法子の願い?そして未知への旅立ち!?
歪禅の自爆と共にの総本山の戦士達は光の中に消えた。
そして、法子もまた・・・
私は法子…
私は見渡す限り光しかない世界にいたの。眩しくて他に何があるか分からない。
ここは確か学園よね?
何か?頭の中が空っぽになったかのように何も思い出せなかった。それでも断片的な記憶を繋げながら記憶を遡ってみる。
「思い出した…」
思い出したくなかった。私は涙を流しながら思い出したのは、幾度と私を助けてくれた坂上田村磨呂さんと鈴鹿御前さんの死。
そして私の支えで本当に本当に親友だった…絶対に助けたかった葉子が、この学園の中に漂う障気に耐えられずに、私が着いた時なは既に生きていなかったの…
私がもっと早く着いて間に合ってさえいれば!
私にもっと力があれば!
私は自分自身を責め立て、溢れる涙を溢しながら声にならない叫びをあげた。
きっと、さっきも私の脳が無意識にストッパーを外したために記憶が飛んだに違いない。
その時!
『嘆き悲しむのはそこまでにするが良い』
えっ?
私は気配も感じずに背後に立っていた何者かの声に驚き振り向いたの。
だ、駄目!
強烈な眩しさに私は相手の姿を把握出来なかったの。ただ分かる事は、この者が底無しに感じる力と存在感に私は悟る。
「貴方、神様ね?」
相手からの返答はなかったけれど間違いないと思う。
神様、しかもかなり格の高い存在に違いないわ?
「神様が私に何の用なの?私は行かなきゃいけない場所があるのよ!」
私は、再び戦場に向かおうとしていたの。あの憎くて憎くて仕方ない歪禅を私の手で八つ裂きにしてやる!私から殺意と憎悪が高まり、どす黒い闇が私の魂を覆っていく感じがした。構わないわ!奴を倒せるなら私は鬼にも悪魔にでもなってやるんだから!
その時、私に向かって光の主は叫んだの。
『渇!』
その直後、私の身体に神圧が押し寄せて、私の中の魂の闇を浄化するかのように吹き飛ばしたの。
「な、何を?」
私はへたり、座り込む。それでも光の主に向かって文句を言ったわ。
「邪魔しないでよ!まさか歪禅の味方なの?私の敵なわけ?私の邪魔をするならアンタが何者でも容赦しないわ!」
『お前は今より私と共に来て貰う』
「何を意味不明な事を?空気読めないの?私を何処に連れて行くつもりよ?知らないの?未成年を連れ回したらお巡りさんに怒られちゃうのよ?」
『時間がないのだ。お前は黙って着いて来れば良い』
「意味分からないって言ってるのよ!私だって時間がないの!戻らないと行けないの!分かってよ!本当に神様なら?」
『お前には今より連れて行く場所で修行をして来て貰う』
「だ・か・ら!私は歪禅を倒しに行くのよ!」
『安心しなさい。もう行く必要はない』
「行く必要がないって?どういう意味よ!」
『何故なら、歪禅と呼ばれる者は既に消滅しているからだ』
「消滅しているからだって関係ないわ!私は歪禅を倒しに…って、えっ?」
歪禅が消滅?もういないって事?
「誰かがもう倒したって事?光明君?それとも総本山の誰かが倒したの?」
無言で返答のない神様に私は問い質す。
「答えないなら私行くわよ?」
すると神様が仕方なく私に事の真相を伝えた後、私は愕然となる。
「う、嘘よ?嘘!嘘だわ!嘘と言いなさい!」
私は顔が真っ青になりながら叫ぶ。
だって、その話は絶対に信じられない…
総本山の皆が全滅したなんて!
歪禅が自分自身の力を暴発させて、総本山の皆を自爆に巻き沿いにしたなんて!
「そんなはずないわ!」
宮ちゃんは?アータル神に物語の主人公を語る三人は?プリンセスの三人は?私の代わりに戦ってくれた光明君は?それに…
勇斗は?
