深夜の女子会
連休終了の報告…はぁぁ
よし、気を取り直して、どうも、相笠です!
ヒロインって少なすぎても多すぎても駄目な気がするので難しいです。それに、これが恋愛ものではなく、ファンタジーなので、殊更。
さて、今回は2話投稿です。
こっちは文字数多く出来ませんでした。すみません。
「ね、ねぇ…えと、そこの狼さん?」
『はい?』
陽向くんが寝た後、東條 柚こと私は眠れない夜を過ごしていた。
ふと、まだ隣のベッドにいる狼が起きている事に気づいた。
「ひ、陽向くんとは…どんな関係なの?」
震える声でそう尋ねた。これで、もし、恋仲だと言われたら、そう思うと胸が張り裂けそうになる。
『私とご主人様はただの主従関係。それ以上でもそれ以下でもないです』
あくまでも主従関係だと彼女は言い張るけど、あんなに信頼しきっている顔は見たことがなかった。それに、どことなく彼女には甘い感じがしたし。更に、私の女としての勘が、ライバルだと言っている、
「で、でも、あんな顔をした陽向くん
は初めて見た…」
「そうですか…それは、良かったです」
つい口をついてでた愚痴のようなものはちゃんと彼女に聞こえていたようだ。しかし、彼女は心底嬉しそうな表情ではにかんだ。
…ん?はにかんだ?
「ひ、ひひひひ、人になってモガモガ…」
「しぃーっ、静かにぃ!」
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それから少しして、落ち着いて考えると、さっき隣でいちゃついた時は女の子の声が聞こえていたような気がするし…でも幻聴だと思ってたから…。
と、とりあえず…事実ここに狼さんの人間バージョンがいるんだし…。
「フゥ…でさっきの話に戻るけど…それはどうして?」
「あっ、ご主人様はやはりどこか私に気を使っているように感じていたので…それに、ご主人様の息抜き出来る心の拠り所になれればいいな、とは思っていたので」
何故はにかんでいるのか、それが気になっている事が顔に出ていたのか、彼女は理由を説明してくれた。
「なるほど…ねぇ、狼さん。陽向くんはなにか大きな物を背負っていたりしない?」
もしかしたら、陽向くんがこんなにも信頼している彼女なら何か知っているのではないか、そう思うと、訊ねずにはいられなかった。
「そうですね…。これは、私が言っていいのか分かりませんが…柚さんなら大丈夫でしょう」
案の定と言った所か、彼女はその一部又は全てを知っていそうだ。
「どういう事?」
「柚さんが皆さんの中で1番信頼されている様なので」
「そう、なんだ…」
不意に明かされた事実に嬉しい気持ちがこみ上げてくるが、頑張ってそう返した。
「まぁ、話を続けますと…ご主人様の行動目的は常に、皆さんを元の世界へ無事に帰すこと、この一点にあります」
「それは、みんな一緒だよ」
クラスのみんなが元の世界、地球に帰って、元通りの暮らしがしたいと思っている。それこそ、クラスのみんなでまたバカな事をする、そんな日常を。
「いえ、違います」
「え?」
しかし、それは否定された。
…つまり、陽向くんはみんなとは違うということ?
「じ、じゃあ…陽向くんは…」
元の世界に戻りたくないの?そう続けようとすると、彼女が先に口を開いた。
「あなた方の言うみんなには、ご主人様が含まれていますが、ご主人様の仰るみんなにはご主人様は入っていません」
「…え?それってつまり…」
やっぱり…陽向くんは…
「えぇ、ご主人様は元の世界へは帰りません…いえ、こう言っては語弊がありますね…ご主人様は、元の世界へ帰ることが出来ません」
「…うそ、だよね?」
…え?帰らない、じゃなくて…帰れない?
どういう事?背負ってるものはそれに関係してるの?
「いえ、事実です…事情までは知りませんが…」
「そ、そうなんだ…」
事実…。陽向くんだけが帰れないという事実。その事実に私は愕然としていた。
「えぇ、私はあなた方が羨ましいです」
「どうしたの?急に…何かあった?」
しばらく間が空き、彼女は突然口を開いた。その突拍子もない言葉にまた私は驚いたが、彼女の悲しそうな表情が心に引っかかった。
「私はご主人様の1番にはなれません、例えあなた方が元の世界へ帰ったとしても…ご主人様は必ずあなた方の心配をしますから」
「…?」
今、彼女が話しているのは、私達がこの世界からいなくなった後、陽向くんと彼女が取り残された後の世界の話だと思う。もし、彼女が陽向くんの事が好きなら、それがどんなに辛いことか、私には十分に分かった。
「だから、私はあなた方、皆さんにお願いがあります…。どうか、元の世界へ帰るまでにご主人様とたくさんの思い出を作ってください…。皆さんが帰った後にご主人様が悲しまないように…」
「狼さん…」
正直に、彼女は強いな、とそう思った。だって、そんな辛い時でも、自分ではなく、陽向くんの事を心配しているのだから。
「柚さん。ご主人様の事が好きですか?」
「え?…えと、その…まぁ、はい」
どうしてこの娘はこうも突拍子のないことを言うのだろう。隣で陽向くんが寝ているというのに…。
でも、ライバルなら、ちゃんとここで意思表示をしなきゃいけない。という訳で、私は覚悟を決めてから彼女の目を見て、そう答えた。
「そうですか…なら、ライバルですね…わ、私もご主人様の事を好いているので…!」
「そ、そう…むむむ…まけないよ!狼さん!」
「こちらこそ!」
そのまま、私達は布団に入った。色んな衝撃的な事実が分かったけど、自分の気になっていたモヤモヤが解消出来たから、私はすぐに寝る事が出来た。
…あ、狼さんの名前を聞くの忘れてた。
まとめて次の話で書きます!




