アジ・ダハーカを倒せ!四聖獣戦士の戦い!
アジ・ダハーカの野望を打ち砕くため、
桜を救うため、
四聖獣戦士の戦いが始まる!
私は竜宮寺桜
私が儀式の生け贄にされる所を、四人の竜神の民に救われたのです。
けれど、私を欲っし狙う村の神官の正体は、魔竜の王アジダハーカだったの。両肩から二頭の蛇竜が出現し本来の姿を見せると、その禍々しい力が私達を蝕むように広がっていく。
「凄まじい障気だ!」
四人の聖獣の彼等は結界を張って凌いでいた。しかも私を身を守りながら。
「フフフ。東洋の竜族の末裔か?か弱いなぁ?その程度の力で私に逆らえると思ったか?」
「無論。彼女を救う事が最優先だが、俺達はお前を倒すために来たのだ!」
青龍双蒼が刀を構えて勇ましく答える。四人は同時に聖獣の気を同時に解放すると、アジ・ダハーカの障気を噴き消す。
「俺達を只の竜族だと思うなよ!」
赤竜朱雀が飛び出すと炎を手に噴き出させて正面から攻撃を仕掛けると、同時に白竜白虎も片手に風を纏い、もう片手に雷を纏いながら素早い動きでアジダハーカの背後に移動し攻撃する。二人の素早い攻撃がアジ・ダハーカに繰り出され、炎と雷が竜巻のように巻き起こる。
「何なのですか?」
私は今まで生きて来た当たり前だと思われいた常識が、現実に目の当たりにしても尚信じられなかった。
赤竜朱雀の両手に朱雀の紋章が光輝くと凝縮した炎が鳥のような形に変わっていく。
「灼熱朱雀炎上」
朱雀の業火が翼を閉じるようにアジ・ダハーカの姿を覆い包む。
「!!」
しかし灼熱の業火の中から笑い声が聞こえる。
「フフフ。この程度で私を消滅させられるとでも?」
アジ・ダハーカの双肩の竜の息吹きが業火を消し去る。
「次の手も用意していますよ?魔王!」
「!!」
アジ・ダハーカの間合いに瞬時に入り接近した白竜白虎が両手に白虎の紋章が光輝くと、雷が轟き轟音を立ててアジ・ダハーカに直撃したの!
「グヌゥ…」
「まだです!」
もう片手に白竜の紋章が光輝くと、白竜白虎の掌に風圧が凝縮されていく。
「疾風怒濤!」
繰り出された掌打が身動き出来ないアジ・ダハーカに直撃すると、アジ・ダハーカは凄まじい勢いで弾き飛ばされ祭壇に直撃し生き埋めになる。
「殺ったか?」
「恐らく…」
すると、アジ・ダハーカが瓦礫の中から立ち上がって来る。
「私達の力では奴の障気の壁を破壊出来ないみたいですね…」
「チッ!」
すると今度はアジ・ダハーカの力が高まっていく。
「小賢しい。先ずはお前達二匹から血祭りにしてやろう!」
アジ・ダハーカの双肩の蛇竜が同時に口を開くと、破壊光線を放ったの。それは一瞬にして赤竜朱雀と白竜白虎を消し去ったように思えた。
「あっ!!」
砂煙の中から二人が傷一つなく立っている。そして二人の前に黒竜玄武が盾を構えて立っていたの。
「玄武の盾は最高防御の象徴。如何なる攻撃も通さん!」
黒竜玄武さんの両手には黒竜と玄武の紋章が光輝いていた。
「小癪な者共が!だが私の双肩の蛇竜が歓んでおる。久しくのご馳走にな?お前達、東洋の竜族を喰らいたがっておるぞ?」
「俺達を喰らうだと?悪食だな?俺達は腐ってもお前のような薄汚い蛇竜など頼まれても喰らいたいとは思わんがな!」
私の隣にいた青竜蒼双が刀を手に一歩前に出ると、腰にさげていたもう一本の刀を抜き二刀流になる。
