表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生救世主編!
95/713

脱出?戦闘?まだまだ私だって戦えるわ!


坂上田村麻呂と歪禅との一騎打ち。


勝ったのは坂上田村麻呂であったが、


その彼の前に別の歪禅が現れたのだ。


総本山の戦士達が増殖する歪禅達と交戦の最中、校舎内では傷付いた坂上田村磨呂が意識のない法子を庇いながら戦っていた。


「くぅぅ…」


刀傷や熱傷で血だらけの状態で、動かない足を引き摺り戦っていたが既に限界が来ていた。しかも意識のない法子を守りながらだと余計に余裕がなかった。


「十分お前はよく戦ったぞ?褒めてやろう」


そこには歪禅の死体が何十体も倒れていた。だが、歪禅達はまた一体、また一体と現れて来る。


そこに歪禅が田村磨呂に条件を持ち掛けたのだ。


「そこに転がっている娘を私に寄越せ?」


それは力を使い果たして気を失っている法子だった。


「馬鹿げた事をぬかすな!嘗めてるのか?」


「いや、そうではない。物々交換といこうではないかと思ってな?」


「物々交換だと?」


すると歪禅が指差した方向を見て田村磨呂は身体を硬直してしまった。


二体の歪禅が血だらけで意識のない鈴鹿御前を掴んだ状態で田村磨呂に見せ付けた。


「鈴鹿ぁ!!」


「この女、お前の女らしいな?大切なのだろう?だったら、この女とその娘を交換といこうではないか?」


「………」


「嫌なら構わんぞ?この女をお前の目の前で八つ裂きにした後、ゆっくりとお前を始末し、その娘を手に入れれば良い。だが、時間が惜しいから提案しているのだ。悪い条件ではなかろう?」


「俺の役目は、このお嬢ちゃんを守る事だ!例え何をされようと…」


その時、歪禅が意識のない鈴鹿御前の腿に刃を突き刺したのだ。


「ぎゃっ!」


鈴鹿御前が痛みに目を覚まして悲鳴をあげた。そして自分がのない歪禅に捕まって人質になっていると状況を把握した。


「田村磨呂様!」


坂上田村磨呂は心配はいらぬと目で訴える。


「テメェは俺を怒らせる天才だな?女子供にばかり手を出してないで俺を狙えば良いだろ?それとも弱者しか相手に出来ない臆病者か?歪禅!」


「挑発のつもりか?私にとってお前程度等、最初から眼中にはない。あるのは、その小娘だけだ!」


「何だと!?」


「冥土の土産に教えてやろう。その娘は我が王を目覚めさせる鍵なのだ!」


かつて魔王は総本山に総攻撃をかけて壊滅状態に陥れた。しかも不死の魔王であったため、卑弥呼と呼ばれる総本山の巫女によって魂を自らの魂と共に水晶石のる棺桶の中へと封じ込めたのだ。


「その封印を解こうと私は総本山より水晶石を盗み出す事に成功はした。だが、どうやっても封印は解けずに魔王様は復活なさらなかった。そこで私は封印解除が出来る能力者を手に入れようと人間達を我が同胞にして回ったのだ」


学園襲撃の理由。蚩尤鬼人を数々造り上げていた理由が判明した。人間の中の闇を極限にまで引き出した後に、自らの血を寄生させて同胞にする事で特殊な能力を持つ化け物が誕生していった。だが、封印解除の能力者は見付からずに手こずっている中で、未来予知の能力を持った同胞が示したのである。


