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防衛戦

どうも、相笠です。

今日が土曜日である事をすっかり忘れて、なろうの他の小説を読み漁っていた相笠です。

さて、もう20話ですか…

早いですね。なんか最近、展開が雑な気が…

 僕と皆の距離は直線距離にして1km程。しかし、皆はそれぞれバラバラな所にいる。誰一人被害を出さずに助ける方法…。

「わふっ」

『私が御学友の皆様の位置は特定してます!私がこの映像を見て、誰が危険かお知らせしますので、救助に全力を注いで下さい!』

 茂みからフェンリルが出てきてそのまま、少女の遺した魔法の前を陣取った。

「分かった!ありがとう。最初は何処へ行けばいい?」

『最初は、ここから南東に約300m。正確には5時から6時の方向。12時を0度として76度の方向です』

 その情報の予想以上の正確さに驚きつつも、僕は最初の救助地点へと急いだ。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「…なんなんだこれ!?」

「くっそ!東條援護頼む!ッ!」

「敵襲ッ!オーク及びハイオーク…いや、ジェネラル級も確認!全員、耐えろ!」

 クラスメイトの木島くんの声に意識を目の前に戻された。私は、今野営地のテントの傍にいる。それぞれが野営に必要な物を集め、その整理をしていたところ、いきなり大量の魔物が現れた。いきなりのことではあったものの、それぞれが瞬時に対応したため幸い怪我人は出なかった。今は、防戦一方。徐々に押されつつある。私は悲鳴の上がる方向に範囲治癒魔法を打っている。

「わ、分かった!」

「おい、鹿嶋、堂本、鈴木、いるか?」

 皆が魔物の襲撃によって、散り散りになっているなか、近くから声が上がった。

「えぇ、大丈夫」

「俺も大丈夫だ!」

「私も大丈夫です」

 呼応するように周りから声が上がる。多分、3人はパーティメンバーなんだろう。

「よし、大丈夫だ!俺らなら行ける!いつも通りやってこうぜ!」

 リーダーと思える男の子がそう励ました。

「…なら1度集まりましょう」

「そうだな、堂本!得意の火魔法で周囲の魔物を倒してくれ!」

「分かった!」

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 俺は木島 (さとる)。今はかなり劣勢に追い込まれているが、俺らパーティーならこの状況を打開出来る。

 かなり遡るが、俺らは4人とも幼馴染みで、小さい頃からずっと関わってきた。今回の異世界転移でもまず最初に3人の事を探したし、4人でパーティーも組んだ。構成は、刀使い、魔導師、付与術士、短剣使い。前衛2、後衛2のバランスのいいパーティーだ。

 最初は皆で素振りのフォームを見合ったり、魔法陣の精度を見たりして、お互いに高めあった。それから冒険者になって色んな相手と戦った。もちろん、何回かは負けたし、神官にもお世話になった。負ける度に反省会をしたし、何故か怪我をすると霧崎にいかに命が大切であるかを説かれた。色んな人に教わっているうちに、俺らは連携技を生み出した。と言うよりは、阿吽の呼吸で動けるようになった。

 …だから、今こそ皆を守るためにこの状況を俺らで打開しなくちゃならない。魔物がもっと多くなる前に。

「せぇいや」

「よいしょ!」

「てぇい!」

「敏捷アップ付けといたよ」

「よし、こっちは片付いた」

「よし、鈴木のところに集まれ!周りにいる奴らも集まれ!東條、怪我人の処置は任せた!」

 周りから了解の声が上がり、どんどん皆が集まってくる。次第に、魔物のいない場所は多くなり、怪我人はその中心に集まった。魔物が攻めてくるのは正面と左の2方向にまで減った。

「正面は俺らのパーティーが受け持つ!左は任せたぞ!」

「えぇ、私達のパーティーに任せなさい!」

「硬式テニス部舐めんなよッ!ッシャ!行くぞ!」

「「「おう!」」」

 頼もしい返事を聞いて、俺は幼馴染み達と顔を見合って、それから全員で大きく頷いた。

「てぇい!」

「ほっ!」

「攻めてくるコースは絞った!後は後ろから援護するよ」

「防御は捨てても大丈夫なようにしたよ。背中は任せてよ」

 少しだけコミュニケーションをとると、俺らは俺らにしか出来ないやり方で魔物を狩っていった。

 後ろを取られても、すぐに鹿嶋がフォローする。1番適切な場面で、魔法で援護してくれる。短剣の短所を俺が打ち消す。それぞれが無駄のない動きをするため、魔物の数はどんどん減っていった。

