ぎるだろ」

「いや、まぁ…ね?」

「そこがお前のいい所なんだろうけど…。明日の…って今日か。今日のダンジョン攻略頑張ろうな。見た感じどんなダンジョンなんだ?」

 一緒にいけない、なんて言ったら怪しまれるから僕はなんとかボロを出さないように気をつける。

「そうだね、ミニボス的な奴が出たら次の階層から魔物が変わる感じ。5の倍数でミニボスが出るから注意してね」

「あぁ、分かった。なぁ、実際のところ何階層まで行ったんだ?」

「てっぺんまで、かな」

「……はぁ。まぁ予想はしてたけどさ。うん、やっぱお前強いな」

 裕二が項垂れたので、咄嗟にフォローする。

「でも、みんなでも50あるうちの30ぐらいまでなら戦えると思うよ」

「あれ?比較的簡単なダンジョン?」

「うん。そうだと思う」

 そんな感じで時間が過ぎ…。

「ねぇ、今までありがと」

「何だよ、いきなり…」

「いや、なんでもない。あ、そうだなんかあったら困るから、これあげる」

 そう言って取り出したのは、お守り。前回、山奥の里で魔物退治に行く時に少年からもらったものだ。曰く、1度だけなら致死ダメージを無効化してくれるらしい。しかも、パーティ単位で有効らしい。それに僕が付与魔法で効果範囲を上げてるから全員を守ることが出来る。

「ありがと。最後に東條に会いに行かなくていいのか?」

「…え?」

 バレたのか?どうして?別にバレるような言葉は言ってないつもりなんだけど。

「…最後って?」

「ん?いや、ダンジョン行かないんだろ?」

「え?」

 互いに顔を見合わせて「ん?」って顔をする。

「え?だって、行かないからお守りくれたんだろ?一緒に行くんならお前が守ればいいだけの話だし。東條が泣くぞ?」

「あ、なるほど…」

「で?明日はダンジョン行けないの?」

 納得していると、裕二が問いかけてきた。

「うん。ちょっと用事が…」

「そっか。危なくなったらちゃんと退くから安心していいよ」

「そっか。よろしくね」

「おうともさ」

 そのあと何言か喋った後、僕は東條のところに向かっていた。

『あの、東條さんはまだ寝てますよ?』

 その言葉に足が止まる。

「あ、ありがとう」

 犯罪者になるとこだった。

 1階のテーブルに戻りながら、それにしても…と考える。なぜ、魔族や邪神側は寝ている時や無防備な時を狙わないのか、と。

 そこで色々な仮説を考えていく。例えば、もしかしたら魔族は夜に弱い、とか。自分で考えていてなんだが、それは可愛すぎるだろ、と。夜いきなり半目で目を擦っている魔族の襲撃。他には、都市に入れない。これもないな、と思った。だって、ダンジョンだって都市の中にある。実際魔族が王城に出た。

「あ〜、分からないよぉ…」

『どうかしました?』

 ついそうため息を零すとフィアがとてとてと近づいてきた。

「どうして魔族は無防備な時に来ないのかなぁって」

『あぁ、簡単な事ですよ』

「え?」

 驚いて弄んでいたペンを落としてしまった。

『魔族かわ住むのは魔界。魔王城も魔界にあります。この地上界と魔界はひとつの出入口で繋がっています。それが単純に夜には開かない、それだけの話ですよ。もっとも、夜になるまで待機するという方法ならいつでも襲撃出来ますが、あちらもなかなか忙しいようです』

「なるほどぉ…ありがと。スッキリしたよ」

 そんな雑談をしていると、東條が降りてきた。

「陽向、くん?」

 寝ぼけているのか、僕を視界に収めると、ふにゃりと笑った。

「おはよう」

 とはいえ、まだ5時ぐらい。程もまだ明るくなってない。

「おはよ…」

 あくびをする東條。いつもは真面目で、隙がないから、こういう東條を見るのはなかなか新鮮味があって面白い。

「陽向くん…しゅき」

「手記?そんなのないよ?」

「大好きぃ」

 寝惚けてるというより、酔ってるの方が近いのかもしれない。

「どこにも行かせないからぁ…」

「どこにもいかないよ」

「嘘だっ!スキルが嘘って言ってるもん!」

 あぁ、そう言えばそんなスキルあったっけ。面倒だなぁ。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「え?陽向くんが何か隠し事してるの?」

「あぁ、寝起きでわるいが、調べてくれないか?寝惚けてる体で」

「わ、分かった」

 美琴ちゃんに起こされると、目の前に江本くんがいました。どうやら、陽向くんが私たちに隠し事をしてるらしいです。それで、魔眼?で調べてほしいとのことでした。

「ふぅ…緊張するなぁ」

 階段で深呼吸する。狼さんは私に気づいているけど気づいてないふりをしてくれてるみたい。

「陽向、くん?」

 私が声を掛けると、陽向くんはこちらに振り返り、笑顔を向けてくれた。私も、頬が緩むのが分かる。けど、寝起きという体なので、そのままの顔で行きます…。

「陽向くん…しゅき」

 恥ずかしいっっ!けどっ!寝起きだから、許してください!

 陽向くんに突進して抱きつく。引き締まった身体の感触が男の子である事を意識させられる。

「手記?そんなのないよ?」

「大好きぃ」

 となりの狼さんはもう私の思惑に気づいているみたいです。狼さんありがと。

「どこにも行かせないからぁ」

「どこにもいかないよ」

「嘘だっ!スキルが嘘って言ってるもん!」

 実際嘘とは出ていません。けど、この話から広げていけば、どこかで隠し事が見つかると思います。

「…そうだね。東條、今までありがとう。あっちの世界で幸せにね」

「…え?」

 ダメダメ。私はまだ寝惚けてるの。だから、冷静に…。

「僕はね、東條やみんなと友達でいたかったんだ。だから、東條の好意もわざと気づかないフリをしていた。ごめんね。僕じゃ、その思いに答えられないけど、あっちの世界でもっといい人を見つけてね」

 …別れ?嘘でしょ?嫌、嫌だよ…。隠し事ってソレなの?

 涙で潤んだ視界で陽向くんを見つめる。

「ごめんね…今になって気づいたよ。僕は東條のことが好きでした、今までありがとう。武原によろしく言っといて。多分2週間以内。それで片をつける」

 そう言った陽向くんには何か確固たる決意を感じました。2週間。これが私が陽向くんと共に居られる期間。実際はもっと短いかもしれない。

 そう思うと、私の視界は涙でより一層歪み、ぐちゃぐちゃになりました。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 さっき告白されて気づいた。あの時告白紛いをされた時に辛かったのは、単純にクラスのみんなと居られないこともあった。けど、それ以上に東條のことが好きだったんだ。

「まぁ、それももう叶わないんだけどね」

 恋仲になることなんてもうない。これは自分が自分の気持ちを偽って現状に甘んじていた、その罰なんだろう。

「さて、別れは一通り済んだよ。フィア、みんなのことよろしくね」

『…ええ。わかってますよ任せてください』

 抱きついている東條を引き剥がして、僕は天界に戻る。

久しぶりに、「どうも〜」の挨拶が出来て少し満足してます。1週間放置ごめんなさい。

巷では放置ゲーが流行ってますが、放置するのって罪悪感ありますね。

モチベが今70%ぐらいなので、モチベ上げがんばろ

では、また次回。相笠でした!

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