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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生救世主編!
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鈴鹿御前の華麗な戦い!!


法子の危機に駆け付けたのは坂上田村麻呂だった。


彼は先に向かえと言われていたのだ。


はい!私の絶体絶命のピンチを坂上田村磨呂さんに助けられた法子です!


で、続きが気になると思うけど話はまた少しだけ遡ります。


私を先に向かわせた鈴鹿さんは、蝙蝠の化け物と化した榊原賢と単独で戦っていたの。



「ホレ?ホレ?ホレ?」


榊原の攻撃に鈴鹿さんは防戦一方だったの?


どうして鈴鹿さんが押されているの?


「うっ…」


鈴鹿さんは方向感覚を乱されて、榊原の攻撃を躱せられないでいたの。


榊原は口笛のように超音波を起こしては、鈴鹿さんは距離感を鈍らされているの。更に羽を使い宙を自在に不規則な動きで飛び回りながら攻撃してくる。まるでいたぶるように遊んでいたの。それでも耐え凌ぐ鈴鹿さんは少しずつ榊原の動きを捉えつつあった。


「鬼神召喚!」


鈴鹿さんは鬼使いの巫女で、自由に鬼を召喚出来るの。今召喚したのは小さな身体に一つの目玉が頭に角がある一眼目鬼と呼ばれる小鬼を百体。数は多いけれどこんな小鬼で何が出来ると言うのかしら?


一眼目鬼達は召喚されるなり至るところに散っていき、壁に張り付いては消えていったの?


「お前、何?出した鬼達消えたよ?まさか逃げたの?今の鬼?はい?まさかの失敗かい?」


榊原は鈴鹿さんに向けて口から血を唾のように飛ばす。あの血に触れたら神は死に、その力を使う術者も力を失い、毒に蝕まれる。


「!!」


すると鈴鹿さんは飛んで来た血の唾を全て正確に躱す。今までは方向感覚を失い、数度と攻撃をくらい危機的状況だったのに。


まさか見切ったの?


違う。鈴鹿さんがさっき召喚した小鬼達は壁に張り付き同化すると、壁から部屋中を見回していたの。百体の小鬼達は仲間達と視界を共有出来、この空間を正確に把握している。それは術者の鈴鹿さんも視界把握を共有出来、例え超音波を放とうが関係ないの!


「もう小細工は通用しませんわ?覚悟しなさい」


「わけ、解らないな?それで勝ったつもり?おばさん?」


「残念ですが私はまだ若いと思います。少なくとも今が旬だと思います」


鈴鹿さんは表情を変えずに真面目に答えていた。


「あはは!変な女!でもお前のその鉄仮面を醜く歪ませてやりたくなったよ!」


「残念ですが貴方の夢も願望も叶う事はありません。貴方は今から私に命を絶たれますから」


「どうだかな?」


すると榊原は懐から何かを取りだす?それは瓶?手にした瓶を口から飲み込むと、榊原の身体は真っ白な蝙蝠へ変貌し翼がもげ落ちたの?榊原は自らの落ちた翼を手に取ると、それは翼の形をした鋭利で大きな鎌になっていた!?


「歪禅さんに貰ったレベルアップアイテムだよ?お前、もう死ぬよ?死んじゃうよ?ケラケラ!」


振り払われた翼の鎌は鈴鹿さんを避けて天井と壁を両断した。


「俺は翼を捨てて攻撃に特化した。お前はもう切り刻まれる玩具だ!思い出すよ?猫や犬を勝ったばかりの包丁で分解して遊んだのをさ!」


「動物愛護団体が聞いたら怒られますよ?」


「知るかぁー!」



今度は鈴鹿さんが刀を抜く。それは黒い刃の短剣が二刀。その刀は坂上田村磨呂さんの使うソハヤの剣と同格の力を持ったカミシニすら斬る刀!