「この水晶は結界を造り出した者と同種の血族の血によって解放されます」


それが歪禅が法子を狙う理由であった。それを聞いた坂上田村磨呂は全てを理解して答えたのだ。


「だったら尚更お前にお嬢ちゃんは渡せないな?それに…」


「!!」


歪禅が坂上田村磨呂の言葉の意味を理解した時には遅かった。頭を掴まれ強い力で真っ二つに引き裂かれたのである。


「よくやった」


歪禅を引き裂いたのは坂上田村磨呂の守護鬼神の大獄丸。そして悪路王、八面大王が傷付いた鈴鹿御前と法子の友人である葉子を抱えていた。



「お前達!直ちにお嬢ちゃんと二人を連れて本体と合流せよ!」


だが、鬼神達は直ぐに動けないでいた。何故なら自分達が去れば、主である坂上田村磨呂が代わりに殺されてしまうと知っていたから。それを知ってか坂上田村磨呂は命ずる。


「二人を安全な場所に連れて行った後、急いで俺の救助に戻れよ?あはは!」


それが主の命懸けの命令と悟った三体の鬼神は三人の娘を抱えたまま背を向けたのだ。


「頼むぜ?相棒達」


そこに新たな歪禅が鬼神達の道を塞ぐ。


「たかが鬼神ごときに何が出来ると思っ…」


直後、歪禅は三体の鬼神が手にした刀で斬られて消滅したのだ。その刀は間違いなくサヤハの剣であった。

再び現れた別の歪禅は田村磨呂の覚悟に気付く。


「己の命綱であった三本のサヤハの剣を鬼神達に託すという事は遂に死を覚悟したようだな?」


「覚悟だと?抜かすな!刀が無くともお前程度の臆病者に殺されてたまるかぁ!」


「愚かな!」


田村磨呂を残して三人の娘を抱えて脱出を試みた三体の鬼神にも歪禅達の魔の手が迫っていた。


「主の命にかけて与えられた任務、必ず為し遂げん!」


手にしたサヤハの剣で歪禅達を斬り伏せる大獄丸、悪路王、八面大王は正に鬼神の如き強さであったが、次第に逃げ道を塞がれていく。そこに!


「いつまでも守られているわけにはいかないわ!」


「そうですわね」


「でも、どうするかな~」


法子と鈴鹿御前が目を覚ます。しかし二人の消耗も激しく戦うにも力が入らなかった。


「私に奥の手が有ります」


「鈴鹿さん?」


すると鈴鹿御前は大獄丸に向かって叫ぶ。ぶ


「私には主同様、鬼神を使役する力が有ります。だから可能なはず!貴方の力をお借り致します!悪路王!」


本来、魂の契約をしている主[坂上田村磨呂]と英雄鬼神三体に結ばれた契約は誰にも離す事は出来ない。


「我が主、坂上田村磨呂殿の愛しき娘、更に主に引けを取らぬ鬼神体質。良かろう!我が力を託そう!」



『英雄鬼神変化唯我独尊』



鈴鹿御前の身体に英雄鬼神・悪路王が宿り、その姿が弓を構えた鬼神の鎧に身を纏ったのだ。


強力な力を感じ、


「有り難う。これで戦えますわ!」


鈴鹿御前は戦えない法子と、その友人の葉子を守り一人戦う事を決意したのだ。そして追って来た歪禅達に挑む!


「鈴鹿さん…私だって、足手まといにはならない!私だって戦えるんだから!」


法子は自分を守っている英雄鬼神・大獄丸に向かって


「あんた!私に力を貸しなさい!」


だが、大獄丸は法子の言葉を無視していた。


「ムカッ!」


無視されて、頭に来た法子だが、少し頭を冷やす。


「以前、私に喧嘩売った事は水に流すわ?だから今度は私の力になりなさい?それでどう?」


主以外の者の言葉は聞けぬし、更に鬼神体質でない法子には無理だと話を聞かない大獄丸であった。


「あ、あったま[頭]来たぁ~!私がここまでへりくだり頭を下げてるってのに!もう良いわ!お前には頼まないわ!だから…」


『強制実行!』


法子は大獄丸の頭を背後からぶん殴ると、強引に魂の同化を試みたのだ。

その様子に気付いた鈴鹿御前は、


「法子?何をやっているのですか?貴女には無理です!」


「鈴鹿さんまで無理と決めつけないでください!」


「そういう問題じゃなくて、魂の契約儀式には特別な意味があって…」


「却下!」


強引な法子に鈴鹿御前は言葉を失ってしまう。当然、大獄丸もまた呆れていた。


「無理だ、娘!そんな事をし、し、なぬ?」


だが!?