「双肩の二頭の蛇竜など、俺の青龍が消し去ってやろう!」
青竜蒼双の両掌に青龍の紋章が光輝くと、凄まじい力が二本の刀を覆う。
「青龍刀・天地双牙」
二本の青龍刀を構えた青竜蒼双の刀より二匹の青龍が出現する。
「天竜と地竜。天地を引き裂く双竜がお前を滅する!」
「ならばお前の竜から喰らってやろうぞ!」
互いの双頭の竜が発した衝撃波が衝突する。
「ウヌゥウウ!」
「うぉおおお!」
私はただ、二人の戦いを見守るしか出来なかった。気付くと私の前には他の三人が気の壁で守っていたの。
「どうして私を守ってくれるの?」
「ん?それはな?ん~。白竜、お前が答えてやれよ?」
「僕ですか?」
白竜白虎が私に答えてくれた。
「それは君が…」
「えっ?」
初めて聞いた内容に私は戸惑い理解出来なかった。白竜白虎が私に言ったのは…
「君は僕達の恩人であって、母であり、そして妹だからなんです」
彼等は前世で死にかけた所を前世の私に命を救われ、新たな生を前世の私から産まれたと言うのです。そして私もまた同じく転生をしたのだけど、竜族であった前世の私には兄達がいて、その兄達の力を引き継いだ彼等は兄弟同様だと。
「よく解りません…」
「だよな?俺達も実際の所、聞かされた話で頭で理解していても実感ないんだわ」
「はぁ…」
「それでも俺達はお前に会って奇妙な繋がりを感じた。話に聞いていた通り俺達はお前と深い縁を感じた。それがお前を守る理由」
黒龍玄武が言い切ると他の二人も頷いた。縁とか繋がりとか?
全く実感ない私だけが取り残されて…
その時、青龍蒼覇とアジ・ダハーカの戦いに動きが見えたの。
「くぅうう!」
青龍蒼覇が押されはじめていたの。
「やはり前世の時のような力はまだ引き出せないか…」
彼等も転生を経て竜族として戦闘訓練は積んではいたけれど、実戦はこれが初だったの。しかも相手はアジ・ダハーカと呼ばれる最強最悪の魔王?
「私の事より今戦っている彼を手助けてあげて!このままじゃ!」
「お前は俺達から離れた途端に、奴の発する障気に当てられて命を削られるのだぞ?お前は黙って俺達に守られていろ!」
「そんな…」
自分が足を引っ張っている事を感じて、胸が苦しくなった。
私、どうしたら…
「所詮は小わっぱ!私の相手ではないなぁ!」
アジ・ダハーカの障気が青龍蒼覇の放つ気を押し込み、ついに青龍蒼覇さんは膝をつく。その状況を他の三人は飛び込みたい感情を拳を握り締め抑えていたの。
「お願い!私に構わずに行ってください!」
「お前を守る。それが俺達の役目だ」
「それでは、彼が!」
その時、アジ・ダハーカの両肩の蛇竜の牙が青龍蒼覇の放った天地竜の首を食いちぎり消し去ったの。そして膝をついた青龍蒼覇さんにアジ・ダハーカの蛇竜が牙を向けて向かって行く。
それでも動かない三人に私は意を決して自ら結界の外へ飛び出したの!
「お願いぃ!!」
「ば、馬鹿!」
止める間もなく私が結界の外に出る。結界から出たら私の身体は障気に蝕まれて粉々に崩れ落ちるって…
それでも!
その時、突如私は再び誰かに結界の中へと突き押されて膝をついて転ぶ。更に青龍蒼覇さんに迫るアジ・ダハーカの双肩の蛇竜が炎の結界に阻まれ弾かれたの。そして炎の中から声が?
