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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生救世主編!
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謀反?総本山に迫る魔の手!


坂上タムラと、鬼女(鈴鹿)は総本山に身を置く事になった。


しかし、そこも平穏ではなかった。


私は鈴鹿御前


私は昔、三人の総本山の方々に救われて総本山に身を置く事になりました。


私を使って鬼を使役させていた父は警察に送られる事になったけれど、あの崇徳天皇復活の中で命があった事は幸いです。


どれだけ酷い人間だと理解していても、血の繋がった父親である事はかわりないのだから…


そして私は総本山にて安倍晴明様を師として修行をしていたのです。


私には鬼を使役し呪いをかける天性の力があった。これは私の転生前が鬼の血を引く鬼神の巫女であったからだと言う。


しかし呪いと、鬼を使役する事が役に立つと言うの?


その自問自答に対して晴明様はおっしゃった。


「どのような力でも、大切なのは使い手次第。研ぎ澄まされた刃は人を殺す事が出来ると同時に守るための盾にもなる」


「私に守るために、この力を振るえと?」


「この世界は今、目に見えない力の均衡が崩れています。その力に対抗するために貴女が必要なのです」


「私が…必要?」


父親以外に初めて必要とされた事に感激を受けた。私に出来る事が…私にしか出来ない事があるなら、この呪われた力を使っても良いと思いました。


そんな時、


「いてぇ~少しは手加減してくれよ?師匠!」


地面に大の字に倒れているのは、私と同じくあの日に救われた坂上タムラさん…


彼は…


私の転生前に夫婦だった坂上田村磨呂の転生した姿と聞いた。


けど、それは過去の話。確かに最初は気になった事もあったけれど、同じ釜を食べ、身近に知り、はっきり言って大した男じゃないと感じたのでした。


大口を叩き、乱暴者。総本山の先輩方にも喧嘩を売っては問題を起こし迷惑三昧。更に総本山の若い女僧に声をかけては嫌な噂しか聞かない。恐らく本気で打ち込んでいないのでしょう。確かに嫌々総本山に来た経緯があるのは知っていた。そんな彼に私が構う必要も特になかった。


しかし?


そんな私と彼との関係が変わる事件が起きたのです。


実は、この総本山は私達が来て間も無く、化け物の襲来に襲われ一度崩壊してしまったのです。まだ修行中で力が無かった私達は離れた地の晴明様の陰陽堂にいたために、襲来の際には巻き込まれずに命拾いしました。しかし総本山は主格となる守護者方々が戦死なされて機能停止…


