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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生救世主編!
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金剛仁王の条件?



絶対絶命のピンチの仁王の前に現れたのは、


姿が見えなくなっていた大徳であった。






俺は金剛仁王!


俺達は出没した鬼を退治に守護者の大徳様と調査に来ていた。そこで俺達の前に現れたのは魔神と呼ばれる異形の者であった。


闘技場結界と呼ばれる結界に閉じ込められた俺達は消えた大徳様がいない間も果敢に挑んでいたが、魔神の強さは桁違いで次々に仲間達は倒れていった。


傷付いた仲間達を守るべく俺は盾となって魔神の猛攻を受け止め、満身創痍の状態になった時に現れたのだ!大徳様が!


「遅くなってスマヌ…」


大徳様は状況を把握し既に倒された仲間達や、傷付いた仲間達を守るべくために俺がやっていた事を見て頷くと、


「後は俺が片付ける!」


俺は大徳様に肩を掴まれると全身に気が流れ込んで来る。俺は膝を付き見上げると、背を向けて不動に立つ大徳様が大きく見えた。


俺達が手も足も出なかった魔神を相手にしても、大徳様なら負ける気がしないと思えた。


「大徳様…」


大徳様さは拳を握り鳴らすと、魔神二体を見て胸を痛める。なにせ魔神に身体を奪われたのは、先ほどまで仲間だった者達の肉体。


「お前達は総本山のために長く働いてくれた。無念の死を俺は忘れん。共に戦い生きたお前達を!」


大徳様の背から怒りと悲しみが伝わって来る。大徳様にとって俺達は使い捨ての配下ではなく、同志だと思っていてくれる事を強く実感じた。


だが、大徳様が現れた事に二体の魔神もまた怒りを感じ言葉を発する。



「己は部外者!既に神を宿した器は必要有らず!外に出したはず。立ち去れ!」


それはどういう?


すると大徳様の捜索に向かわせていた者が俺に近寄り治癒術を始める。


「俺は構わん!先に他の皆を頼む?」


「そうはいかん。仁王殿が一番重症ではないか?貴方を死なせたら私が大徳様のお叱りをくらうのだぞ?」


そして治癒術を施しながら大徳様から聞いた話を始める。


あの二体の魔神は自らの宿主を探していると言う。力ある者を引き寄せては力勝負をし、負けた者には死を与え、万が一自分達に勝った者には己達の主と認めると言うのだ。だが、一番可能性があった大徳様には既に別の神が宿っており、この闘技場結界の外へと弾き出されたのだと言う。その後は捜索に向かった仲間が内から、大徳様は外から気を放ち結界を破壊して中へと入って来れたのだが、強力な結界のために今の今まで時間がかかってしまったのだと言う。だが、何のために奴達は?




「俺が部外者だと?抜かすな!魔神よ?俺の同志の命を奪われ、見て見ぬふりは出来ん!お前達の主探しなど知った事かぁ!俺はお前達に復讐する。それだけよ!」


大徳様が拳に気を凝縮させて空手の構えを取り、深呼吸をして丹田から息吹を放つ。


「来い!」


大徳様の威圧感に対し、二体の魔神達は部外者を排除せんと襲い掛かって来る。


凄まじい衝撃と振動が大地を揺るがせた。


何と、大徳様は二体の魔神から繰り出された拳と蹴りを両腕で受け止めたのだ!


「凄い…俺なら腕の骨が砕け、立っている事も出来なかったに違いない…」


俺は改めて大徳様の強さを実感した。


「ふんぬぅお!」


大徳様は受け止めた拳と蹴りを受け流しなが、魔神達に強烈な蹴りと、拳を当てる。魔神達は凄まじい破壊力に逆に弾き飛ばされていた。


「そのような魂の籠らぬ拳に俺が倒れると思うか?」


大徳様の前に起き上がる魔神達は両者の顔を見合せると、


「その中の神を追い出し、お前を我等の器に所望する。寄越すが良い!」


大徳様には魂に神を宿していると聞いた事がある。いや?四人の守護者様と座主様もまた同じ神を宿した運命共同体だと噂されていたのだ。


「なぬ?俺の中の神を追い出すだと?笑い話にもならん!お前達はヤドカリか?俺の中に潜む神は俺の咎であり罪の象徴。俺は俺の神を背負い戦い続けると誓ったのだ!」


だが、魔神達は大徳様を手に入れる事を諦めはしなかった。互いに印を結ぶと気が同調し融合していく?


『護神変化唯我独尊!合神!』


直後、二体の魔神が重なり出し、一体の魔神へと変化したのだ。いや?もしかすると、この姿こそ本来の魔神の正体なのかもしれん。


その姿は神々しくも強烈な神気を纏い、覇気がビリビリと伝わって来る。息を吸うのも苦しいくらいだ。



「うむ。少々厄介な魔神のようだな?これが卑弥呼様が稀有していた力か…」


この仕事の前に大徳様は総本山を統べる卑弥呼様に幾度と不安を話されていたと言う。それでも向かわねばならない理由も有り、大徳様は覚悟をしていた。


にも関わらず仲間達が何人も殉職し、助けられなかった事を悔いた大徳様はついに俺達の前で本気を見せたのだ。


「お前達は俺が必ず仕止めよう!この俺に宿る魔神と共に!」


大徳様は印を結ぶと自らの真言を唱え始める。



「オン シュチリ キャラロハ ウン ケン ソワカ」



その瞬間、大徳様の背後に二体の魔神が合体した姿にも劣らない凄まじい覇気を放つ魔神を出現させる。しかも大徳様は更に叫んだのだ!



