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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生救世主ロスト編!~始祖神滅の章~
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鉄扇の五つの扇!

久しぶりの続き・・・

もう、読んでる人はおらんかな。

竜己公主の突きだす三叉の槍が鉄扇を襲った。

直線に閃光が走る。

鉄扇もまた紙一重で攻撃を躱しては、その懐に入り込み鉄の扇を振るった。


「芭蕉扇・爆風烈火」


至近距離から竜巻が起こり、竜己公主を上空へと吹き飛ばした。


「この私がこの程度で倒せるとでも思っていると思っているのか!?」


上空に吹き飛ばされながらも、己の自由を奪う竜巻を竜己公主は一気に体内から噴き出させた覇気で消し去ると、下降を睨み鉄扇の居場所を探る。


「(いない?消えた?まさか逃げた?フッ。そんなはずないわね)そこかぁー!」


竜己公主は頭上を見上げると、鉄扇が急降下してきて、その拳を突き出していた。


「クッウウウ!」


竜己公主は三叉の槍で鉄扇の拳を受け止めるが、その爆発的な勢いに圧されて地面に墜落した。

落下した竜己公主を空中から見下ろす鉄扇だったが、


「やっぱり強いわね。なんて頑丈なのよ。始祖の神って」


鉄扇は今ので確実に倒したと思っていた。にもかかわらず竜己公主は落下した地面から立ち上がり、土埃を払いながら鉄扇を見上げていた。

竜己公主も鉄扇の強さに驚愕していた。


「これが魔神血統の血なのね。始祖の末裔である私に匹敵する程の脅威だわ」


竜己公主は文献で知っていた。

この世界の種族について。


始祖神と呼ばれる最高神から枝分かれした神族の末裔は、次第に別々の環境と生き方から進化と変化を繰り返していた。

しかしそれは、始祖神の力の欠片の者達。

どう足掻いたところで、濃厚な始祖の血を直系に持つ末裔には及ばない。

神族だけでなく、蛇神族や龍神族もまた始祖の末裔。


が、その欠片の中に始祖神の力を脅かす種族が出現し始めたのだ。


獣神族の妲己、魔眼一族、影一族等。

その中でも、多種混血種族であった異界の神々である魔神族の血統だった。


魔神族の特徴は褐色の肌が特徴で、その髪は白か赤、黒、青色と多種ある。

目の前にいる鉄扇もまた魔神族。

初見は白肌だったが、魔神の血を全身に廻らせる事で、褐色から黒肌へと変化する。

さらに美しき黒髪が燃え上がる炎のように真っ赤に変色した。


「我ら始祖神から枝分かれした異形種の分際で、本家に敵うと思うなよ」


竜己公主が槍を構えて、神気を高める。

その激しくも神々しい力が鉄扇の肌を刺激し、冷や汗が流れ、震えた。

まるで太陽のような存在感だった。

しかしこの震えは、武者震い。

笑みをこぼした鉄扇もまた漆黒の闘気を激しく、同調するかのように全身の力を解放させた。

互いの武器である三叉の槍と、芭蕉扇が激しく衝突しては、強烈な震動が大地を震わす。

まさに互角の戦いだった。


「三叉の閃光激」


竜己公主の三叉の槍元から鋭い閃光が、鉄扇の身体を貫くが、それは残像で上空へと飛び上がり、そして竜己公主目掛けて芭蕉扇を振り下ろした。


「芭蕉扇・鵺」


雷獣鵺の奇声とともに、無数の雷が雨のように竜己公主に降り注ぐ。


「ぐぅっ、回転槍!」


槍を回転させて、雷の雨を弾き返す。


「面白いよ!あんたぁー!けど、私はお前達始祖神をも超えて最強になってやるんだからぁー!」


鉄扇が叫ぶ。

激しく衝突する両者は、感じあっていた。

好敵手だと。


始祖であり、最高神の血統。

神才に恵まれ、倶利伽羅の王をも倒した竜吉公主は、己の才能に自負していた。

母神である西王母、師である九天玄女。

彼女達以外に同じ性別では敵はいないと思っていたのに、目の前にいる鉄扇と呼ばれる娘は、そんな自分と渡り合う。


鉄扇の事は、天界の記録簿に記されていた。

自分が「時の牢獄」で封じられている間に現れた女妖怪。魔神族の血統であり、それだけでは始祖の力を持つ自分の相手にはならない。

しかし鉄扇は恵まれた。

義姉である羅刹女に育てられ、蛟魔王や、九天玄女にも手解きをされた。

なにより彼女(鉄扇)の強さの秘訣は、強者との戦歴。


六大妖魔王の筆頭である孫悟空や、地上界を統べた魔王の一角、玉面魔王。

世界を壊滅的にまで滅ぼしかけた蛇神族の襲来で、八体の覇蛇だけでなく、白蛇王、さらには覇王とも戦った戦歴。