そんな状態の総本山を再び立て直したのは、私達を導いてくださった蛇塚様と安倍晴明様でした。


そこで問題になったのが五重塔建設と共に、座主様を守護する四人守護者の存在でした。


現在は唯一生き残った蛇塚様と、新たに就任した安倍晴明様、それに先日就任した仁王様。残り一つの枠は空席だったのです。


「俺が守護者になってやるよ!」


そう啖呵を切ったのは坂上タムラでした。


「お前にはまだ早い。いずれ力を付けたら考えてやらんでもないが、今は修行をしろ!」


「温い修行は飽きた!俺にはもっとハイレベルなのを頼むぜ?師匠?」


「それは、これが出来たらにしろ!」


蛇塚さんは掌に霊気を集中させると、その霊気が伸びていきながら硬質化して錫杖を形作る。


「これが金の錫杖だ!霊気のコントロールと形質変化の集中力が必要な高度な技だ!先ずはこれが出来たら考えてやっても良いぞ?」


「まじか?二言はないよな?」


「俺は嘘は言わん!」


すると坂上タムラの目の色が変わり掌に霊気を集中させる。


「まさか、お前?」


「うぉおおおお!」


雄叫びをあげて坂上タムラの手には金の錫杖が出現したのです。


「お前、いつのまに?これも転生者の成せる技か?」


驚きを見せる蛇塚様に坂上タムラは自慢気に言う。


「朝飯前だ!」


すると蛇塚様は彼を見て嬉しそうな顔をする。


「明日から次のステップだ!覚悟しろよ?タムラ!」


「最初からそのつもりだ!明日からじゃなく今からでも良いくらいだ!」



と、正直私も驚かされた。やはり坂上田村磨呂と呼ばれた転生前の力が影響しているのかしら?噂では晴明様に匹敵するとか…


けど、私は知る事になる。


確かに彼は素質がある。それ以上に負けず嫌いで、何より『義』に熱い事に…


坂上タムラは過去に私達を救った彼が総本山壊滅時から姿がない事に気付き、あの日戦死した事を知る。



「まだ俺はお前に勝ってないだろ…」


涙ぐむタムラは、恩人がやり残した総本山の守護を自分の責務だと課したの。


そして私が偶然深夜にふと外に出た時に、強い力の気配を感じて気になって覗いて見ると、訓練所に一人、汗水流しながら特訓している彼がいたのです。


「ふふふ。見直したか?」


気付くと私の背後から蛇塚様が声をかけて来た。


「ご存知で?」


「あぁ。あいつは自分の努力を見せられないシャイな奴なんだよ」


「………」


努力は口に決して見せない。素質だけでなく努力も兼ね備えた彼は、みるみる実力を上げていた。


そんなある日、総本山に噂が広がる。


新たな守護者が選抜されると言うのです。


現在空席は一つ。


総本山にて今、一番の候補は恐らくあの方に間違いないでしょう。


源頼光の転生者!


彼は総本山でも守護者と同格の強さを持ち、側近に腕の立つ四人の仲間を連れていた。


総本山の誰もが彼が守護者になると信じていた。


「成る程ね~」


彼には野心があった。


「総本山の守護者程度で満足する自分じゃないよ」


彼は総本山を乗っ取ろうとしていたのです。


現在、総本山には座主様と卑弥呼様を中心に安倍晴明様が側近として成り立っていましたが、晴明様は私とタムラのような転生者を日本中を旅して探し回っていたのです。なので、この総本山を守護しているのは蛇塚様と仁王様。この二人さえいなければ座主様と卑弥呼様を討つのは容易いと策を立てていたのでした。


その為に新たな巫女を仕立てる必要があったの。


「目星は付いてる」


彼が目を付けていたのが私だったのです。



滝に打たれて瞑想をしていた時、彼は私に近付いたのです。


「何者!」


そこにいたのは源頼光だったのです。


「やはり美しいな?お前は?私が目を付けた事はあるよ」


「ここは女人しか立ち入る事を禁じられているはずです!例え頼光様とて許されませんよ!」


怒る私に頼光様は構わずに近付いて来る。


「お前を私の女にする!だから私に従え!」


「何を馬鹿な事を?」


「私は真面目だよ?お前をこの総本山の巫女にしてやろう!」


「それはどういう?」


「言葉通りだ。私がこの総本山を乗っ取る!」


「謀反を起こすつもりですか?」


「謀反?いや、粛正だ!この総本山は生温い。力ある者が揃いながら裏世界でのみにしか干渉せず、それが意味あるのか?この乱れた表の世を支配し、日本を正すのが私の義務だ!」


「愚かな…そんな事をすれば無駄な争いが始まるだけではありませんか?」


「その為にお前の力が必要なのだ。お前にはその力がある!」


「!!」


彼の言葉の意味する事がわかった。私に再び権力者を呪い殺す事なのだと。


「私は致しません!貴方の事は上に報告させていただきます!」


「そんな真似をさせると思うか?お前は私に従っていれば良い!」



私が術札を抜き構えると何処からか声が響き渡る。



「やれやれ…物騒な話を聞いちまったら、呑気に覗きも出来ないじゃないかよ?」


えっ?