『明王変形唯我独尊!』



そして俺は目にする。


神と人が一つになった姿を!その姿はまさに守護神。我等の総本山でも守護者方が身に宿す明王と呼ばれる魔神の一柱!大威徳明王の姿へ!


…既に俺の踏み込める領域ではなかった。


明王の姿へと大徳様は二体の魔神が合体した魔神と死闘を繰り広げ、ついに大徳様が勝利を手にしたのだ。


「大徳様!」


運良く生き残れた俺達は大徳様に駆け寄ると、


「まだ終わってはいない」


大徳様の視線の先に倒した魔神の魂が器から抜け出して宙に浮いて止まる。


俺達は大徳様を中心に直ぐに陣形を取り印を結ぶと、結界を張りながら魔神達の封印を始める。


『魔神結界封印』


魔神は大徳様の数珠に封じ込められたのだ。


「はぁ…はぁ…」


そこで俺も力尽き膝を付くと、大徳様が支えて下さった。


「お前が他の仲間を救ってくれたのだ。感謝するぞ」


「そんな…俺は何も出来ませんでした。俺は無力だった…」


だが、大徳様は首を振り仰有った。



「お前ならいずれ…」


「!!」



その言葉を聞いた時、俺の目標が覚悟となり、自分自身に誓った。




そして再び数年が経ち、大徳様が中国の遺跡に出没する魔物を、同じく守護者のバサラ殿と退魔に向かったと情報があった。


「総本山の守護者が二人も出向くとは厄介な案件なのだろう」


特に心配はなかった。あの大徳様の事、何事もなく戻るだろうと…


そう思っていた。


俺は別の案件で地方に出ていたため、その後の情報が入るまでに時が過ぎていた。


そう…


あの総本山壊滅の情報を聞いたのは!


「馬鹿な…有り得ん!」


総本山壊滅の情報は勿論驚きはしたが、それよりも、あの大徳様が戦死なさったと話を聞いた時には俺は信じられずに任務を投げ出し総本山へと戻っていた。


嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!


俺は涙を流し報告に来た総本山の情報部隊の男の首を掴み、怒鳴り散らした。


「何を出任せを!!その口を今直ぐに黙らせてやろう!」


仲間達が俺を押さえ付けられながらも、情報を信じられずに俺は総本山に駆け出していた。


そして、いざ辿り着いた俺の足は重くなっていた。


総本山に近付くに連れて、その惨状が真実味を実感させる。


まさか本当に?


俺は自分自身の目で見なければ信じられぬと、総本山の階段を登り詰める。


崩壊した五重塔から既に戦死した仲間達が運ばれていた。


残骸しか残らぬ者も数多くいた。


その中に…


「うっ!!」


俺は大徳様の変わり果てた姿を見て、立ちながら男泣きしていた。大徳様の損傷は激しく、辛うじて大徳様だと認識出来るくらいだった。


あの日以来、俺は生きる道を失ったのだ。


そこに生存なさっていた座主様が私のもとにやって来たのだ。


本来なら恐れ多い事なのだが、俺は座主様に対して平伏す事すらしなかった。


そんな俺に対して座主様は俺の隣にしゃがみ座禅を組むと、語り出したのだ。



「お前が仁王だな?話は大徳より聞いていた。あの大徳が目にかけていた男だとな?」


「俺なんか…」


すると座禅様は自らの顔を隠していた仮面を外して俺に素顔を見せたのだ。


「あ、貴方は?」


その方は大徳様と同じく守護者であった蛇塚様であった。聞いた話だと唯一瀕死の状態で生存なさったと聞いていたが、何故座主様の姿で?


蛇塚様は俺にだけ話してくれたのだ。


「魔物襲撃で生き残ったのは俺だけだった…」


そして蛇塚様は安倍晴明殿と座主様の代わりに総本山を立て直しを試みていると告げた。


それは総本山の存亡に関わるほどの極秘情報になりうる内容であった。


「何故?そのような総本山存亡に関わる話をなさったのですか?」


蛇塚様は仰有った。


「お前が大徳さんが唯一認めた後継者だからだ!」


「!!」


「大徳さんはよくお前の事を話していたのだぞ?万が一自分に何かあった時に、跡を任せられるのはお前だとな?」


「大徳様が?俺に?」


「そうだ!」


すると蛇塚様は俺の拳を握り、俺の目を見て言った。


「お前が大徳さんの後継者になってくれないか?」


俺は、その返事を条件付きで受けたのだ。



俺の条件とは?


それから数年後、俺は総本山の洞窟の前にいた。


そこには蛇塚様と晴明殿が立ち合っていた。



「行くのだな?」


「それが条件ですから」



俺は今日まで単身武者修行をして来た。己を限界まで痛め付け、考えうる全ての荒行に耐えた。


そして今!


俺は洞窟の中へ一人で入って行く。この洞窟は強力な結界で総本山の猛者が倒して来た数々の魔神が封じられていたのだ。


俺の前には、かつて大徳様が封じた例の二体の魔神が封じ込められた石柱があった。


「あの日より俺はどれくらい貴方に近付けたのだろうか?」


俺の条件…


この洞窟に封じ込められた魔神を降して、魂の契約を遂げられたのなら…


それだけの力を持てたのなら、喜んで大徳様の跡を任せられる重責を背負えると答えたのだ。



その試練の末、俺は…


二体の魔神を屈伏させたのだ!



俺は金剛仁王!


大徳様の後を継ぎ、この総本山を守護する鉄壁の盾となろう!

次回予告


大徳の跡を継いだ仁王がその力を奮う!


今こそ、その力を解き放て!




※ 今回登場している大徳力也の話は第二部の神を導きし救世主にて活躍しています。


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