『信じられぬなら、これを見るが良い』
頑なに信じない私に神様が外で起きた映像を見せる。
歪禅が自らを爆発させようと肉団子の如く膨らみ始めるのを止めようと光明君と勇斗が突っ込む。
「手遅れだ!消えて終わりになってしまえー!!ぶわぁ!」
歪禅を中心に閃光が飛び出して爆発し、光明君と勇斗が最初に光の中に飲み込まれ、そして座主様や総本山の仲間達が光の中に消えていく…
「法子ぉおおおお!」
えっ?
座主様、座主様って?もしかして、お、お父さんだったの!?
そこで私は初めて座主様の正体がお父さんだって事実を知ったの。同時に私はお父さんが光の中に消えていく姿を目の当たりにした。
「あっ…あぁぁ…」
力が急激に失っていくのを感じる。自分自身の無力が無気力になっていく。
私、どうしたら?
もう何も出来ない…
本当に手遅れなの?
私には…
「あぅ、あぅっ…あぅ、あぅわぁああああああ!」
泣きじゃくって、叫んで、もう私は幼い子供のようになっていた。私には何も出来なかったんだ。て、手遅れなんだと…
そんな私に神様は言った。
「えっ?」
神様は無気力に絶望した私に信じられないような提案をして来たの。
『お前が素直に修行を受ければ、どんな願いも一つだけ叶えてやろう?』
「ね、願いを…一つ?」
『そうだ。願いを言え!お前の願いは何だ?』
「そんなの決まってるじゃない!」
『何だ?』
「えっと…お金持ちになる事!一攫千金、素敵な彼氏!それに世界征服よ!」
『一つだけと言っただろ?それにしても欲にまみれた願いばかりだな?』
「ほっときなさい!」
そして私は考えた末の願いを神様に向かって告げたの。
と、言っても半信半疑だったのだけど…
『良かろう』
「えっ?本当に?そんな事が出来るの?神様って万能?嘘じゃないわよね?嘘なら容赦しないわよ!針千本飲ますわよ?」
『針千本って…』
神様は私の願いを聞き届けると、その存在感が世界を覆うように広がっていく!
「なっ?何?何なの?何をする気なの?」
神様は私に向かって説明する。
『お前がそれを願う事は分かっていたよ』
私の願い?
そう。私の願いは!
「お願い!皆を返して!皆を返してくれるなら、私は何だってするから!」
『その言葉に二言はないな?』
「女子高生に二言はないわ!」
『ならばお前の願いを叶えてやろう!』
『梵』
神様を中心に閃光が広がっていく。その輝きは私を飲み込み、学園を覆い、更には日本から海外?地球を覆っていく。それは理解出来ない神秘を超絶した力?
その時、世界の回転が逆行し、まるで映像が巻き戻るように過ぎていく。
「何が起きてるの??」
この状況を体験しているのは当人の神様と私だけだった。そして私はこの状況を何となく理解した。
「冗談…じゃないわよね?まさか、時間を逆行させているの?そんな無茶苦茶な?規格外過ぎてついていけないわ…」
すると、時の逆行が止まり再び正常な時が動き始めたの。
「馬鹿な!何故、お前がここにいる?いつの間に現れたのだ!?」
目の前には蜘蛛姿の歪禅がいたの。
ちょっと待って?
これ?どういう状況?
