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さらなる高みへ

繋ぎ回です。すみません。文字数も少ないです。

「おーい、これはどうすんだ?」

「それはねー、えっとC班の雪弥くんのところ」

「おーけー」

 宿に帰ると、クラスメイトが忙しなく動き、様々な物を買ってきたり運んだりしている。

「なぁ、何してんだ?」

「あ、おかえり。今はね、明日のダンジョン攻略の準備してるの」

 指揮を担ってる女子に裕二が尋ねるとそんな回答が返ってきた。

 なるほど、明日の攻略の準備か。今まではそんな深く考えずに適当に食料さえあればいいと思ってたけどクラスメイトの持っているリストには食料だけでなく色んなものが記載されていた。それぞれに担当者がいるのか、四角で囲んで名前が書かれている。

「あ、そう。俺らもなんか手伝おうか?」

 裕二が尋ねると、答えも待たずに武原がリストを覗いて、運ばれた物の整理を手伝いに行った。もちろん裕二もそのあとに続いている。

「えーと…あ、霧崎と柚ちゃんは部屋でゆっくりしてていいよ。そのままゴールインしても大丈夫だから」

「いやいや、しないよ!」

 僕らも続こうとするとクラスメイトがそう茶化してきた。東條は顔を赤らめて慌てふためていたが、正直部屋で休めるなら有難い。

「…なら、僕は部屋で休んでてもいい?」

「え?あ、いいよ。あと柚ちゃん、ちゃんとアピールしないと振り向いてもらえないよ?」

 返事だけ聞いて僕は2階の部屋に上がった。

「い、いや、でも…」

 部屋に入り、明かりもつけずにベットに腰掛ける。疲れたのでこのまま寝ようと思ったが、ふと頭をよぎるのは今日の事。相手を逃がしたこと、クラスメイトが狙われていること、そして何より自分自身の限界がみえたこと。

 自分が邪神という世界より大きい規模の相手に勝てるのかという不安、このままみんなを守りきれるのかという不安。

 後悔や自責の念、焦燥感が僕の頭でぐるぐると回っている。

『こーらー!何1人で悩んでんのさ。私を頼ってもいいんだよ?』

『そうそう。私達を頼ってください…ってご主人様!剣が!剣が!』

 そう、孤月刀は覚醒したし、フィアが居るから戦力はまだ余裕あると思う。けど、それは今の話で、これから先どうなるか分からない。現に、この前の邪神の手下のドラゴン2頭さえ倒すのギリギリだったし。

「フィア、落ち着くまで撫でていい?」

 膝に収まるサイズのフィアを持ち上げてそうたずねる。

『人型になってもいいですか?』

「ダメ。こっちの方が撫でやすい」

 撫でやすいよりかはこっちが落ち着かなくなる。という訳でこれからの事がまとまるまで撫でようと思う。

『…うぅ』

『ねぇねぇ、私の手入れとかないの?』

「うん、ない。だから1回亜空間入れとくね」

 孤月刀がなんか言ってくるが、刃こぼれなんて滅多にしないし、今回硬い相手なんていなかったから特にメンテはなし。

「ねぇ、フィア。やっぱり1人だと限界があるのかな…」

『どうでしょう。ご主人様の感じてる限界はとてつもなく高い壁なだけかもしれませんよ。大事なのは今1番必要な事、足りない事を補うことですよ』

「そっかぁ…なら、何が足りないんだろね」

『それは、ご自分で探してください』

「…まぁ、そうだろうね」

 1番足りないと感じた事。

 圧倒的火力?…いや、それは足りてると思う。

 継戦能力?…それかもしれない。いや大雑把すぎるな。

 なら、体力か?いや、スピードだな。当たらなければどうってことないわけだし。遅い攻撃は当たらない。逆に避けていれば負けることは無い。救援にも早くたどり着ける。

「フィア。スピードだと思う」

『…それが答えなら、やることはもう見えましたよね?』

「うん、ありがとう。1つ聞くけどさフィアから見た僕の弱点はどこだと思う?」

『…私的には、スキルに依存しすぎてる気がします』

 スキルに依存…確かに。地の力があってのスキルであるのに、スキルによってカバーしてるだけじゃ、スキルの力を十全に活かせてない。

「たしかにね。ありがとう」

『いえいえ、どうってことありませんよ』

 よし、俺の事は終わり。後は…

『魔族の襲撃の有無、ですね』

「そう、それ。さっき撃退というか、逃したというか、とりあえずの脅威は取払ったはずなんだけどね、やっぱり不安で」

『分かりますよ、その気持ち。時代は情報戦ですからね』

「それ、どこで聞いたん?」

『貴族社会?の基礎?根幹?暗黙のルール?らしいですよ?ちなみにソースは昨日行った呉服屋の店長です』

 なるほどね。確かに貴族社会はめんどそう。相手の好み性格、弱みそれらを知っておかないといつの間にか嵌められてるなんてよくある事だし。

「まぁとりあえず、フィア明日の攻略の前に今から偵察…確認をしに行こう」

『ざっと見ればいいんですよね?』

「もちろん」

『分かりました』

「ごめんね。でも2人で念入りに確認しときたくて」

『信頼されているのは嬉しいかぎりですよ』

 さて、そんじゃあ行きますか。

 空間魔法でさっきのダンジョンの入口に転移する。

「まず1階層から順に行くよ」

 僕は魔力を使って罠の反応の有無を確認し、フィアは持ち前の嗅覚や直感で違和感がないかを確かめる。

「なし。そっちは?」

『こっちもないです。次行きましょう』

 僕はフィアを抱えると次の階層へ転移した。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「よし、これで終わりか」

『長かったですね。もう外が真っ暗ですよ』

 ダンジョン内を一通り確認した後、僕らは外に転移した。空はもう真っ暗で、時刻は多分午前の2時頃。街にある店のほとんどが閉まっていて、酒場のどんちゃん騒ぎがここまで聞こえる。

「さて、フィアは一徹ぐらいできる?」

『私、基本的に睡眠はいりませんよ?魔力が尽きたり、体力が減ったりしない限り』

「そっか」

 3大欲求どうした。

『どこか行きますか?』

「レベル上げでもしようかなって」

『…効率のいい場所なんて魔界か神界ぐらいでしょうに』

 まぁ、邪神の手下を倒してもせいぜい上がるのは2~3レベル。おかげでまだレベルは401。邪神を倒すためにあと20程レベルをあげたい。

『それじゃ、行きましょう』

 と言ってフィアが歩き出した瞬間、僕とフィアの足元に魔法陣が浮かび、僕らは光に包まれた。

本格的に前書き後書きで書くことが無くなった…

まぁ、とりあえず挨拶だけしときます。

それじゃあまた次回、相笠でした!

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