滝の流れに身を任せるように坂上タムラが急降下して来て、私の前に着地した。


「貴方、何故ここに?」


「言ったろ?覗きだって?」


「馬鹿ですか!」


「だが、そのお陰でナイスタイミングだったろ?」


私は胸元を隠しながら怒ると、彼は飄々と言い退けた。しかし、その眼光は源頼光から放たれる威圧感を受け止めていた。


「邪魔者が現れたな?お前の事は噂で聞いている。確か坂上田村磨呂の転生者だったな?」


「で、お前は俺に倒される頼光だったな?」


「ふん!」


直後、源頼光から放たれる覇気が瞬間的に霊気を張って受け止めたはずの私達を弾き飛ばしたの!


タムラは滝の中から抜け出し、飛び上がり金の錫杖を出現させる。


「コノヤロー!」


殴りかかるタムラの錫杖を源頼光は微動だにせずに見上げて笑みを見せる?


「!!」


タムラの降り下ろした錫杖は源頼光に当たる前に止められていた?それは頼光から出現した鬼神によってだった!?


「クッ!!」


そのままタムラは再び弾き飛ばされ崖岩に衝突したの。顔を上げて見たその鬼は真っ赤な紙を靡かせた神に匹敵する鬼神だった。


「私の守護鬼神は暴れん坊でな?勝手に出て来ては私の敵を排除してしまうのだ。まさか今ので死んではいまい?」


タムラは起き上がると、口から血を吐き捨てる。


「テメェ…」



あの鬼神はまさか?


あの守護鬼神が私の知るあの鬼神だとしたら…


「まさか、その鬼神は伝説の?」


その問いに源頼光が答える。あの鬼神は伝説の!



『酒呑童子』



かつて源頼光が倒した伝説の酒呑童子が守護鬼神にしたと言うの?


「関係ねぇーぞ!」


タムラは全身に気を纏うと源頼光に向かって突っ込む。そこに再び酒呑童子が現れて道を塞ぎ、タムラに襲い掛かる!


「うぐぅわああ!」


酒呑童子の拳に金の錫杖が折れて消えると、武器を失ったタムラは勢いに負けて倒れる。そこに踏みつける足が迫る瞬間、


「この剣を使いなさい!」


私は意識を高めると召喚するかのように一本の長刀が出現する。その長刀を念力でタムラに向かって飛ばす。


「その長刀はソハヤの剣!鬼神をも斬る銘刀です!」


「ありがてー!」


その刀を手に取り構えて酒呑童子に斬りかかる。


「伝説の鬼神を斬る銘刀か?面白い。なら、私の鬼を斬る銘刀とどちらが上か試したくなったぞ!」


源頼光もまた私と同じく剣を召喚させ手にする。


『銘刀・童子切安綱』



源頼光が剣を携えると酒呑童子はタムラとの戦いを止め頼光の背後に控える。


「お前はもう良い。後は私が片付ける」


「俺をナメるな?」



坂上タムラは殺気だってソハヤの剣を構えると、対象的に頼光は余裕そうに童子切安綱を構える。


一瞬でした。


互いに刀を振り払うと刀は衝突する。


「ご、互角か!?」


だけれども頼光は衝撃で一歩引き下がり、自らの指を刀で傷付け血を垂らすと刀を染めさせる。


「何を!?」


「次に交えた時に解るさ!私の恐ろしさが!」


「ほざけぇー!」



再び振り払われる鬼斬りの剣が衝突した時一方の刀が脆く一撃で折れたのです。その僅かな隙に二振り目が相手を斬り裂く!


「タムラぁああ!」


私の叫びが響き渡り、血塗れのタムラが倒れる。


そして私の眼前に酒呑童子が現れ、私に当て身で意識を失わせられた。



「残る邪魔者は守護者達だけだな?どうだった?」


源頼光の背後に四人の男達が控え、答える。


「晴明は未だに戻らず、蛇塚と仁王が塔を守っているだけです」


「ならば今のうちに落とさせて貰うぞ!総本山!」



今、源頼光による総本山への謀反が決行されようとしていた。


次回予告


源頼光の謀反に総本山が危機に陥れられる。


そして、タムラは本当に死んでしまったのか?

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