この歪禅は過去の歪禅。この学園で起きる戦闘で自らの結界の中に潜み状況を見ながら隠れていたの。
「つまりそういう事ね?皆が死ぬ前にお前を倒してしまえば悪夢のような未来が変わるって事ね?」
「お前…突然現れたのはお前か?私はお前の血を使い魔王様を復活させ…」
「却下!」
「なぬ?」
「お前の野望は叶わないわよ!魔王も甦らないし、お前も総本山に倒されて終わるの!」
「何を知ったような事を?お前には魔王様復活のために贄になって貰うぞ!」
「知ったようなじゃなくて知ってるのよ?私?」
自信満々に答えた私は更に続ける。
「でも、今から少し未来変えさせて貰うからお前はもう終わりよ!」
すると、あの神様の声が聞こえる。
『時間が惜しい。少しだけ力を貸してやろう』
その直後、私の金色の瞳が光輝き、漲る力が私を突き動かした。
「何?すごっ!」
私は飛び出していた。歪禅が歪手を使い空間を歪ませようとしたけれど、
「攻略法は未来で見てきたわ!」
私は光明君のリズムを口ずさみながら、歪みの合流点を金色の瞳で見極めた。
「そこだぁー!」
私は金色の錯杖を瞬時に造り上げると、歪禅に向けて投げ付けたの。
「うぎゃあああ!」
バリアを貫き、歪禅の眉間に錯杖が突き刺さのった。何が起きたか分からずに歪禅は金色の光に飲み込まれて消滅した。その事で学園に施された障気が消えていき、学園は解放されていく。
て外では突然の状況の変化に総本山の皆が戸惑っていたの。
「な、何が起きたと言うのだ?」
「分かりません。しかし歪禅の気配が完全に消えたようです」
座主様…
生きているお父さんと晴明師匠がいた。
「俺が中に突入して見てこようか?」
それは勇斗!
皆、生きてる…
そして、
「法子ー?何処!」
あっ…
葉子が救助されていた。他にも助かった生徒達が何人かいたみたい。
「理由は分からないが戦いは終わったようだな?何か呆気なかったな?」
「そうですね。主様。」
坂上田村磨呂さんと鈴鹿さんも生きてる!
良かった…
夢みたい。でも、いつからが夢だったの?
でも、疲れたからもう帰って寝たいわ…
あ、家はもうなかった。
とにかく一件落着だわ!
『おぃおぃ?』
「あ、神様まだいたのね?」
『約束は忘れていないか?』
私は「チッ!」と嫌な顔をしたけど、改めて神様に笑顔を見せて答えたの。
「私に何をさせたいか分からないけど、約束は守るわ!で?私は何をすれば良いの?」
『良かろう』
再び場所は座主様と集まった総本山の皆さん。
「何かとてつもない力を感じます。これは何?」
「どうした黄竜の巫女?」
「分かりません。けれど竜脈が異常な動きを?場所は学園の地下から?えっ?」
「何だと!?まさか歪禅が何か罠を?」
「違います。もっと別の強大な力がこの一帯に関与しはじめているみたいです」
お父さんは周りを見回す。助けられた生徒達の中に私の姿がない事に、冷や汗が流れた。
「の、法子?」
お父さんは、この戦場に直接出向いた理由に私の救出があったの。だって、私の命が今日消えるって予言が出ていたから。
私の未来が途切れるって…
「まさか、まだ学園の中にいるのか?法子?」
お父さんは学園に向かって駆け出すと、突然大地が揺れ始めて学園の地下から強烈な光が天に向かって光柱となったの!
「何が起きているのだ!?」
「あの時と同じだ…あの日、アイツが消えたあの時と…」
「これ以上は近付けません。謎の光柱によって近寄れない」
晴明師匠もまた、過去の出来事を思い出していた。
「そういう事か!かつては分からなかったが…」
晴明師匠はこの状況を一人理解していたの。
その時、光柱に私の姿が見えたの!
「法子ぉおおおお!」
私にもお父さんの声が聞こえた。
お父さん…
ありがとう
だけど、私ちょっと出掛けて来るわ?
『では、もう良いな?』
「うん。皆の顔を見れたから悔いはないわ」
『ならば、今よりお前の旅が始まるのだ!』
光の柱は天へと昇竜の如く昇って行き、そして光となって消えたの。
次回予告
ついに女子高生序章編の完結!
だが、問題は残されていた。
そして、法子は何処へ消えたのか?
次話、楽しみにしてよね!