『あざ丸、 しし丸』


鈴鹿さんは二本の短刀を盾に榊原の蝙蝠の大鎌を受け止めるけれど、力負けして弾かれる。後方に弾かれた鈴鹿さんはそれでも華麗に着地した。


「どうだかな?確かにその短刀は凄いと思う。だって俺の鎌を受け止めたわけだし?認めてやるけど、やっぱオバサン死ぬよ?女の力で俺の鎌を耐えられると思ってんの?」


「ご忠告有り難うございます。けれど私にはオバサンと呼ぶにはまだ早いと思います」


「何を余裕かましてんだよ?次はその首をはねてやるからな!」


「それは無理だと思いますわ?私、強いんで…」


「はぁ~?」



鈴鹿さんは短刀を重ねて真言を唱え始める。


『鬼神変化唯我独尊』


鈴鹿さんを中心に真上に黒い穴が開いて鬼神達が鈴鹿さん目掛けて濁流のように降りかかり飲み込まれる。


「!!」


鬼神達に覆われた鈴鹿さんを中心に黒い閃光が放たれ、中から鬼神の衣を纏った鈴鹿さんが出現する。顔や肌から見える皮膚には黒と赤の紋様が浮かび上がる。


「何だよ?見た目が変わっただけじゃね?魔法少女のつもりか?オバサン?」


「私は魔法少女でもオバサンでもありませんわ?私の主が世界で一番愛する鈴鹿御前。それだけの存在ですわ」


「意味わからね~頭、イカれてるのか?」


「愛を知らない貴方には解らないでしょう。愛は強く、最後には必ず勝つと!」


「益々、わかんね~!」



榊原は両手に持った大鎌を振り回しながら鈴鹿さんに襲い掛かる。しかし鈴鹿さんは短刀二本で榊原の攻撃を受け止める。


「馬鹿な?あんな女の細腕で俺の鎌を受け止められるはずないだろ?」


「現実を見てみなさい?貴方の鎌は私には赤子がじたんだ暴れているようなもの。受け止めるのは造作もないです」


「ナメるなぁー!」


榊原が両手で挟むように鎌を振るい、鈴鹿さんが両方の鎌を短刀で受け止めた時、再び口から超音波攻撃で鈴鹿さんの反応を鈍らそうとする。


「想定ないです」


両手が塞がった状態で鈴鹿さんは胸から新たな三本目の短刀を出現させる。ゆっくりと短刀が頭を見せて全てが出た所で足下に落下すると、狙っていたかのように蹴りあげたの!