 …が、これはただの先駆けに過ぎなかった。

「まだ来んのかよっ!」

「…いくらなんでもこれは多すぎる」

「木島、鹿嶋、大丈夫?1度休憩しよう!」

「前衛職の人!誰かここに!」

「分かった!今までありがとう!」

 時々、クラスメイトがボロボロの姿でやって来ては東條が治療し、人が増えたため、野営地の広場の4割は安全地帯とする事が出来た。しかし、その反面。人が多いため守る面積も増える。

 …このままじゃ殺られる…。何か対策は…。

 その時だった。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 私は色んなところを回ってはクラスメイトを助けていた。皆お礼を言わずに、逆に私から逃げるように去っていった。…まぁ、仕方ないよね。背中には羽があるし、なんかよく分からないオーラ出てるし。それに、めちゃくちゃな力持ってるんだから。なんか知らないけど、一人称また変わったし。

「…よし、もう安全だよ。この近くに野営地があるから、そこに向かうといいよ」

「…きり、さき?……いや、お前は誰だ?」

 …ほら、やっぱり。私は恐れられている。しかし、それ以上に気になる事がある。

 今も大量の魔物を倒した。その殆どが、何者かによって召喚されたもの。少女が召喚したのかと思ったが、それも違う。…けどどこかで感じた魔力。

『粗方片付きました。クラスメイトや騎士は全員野営地に居ます。…しかし、その近くに数え切れない程の魔物が居ます。救助を』

『分かった。じゃあ、行こう』

 例え嫌われても、皆を守れるならそれでいい。今は誰一人被害を出さずに守り抜く事の方が大切だ。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 神聖魔法・上位・範囲・起死回生

 効果・死亡している者以外の生きている者全ての病魔、損傷を治す。範囲、目標指定可能。

 目標・クラスメイト及び騎士

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 野営地上空に着くと、私は範囲魔法を放った。…しかし、派生魔法はどうして横文字じゃなくて漢字が多いのだろうか。

「…誰だ、あれ」

「陽向…?」

「あいつ、空飛べたっけ?」

「…アレは化け物だよ…」

「どういう事だ?」

 地上ではクラスメイトがただ呆然と私を見ていた。…って危ない!

 立ち直りの早かった魔物がクラスメイトに斬りかかっていた。

「…させないよ」

 私は魔物の頭を全て狩り尽くした。ついでに危ないから武器を持っている腕も落としておいた。

 皆はポカンとしている。…1度見せてしまったものは仕方ない。皆がまだ現実だと理解しないうちに全て片付ける。

 風属性初級魔法を魔物の数だけ発動させる。これでも魔物は死ぬし、魔力消費も全体的に見れば雀の涙程なのでとてもコスパがいい。

 …うし、魔物は全て倒した。あとは…

『…お疲れ様です。例えご主人様が嫌われても、私はご主人様について行きます』

『ありがとう。』

 種族を神から人間に戻して、皆の方を向く。

「…お前は…誰だ?」

 1歩踏み出して、いつも通りの対応をしようとする。

「僕は…」

「近づくな、化け物!」

「ッ!」

 しかし、クラスメイトや騎士達からは敵意を感じた。それぞれの瞳には、恐怖、怯えを感じた。その物々しい雰囲気に僕は皆との壁を感じた。前回の召喚でもよく感じたもの。圧倒的な力量差に人々は神の使者と崇め奉るか、恐れ戦くかのどちらかだった。そして、後者の場合、その人と元の交友関係に戻す事は不可能である事も分かっている。したがって僕は…

「そうだよね…ごめん」

 僕はフェンリルを呼ぶとフェンリルに跨って野営地を後にした。まるで物語の1部のように、風は靡き、空は星々がとても綺麗に輝いていた。

ではまた次回、相笠でした!

これからも末永くよろしくお願いします

…待って、今のなし!

20話越えてなんか感動してただけだから!

終わらないから!まだ続くから!

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