大獄丸の身体が、魂が強い力で引っ張られて法子の身体へと強制的に吸い込まれたのだ。


「馬鹿な!?」


驚く大獄丸に対して、


「これが神様との同化なのね?凄いわ!力が溢れてきそう。これならまた戦えるわ!」


「驚いた…我を力任せに取り入れたと言うのか?驚きを通り過ぎて感心した。良かろう!我が力をお前に貸そうぞ!」


「最初からそうしてよね?頼むわ!私と一緒に戦いなさい!」


法子もまたサヤハの剣を構えた英雄鬼神の鎧を纏い、鈴鹿御前の戦っている場所に駆け寄ると襲い掛かる歪禅達を倒す。


「法子…貴女、本当に何者なのですか?無茶苦茶過ぎます」


「私?私は正義の女子高生よ!」


「ふっ!本当に貴女って娘は驚かされてばかりですわ」


二人は背中を互いに任せると、ぞろぞろ現れ出る歪禅達を倒していった。


「葉子を早くこの場から離さないと…」


まだ意識を失い八面大王に背負われている葉子を見て、法子は焦っていたのだ。


そして葉子を守っていた八面大王は、別の役目を補っていたのである。


「見付けた!」


八面大王は指差すと、空間が歪められ枝分かれした逃げ道の一ヶ所の先を指示する。その道こそ、この歪められた校舎の中から脱け出せる道であった。法子と鈴鹿御前は頷くと同時に指示された一本道を駆け出したのだ。


先ずは、校舎を脱け出す!


そうすれば総本山の仲間達とも合流出来る。後方から迫る歪禅を引き離し、ついに道が開く!


「あの先に出ます!」


法子と鈴鹿御前、それに葉子を抱えた八面大王が道を開き飛び出したその時!


「逃がしはせん!」


歪禅の一体が力を発動させて学園の空間を強引に歪ませたのだ。


「そんな馬鹿な…」


法子達が抜け出した場所は?そこは、最初に戦っていた屋上だったのだ。


「戻って来たようだな?」


そこにいたのは歪禅と瀕死状態の坂上田村磨呂であった。


「このぉー!」


法子と鈴鹿御前は怒りに任せ田村磨呂の頭を踏み潰している歪禅に飛び掛かり斬りかかる。


だが、


「えっ?」


二人とも脱力したかのように力が抜け、勢いで転げてしまった。


「な、何?」


二人は気付く。変化が完全に解けてしまっている事に。同時に急激な体力の消耗と脱力で力が入らずに起き上がれないでいた。しかも葉子を守っていた八面大王の姿も消えていたのだ。


「主様…もしかして…」


法子が見た鈴鹿御前は、その誇り高い性格からは信じられないくらいに端正な容貌を崩すして泣きじゃくっていた。英雄鬼神が消えた理由は他にない。それは坂上田村磨呂が死んだという事に他なかった。


「ゆ、許せない!殺す!殺してやる!歪禅ー!」


鈴鹿御前の怒り狂う叫びは歪禅にとって、鳥の囀りとしか感じなかった。


「煩い」


その直後、頭上から数人の歪禅が飛び降りて来て伏した状態で起き上がれない鈴鹿御前目掛けて…


「!!」


法子の目の前で歪禅達の刃で串刺しになったのだ。


「あ、あがぁ!」


薄れゆく視界の先には田村磨呂が倒れていた。二度と起き上がれない田村磨呂に腕を伸ばした状態で力尽き、命尽きた。


「うわぁああああ!」


その一部始終を見て法子は無い力で立ち上がる。


「娘よ?悪あがきは止すがよい?無駄だ!お前の負けだよ?」


「黙れ!わいぜーん!」


「黙るのはお前だ!」


すると法子の目の前に気を失ったままの葉子の腕を抱えて起き上がらせ、刃を突き付け見せつけたのだ。


「ど、何処まで卑怯な…」


「この娘、我が障気に犯され長くは無かろう?直に命が尽きるだろう。それを早めるのも引き延ばすのも変わらんが、判断するのはお前次第だ?どうする?」



法子は歪禅への戦意を消すと頷き従った。


「素直で良い」


直後、法子に別の歪禅が溝打ちをして気絶させた。


「全ては我が手中に有り!王の復活も直だ!」



歪禅は葉子をその場に転がし、代わりに法子を抱えるとその場から消えた。

次回予告


増殖する歪禅。総本山は倒しても現れる歪禅に苦戦を強いられていた。


この状況は打開出来るのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