金剛仁王!俺のすべき決断!?
前任者の守護者である大徳と出会い、
金剛仁王の道が変わっていく。
俺は金剛仁王
俺達は守護者の大徳様に選ばれた精鋭。俺達が向かう場所には凶悪な鬼神が二体潜んでいるらしい。
洞窟の中?
大徳様は洞窟の外を仲間達に守らせ、俺と他に二人の仲間を連れて洞窟の中へと入って行く。
「全く気配がしませんな?本当にいるのでしょうか?」
「間違いない。卑弥呼様よりこの洞窟の中に潜んでいると啓示されたのだからな」
卑弥呼様とは座主様と同じく総本山を統べる要だと聞く。その姿は守護者のみに姿を現すと言われ、俺も見た事がない。卑弥呼様は未来を見る力があるとか?とにかくその予言は絶対に外れないと言うのだから、この洞窟に何かいるのは間違いないだろう。警戒に損はない。洞窟は広く、奥まで進み行き止まりまで辿り着くと大徳様が何かを見付けたのだ?
「何故、此処に?」
洞窟の奥に見上げる程の二体の石像が並び立っていたのだ!
「どうしてこんなもんが?誰が作ったのでしょうか?」
俺が問い掛けると、大徳様の頬から汗が垂れる。
「もしや!?ここにいるのは鬼神なんかではない。此処にいるのは!」
「えっ?」
すると二体の石像が突然動き始めたのだ!
「この石像が鬼神だと言うのか?しかも何だ?この凄まじい覇気は!?さっき大徳様は鬼神ではないと?なら、何だと?」
驚く俺達に向かって大徳様が怒鳴るように命ずる!
「直ちに洞窟より退避せよ!こいつ達は只の鬼神ではない。神その者だ!」
大徳様の指示に仲間達は洞窟から来た道を引き戻す。崩れ落ちる洞窟の中で出口が見えた直後、天井が崩れ落ちて来た。
「お前らぁー!」
瞬間、俺達は誰かに押されて洞窟の外へと突き飛ばされたのだ。
「はぁ…はぁ…」
助かった俺達は辺りを見回すと、そこには唯一大徳様だけがいなかったのだ。
「大徳様は何処だ!?」
まさか洞窟の中に生き埋めになったのか?
気すら感じないとは?
助かった仲間達も生き埋めになった大徳様を助けに崩れた洞窟へと向かう。
「うぐぅあああ!」
突然の仲間達の悲鳴?
見ると地面から抜け出た腕が仲間達の身体を掴み持ち上げる。
「何だ?あの化け物は!」
それは二体の魔神だった。
筋肉の鎧に凄まじい覇気の鎧が更に覆われる。
だが、その姿は俺達が知るあの神の姿と酷似していた。しかも俺の名の元になった神と!
二体の仁王神!
「大徳様はあいつ達を神そのものと仰有っていたが、あれは本当に?」
すると目の前で仲間が二人握り潰されて圧死する。残された仲間達は即座に印を結び攻撃体制に入った。
違う!あれは神なんかではない!狂暴な魔神だ!
「大徳様は無事に決まっている!それまであの化け物は俺達が相手をする!」
「仁王様!」
「!!」
突然、地面が揺れ始める?地震?違う?地下から岩が盛り上がって来て、俺達を中心に馬鹿でかい闘技場が出現したのだ。しかも強力な結界が俺達の逃げ場を完全に塞いでいた。俺は大徳様不在の今、代理として仲間達を指揮をとる。
「厄介だ…これでは奴等を倒さぬ限り、逃げる事も総本山に仲間を呼びにも行けぬのか…」
闘技場結界?
これは特殊な結界で、張ったであろうあの魔神を倒さぬかぎり解けない結界なのだ。二体の魔神は闘技場の中心に立っていた。俺達は奴等を囲みながら次の行動に迷う。生き埋めになった大徳様の救出に一人を向かわせ、残りは俺と共にあの魔神と戦うしかない。
「やるぞ!皆!」
「オゥ!」
俺達は両拳に霊気を籠めると攻撃体制に入る。この大徳様直属のチームは肉体派の打撃中心の猛者で構成されていた。
「鉄砲打撃!」
遠方より二人が凝縮した気弾を放って二体の魔神を攻撃する。先ずは牽制だ!それから二人が駆け出して接近攻撃を仕掛け、上空から錫杖を突き付け落下しながら攻撃する二人。
全ての攻撃が直撃し、俺もトドメを刺すための一撃を与えに突っ込んだその時!
魔神の身体が崩壊して崩れ落ちたのだ?俺は呆気に取られて攻撃を止める。
「まさかこれで終わりなのか?」
だが、気付く。その崩れ落ちた魔神の身体がもぬけの殻だと。では本体は何処に消えたのだ?
俺達は辺りを見回す。
気配がしないわけではなかった。結界が消えてない以上、何処かにいるはず?
その時、仲間達が俺に向かって叫んだのだ!