「お前との古の因縁を断ちに来たぞ!」
アジ・ダハーカは突如現れた何者かに驚く事なく、
「お前達の接近には薄々感ずいていたよ。良いだろう。今宵、お前達との因縁に幕を閉じてやろう」
「ふん!」
そこには炎を纏った高校生くらいの男性でした。
「神戦以来か?アータル神。それに…」
そして私を結界の中へ再び突き倒した密教僧の格好をした大人の男性。
「蛇塚よ?」
密教僧の格好をした男性は結界の外にいるにも関わらず、厳しい眼差しで目の前のアジ・ダハーカに向かって答えたのです。
「死んだと思っていた。あの時、俺のこの手で終わらせたと思っていた」
「お前が殺したのはお前が友人であった小僧の魂だ。俺は器を手に入れた魔王アジ・ダハーカだ!」
「ならば俺が再びお前の存在全てに引導をくれてやろう」
「待てよ?ソイツの相手は私だろ?蛇塚。そのために私を連れて来たのであろう」
「構わん。二人まとめて始末してやろう!」
アジ・ダハーカの障気が再び膨れ上がると、拮抗するようにアータル神の炎が障気を飲み込まんと燃え上がる。
「あの方達が長老が助っ人に頼んだという?」
「総本山の者達らしいな?だが、あの神炎を使う奴は神であるのは解るが、もう一人の方は人間だろ?」
「しかし人間とは思えぬ力を感じるのは確かだ…」
白竜玄武さん、赤龍朱雀さん、黒竜玄武さんが二人の登場に興味を抱いていた。
「アータルよ!お前の身体を蝕み喰らってやろうぞ!」
余裕を見せるアジ・ダハーカだったけれど、その間合いに座主と呼ばれる男性が接近していたの。
「クッ!いつの間に!」
アジ・ダハーカの双肩の蛇竜が密教僧の男性に襲いかかる。
「危なぁ!」
けれど、密教僧に接近したはずの蛇竜は寸前で方向転換し、地面に軌道を変えて直撃したのです。更にもう1頭の蛇竜は無数の牙を口から放つと、それも全て軌道を変えて地面に落ちる。
「俺の制空権は容易く突破出来んぞ?」
密教僧の男性の戦いにアータル神は呟く。
「人間の合気なる術も、あそこまでいけば神業だな」
合気道?
相手の力を僅かな力で倍にして跳ね返す武術。
まるで魔法でも見ているようでした…
「!!」
接近した密教僧の男性がアジ・ダハーカの目の前に瞬間的に移動すると、アジ・ダハーカの身体は一回転し地面に直撃したのです。
「グハァ!」
更に密教僧の男性は自身の指先に傷を付けると流れる血を指でアジ・ダハーカと拳に素早く文字を書く。
「俺の蛇神の血でお前を消し去ってやろう!」
血の付いた拳で倒れているアジ・ダハーカの顔面を殴りつける。
「ウギャアアア!」
アジ・ダハーカはまるで蛇のようにスルスルと移動し密教僧の男性から逃げると、再び立ち上がる。しかし身体が乾燥したかのようにヒビ欠けていく。
「終わりだ!」
「オノレェエ!」
しかしアジ・ダハーカは悔しがる素振りを見せつつ顔を隠して笑みを見せたの。
「終わりだ!」
アータル神が止めをさそうと神炎を手に纏わせ飛び上がりながら攻撃する。
アジ・ダハーカの身体は炎に焼かれて消えていったのでした。
終わったの?
「呆気なさすぎる?アジ・ダハーカがこう容易く消滅するはずがない?」
「それに奴の忌々しい気がこの一帯から消えてない」
二人は、互いにアジ・ダハーカの目論見に気付き、慌てて私を見たの!
「えっ?」
その直後、
「うぐわぁあ!」
白竜玄武さん、赤龍朱雀さん、黒竜玄武さんが私を中心に弾き飛ばされたの。
そして…
「あっ…」
私の背後に影が覆い、私の首筋に血が垂れる?
身体中の血の気が引いていく中で私は気付いたの。
「離れろー!!」
青龍蒼覇が私に向かって飛びかかると、黒い障気に弾かれる。
私の背後に現れたアジ・ダハーカは私の首から血をすすり、
「清純たる竜神の巫女の血を得て私は再び力を取り戻したぞ!ウハハハハハ!」
アジ・ダハーカの身体が膨れ上がり、その本来の姿を見せる。
その姿は邪悪に満ちた魔蛇竜の姿へと!!
次回予告
アジ・ダハーカの真の姿が闇となって、
戦士達の希望の光を消し去るのか?