「アガッ!」


蹴り上げた短刀・友切丸は榊原の顎から首に抜けるように貫いた。堪らずに両手の鎌を手離してしまった榊原に対して鈴鹿さんは。


「ごめんなさい。貴方は確かに外道な殺人を犯していかもしれません。ですが私はそれ以上に…」


その瞳は冷酷無慈悲な冷たい視線が榊原を貫くと、榊原は目の前にいる鈴鹿さんの存在が巨大で手に負えない恐怖の対象に感じて震え出す。


「大丈夫。例え貴方みたいな者にでも、痛みを与えて殺すのは趣味ではありませんから」



直後、鈴鹿さんは榊原の目の前で数回回転すると、頭から首に、胸から銅に、腰から膝へと崩れるように両断したの。


「ふぅ…」


一息のもと、榊原は鈴鹿さんの目の前から消滅して消え去ったのでした。


完全勝利の鈴鹿さん。けれど視界が歪んで膝を崩すように意識が消えかける。それは最初に榊原の魔性の血を受けてしまっていて身体に毒が回っていたから。


「!!」


が、倒れる鈴鹿さんは寸前で抱き起こされたの。鈴鹿さんはその相手の顔を見て優しい笑顔を見せる。


「主さま…」


「大丈夫かぁ?鈴鹿ぁ!どいつがお前をこんな目にしやがったぁ!?」


怒鳴り心配するのは坂上田村磨呂さんだったの。


「私は大丈夫です。敵は既に倒しました」


「そ、そっか?なら安心したぞ」


「貴方はいつも私の元に駆け付けてくれるのですね?」


「はぁ~?何を今更?」



過去を振り返っていた鈴鹿さんは最初の出会いから今の関係が少し懐かしくも恥ずかしく感じたの。そして安堵する田村磨呂さんに鈴鹿さんは伝えたの。


「それよりも法子の救援を頼みます。今頃無茶をしていると思いますから」


「法子がいるのか?」


「この先の屋上です。お願いしても良いですか?」


「当然だ!」


そう言うと田村磨呂さんは鈴鹿さんをもう一度抱き締めると、見送る鈴鹿さんを残して私のいる屋上へと走り出したの。




そして今、坂上田村磨呂さんは危機一髪で私を黒川の手から救ってくれた。


「お疲れさん。後は休んどけ?ここから先、ガキを守るのが大人の役目だろ?」


田村磨呂さんはサハヤの剣を抜くと、辺りを見回す。


「成る程…」


そこには先程蹴り飛ばした黒川と、僧侶の姿をした男が自分を見ていたの。


「奴が噂の歪禅か?」


坂上田村磨呂さんが総本山に来た時には既にいなかったために名前と噂でしか聞いた事がなかった。


歪禅…


かつての総本山で統括していた伝説の守護者である三千院様の側近。側近と言えど、その実行は守護者並みだったと聞く。当時は明王を宿した者達で守護者が構成されていたために総本山の守護者からは外れ、万が一の補充要員兼ねた側近として働いていたの。


因みに晴明師匠も同じ立場だったのよ?ついでに説明すると、もう一人いて、三人の側近は『三千院さんの三側近』と呼ばれていたの。


うん。


何か恥ずかしネーミングだけど、名誉ある役職だったわけなの。


「かつての総本山の力量を見るには良い相手だな?歪禅!」


すると歪禅は田村磨呂さんを相手にしないで黒川に向かって


「いい加減起きろ?お前がサボるために寝てるのはわかってるのだぞ?」


歪禅の言葉に瓦礫の中から黒川が再び起き上がったの。


「チェッ!せっかく休憩しながら歪禅さんの力量みようかと思ってたのによ?シコル暇もないじゃん?」


「下品な事を言ってないでお前も礼の物を使うが良い」


すると黒川は懐から卵みたいのを取り出す。


「さっきの血薬で終わらせるつもりだったけど、まさか卵使うはめになるとはよ?これ、寿命縮めるんだぜ?嫌になるぜ~」


さっきのは蚩尤鬼神の血を凝縮させた薬で力を倍増するアイテムなら、この卵は蚩尤鬼神を生きたまま凝縮した共食いアイテムなの。つまり、それって?


「今から死ぬ前に教えてやるよ?一撃で死ぬなよ?だって今から俺はチートだからな!」


「何だと?」


黒川は卵を飲み込むと、一呼吸の後に…私達の視界から消えたの??


「うぐぅわあ!」


瞬間、今度は田村磨呂さんが弾き飛ばされたの!?


「おっ?反射的に受け止めたのか?やっぱりお前やるなぁ?」


激しく壁に衝突した田村磨呂さんは冷や汗が頬を流れた。それは田村磨呂さんでも見切れなかったから!


「無意識に反射的に刀をずらしたお陰で命拾いした…が、奴の動きは何なんだ?」


まるで瞬間移動に思えたの。気付いた時には弾き飛ばされていたのだから。


「これはメインディッシュはお預けみたいだな?直ぐには掃除が終わりそうになさそうだ…」


と、田村磨呂さんが戦っている黒川の他にも、実は…



「そいつだけじゃないぞ?お前達総本山を消すために特別に用意した蚩尤様専属の四体の守護者よ!」



化け物四体の守護者?


つまり、こんなのが他にも三体もいるって事なの?


ちょっと…


終わらないじゃないのさ~


そんなこんな


次回予告


四体の蚩尤の守護者の脅威が総本山の守護者に迫る!

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