「仁王殿、あれを!」
そこには最初に殺された仲間の二人が立ち上がったのだ?しかも筋肉が盛り上がって信じられない覇気を放って俺達を吹き飛ばす。
「うぐぅあああ!」
何とか体制を整えながら踏ん張る俺達は、そこで恐るべき事態を目の前にする。魔神二体は死んだ仲間達の屍を器にして肉体を手に入れ蘇ったのだ!
「馬鹿な!?」
だが、戸惑っている場合ではない。とにかく倒さねば出る事も出来ないし、大徳様の安否も気になる。
その時、二体の魔神が言葉を発したのだ?
「我らを制する者はおらんか?」
お前達を制する者?
何を言っているのだ?
すると二体の魔神は俺達に向かって突進して来たのである。
「皆!陣形を組み、魔神を迎え撃つ!」
連携の取れた動きで仲間達は二体の魔神を囲み、四方八方から攻撃を仕掛ける。
が、俺達の霊気を凝縮した拳は魔神の筋肉に弾かれ無傷だった。
「足を狙い、動きを止めよ!」
俺の指示に仲間達が錫杖で魔神の足を狙い振り払った。
「!!」
が、飛び上がった魔神は錫杖の上に乗り掛かり、動きの止まった仲間達を裏拳一つで吹き飛ばした。
なら、至近距離から特大の『発勁』をぶちかます!
仲間の二人が魔神を引き付け、他の二人が気を凝縮させながら互いの気を重ねる。
『混合発勁爆』
更に四人の仲間達が気を練って作った鎖を投げつけ二体の魔神を拘束する。
身動きを止めた所で俺もまた練りに練った発勁の気を拳に籠め、仲間達が融合させ作った合気弾の塊に向けて殴り付けたのだ!
『三位一体混合発勁爆!』
それは三人の気を融合させて一気に放つ合体奥義だ。放たれた気弾は鎖で身動き取れない魔神に見事に直撃したのだ。
「やったか?」
だが、仲間達が叫ぶ!
「見てください!まだ奴等は倒れてはいません!」
「何だと?」
二体の魔神は腕を交差させた状態で俺達の放った霊気弾を受け止めた状態で立っていたのだ。
「我らを制する者はおらんか!」
また同じ台詞を?
搦め手も真っ向攻撃も通用しない上に俺が奴等を引き付け仲間達を逃がす事も難しいとは…
しかも俺達の最高の破壊力を持つ奥義が効かないなんて…
だが諦めてはならぬ。必ず突破口はあるはずだ!
すると今度は二体の魔神が動き出したのだ?
しかも、それは?
「まさか俺達と同じ奥義を真似るつもりかぁ!」
二体の魔神は気を高めて融合させると、それを俺達に向けて放ったのだ。
「うぉおお!!」
だが、俺を庇うように二人の仲間が身を呈して守ってくれたのだ。
「後は頼むぞ…」
二人は黒焦げとなって立ったまま命尽きた。
「クッ…俺のために…許さん!化け物だか神だか知らないが、絶対に許さん!」
俺は飛び出していた。
気を全身に纏い、魔神に殴りかかる。だが、俺の攻撃は全て傷を負わせる事も出来ないで、拳だけが血だらけになっていく。
「このまま終わらせん!俺を守り散った仲間達のためにも負けられん!」
他の生き残った仲間達も一斉に攻撃を仕掛ける。仲間達は果敢に挑むが魔神達の一撃は重く、受け止めたガードも空しく腕がへし折れ、致命傷は避けたが戦える状態ではなかった。
「残ったのは俺だけか…」
そこに仲間の一人が異常な気を高めて特攻をかける。
「まさか自爆するつもりか!?」
仲間は魔神達に抱き付いた状態で気を極限に高めて爆発した。
「あぁ…」
にも拘らず魔神達は傷一つ無く、仲間の死が無駄に散った事に俺は涙を流す。
「おのれぇー!」
俺も自爆を考えてはいた。だが、無駄になる事は仲間が身を持って教えてくれた。だったら俺が出来る事は、せめて死んだ仲間達に報いるために魔神達に傷の一つでも付けてやる。それだけだった。
だが、気付く!
倒れている仲間達が微かに生きている事に。確かに致命的な傷を負っている。それでも急いで治療すれば助かるかもしれん?
「ならば、俺のすべき事は…」
俺は耐える…
どれくらい時が経ったか解らなかった。
もしかすると1分かそこらだったかもしれない。
それでも俺は倒れた仲間達の盾となって、二体の魔神の猛攻をひたすら受け止め、耐えていたのだ。
全身の骨が砕け、血に染まりながら立っている事も、息をする事さえ苦しかったが、それでも意味があると信じていた。
この行為が!!
何故なら?
その時!!
俺達を閉じ込めた闘技場結界が揺れ出し、地震が起きる?そして魔神達とは別の強大な力が迫って来ている事に気付いたのだ。
それは!
闘技場の東方向の結界が亀裂し、爆音を立てて崩壊したのだ!
その中心に現れた強大な力とは?
「よく持ち堪えた。後は俺に任せろ!」
大徳様が結界の外より現れたのだった。
信じていました・・・
後は、お任せ致します。
次回予告
二体の魔神と大徳の戦い!
その姿を目に焼き付けた仁王
そして、仁王もまた・・・