彼女の成長は死線を乗り越え、驚異的なスピードで成長した。


「戦いながら、成長している。これが羅刹の力か。厄介だわ」


「そろそろ決着付けてやるわ!」


「けど、私も容易くなくてよ!」


竜吉公主は、笑みを見せる。

まだ彼女には奥の手があったのだ。


「あんまり使いたくなかったわ。けれど、あんたは私が思っていた以上に手強かった。本当に敬意を持つわ。でも、もう決着をつけさせて貰う」


「何をするか知らないけど、やれるもんなら、やってみなさい!」


「そうさせていただくわ!」



すると竜吉公主の身体が目映く光輝き、その背後から何かが揺めき、動き出す。

それは獣?竜吉公主の背後から出現した獣の咆哮が響き渡ると、その震動が鉄扇を震わせた。


「あれ、もしかして?まさか!」


鉄扇は、その獣を見て察した。

心当たりある獣の姿は間違いなかった。


哮天犬こうてんけん!」


哮天犬こうてんけんとは聖なる犬獣。

顕聖・二郎真君の聖獣。

その聖獣を竜吉公主が出現させたと言う事は間違いなかった。


「聖獣変化唯我独尊・哮天こうてん


竜吉公主に纏われたのは、犬獣の鎧。

神族は聖獣との融合で、更なる力の解放と、相乗効果の力で爆発的に飛躍する。


「これが私の奥の手よ」



しかし、それはあり得ない。

何故なら哮天犬こうてんけんは、二郎真君の聖獣であり、他者が使役することなど出来ないはず。

聖獣との融合には、契約があるのだから。


「あんた、まさか!」


「そうよ。真君が父上の依り代となって残された哮天犬こうてんけんを、私がいただいたのよ。どうせ主を失った聖獣は、契約が途切れば長く存在を維持出来ないからね」


「それは哮天犬こうてんけんの意思はあったの?」


「関係ないわ。私には力が必要。この先に待ち構える世界の終わりに、私の目的を果たすための力がどうしても必要だったからね!」


「関係なくはないわ!聖獣を洗脳しておいて、あんたの理由なんて関係ない!正当化なんかしないで欲しいわ!」


「正当化なんかしない。私は私の目的のために、罪を犯す事に恐れも罪悪感もない。そのために目の前の障害を払うまで」


「来るか!」


鉄扇は反応出来なかった。

完全に間合いに入り込まれ、三槍の打撃に弾き飛ばされ、吹き飛ぶ。

なんとか体勢を堪えるも、追撃が迫る。

完全に間に合わず、槍に貫かれる瞬間、


「姉ニャーーーン!」


落雷が遮り、鉄扇は辛うじて躱せた。

すると鉄扇の持つ芭蕉扇から獣が出現した。


「鵺」


鵺は、鉄扇の芭蕉扇の中に魂を住まわせた雷獣だった。


「姉さ~ん。こんなとこで負けるなんて許さないニャーー」


「誰が負けるって?勝手に出てくるんじゃないわよ!けど、ちょっと有難う」


「素直じゃにゃいにゃ~」


「で、何よ?」


「あっちが聖獣で来るにゃら、こっちもやりましょ~にゃ!奥の手ニャ!」


「えっ?あ、アレか。けど、まだ成功したことなかったわよね?」


「今がその時ですにゃ!」


「まぁ、良いわ。そんな言うなら、おまえの提案に乗ろうじゃないの!」


鉄扇は芭蕉扇を構えて、円を描く。

すると芭蕉扇が残像を浮かび上がらせて分かれていく。


「変化唯我独尊・四魔扇」


鉄扇の身体を鎧が纏う。

この扇は、羅刹女から譲り受けた芭蕉扇。その能力は、扇げば扇ぐほど強力な突風を起こして竜巻を作りあげる魔力の籠った扇。そして炎の扇をも引き継いでいた。

さらに鉄扇が下僕にした鵺は、雷を纏う扇と変化した。

八仙のらん 采和さいかの神具であった扇は、今は鉄扇が所持していた。

つまり四種の魔扇を鉄扇は扱う。

四種の魔扇には、伝説級の魔獣が宿る。


四種の魔獣を宿る扇を、己の力として融合合体する事こそ聖獣変化。


「うぁああああ!」


鉄扇の雄叫びと共に全身に四獣が宿り、濃縮な力を安定させながら、


「クッ!」


竜己公主は鉄扇の変化に怯みつつも、冷静に鉄扇の様子に笑みを見せる。


(確かに脅威的な力であるわね。けれど、完全に使いこなせなければ力の持ち腐れですわよ)


竜己公主は三叉の槍を構えると、攻撃的な竜気高めながら先端に集中させていく。


「どんなに強力な力でも、そんなに散漫しているようじゃ、簡単に貫けるのよ!」


竜己公主の突きが、鉄扇の妖気の壁を貫きながら、その身を貫く。


「ぐはっあ!」


鉄扇は竜己公主の攻撃を避ける事も、躱す事も出来なかった。

その攻撃は意識出来て感知していたはずなのに。

はずなのに身体の自由がきかずに、その身に受けてしまったのだ。


(何をやっているのよ。私は!こんな不完全な力に頼って、ここで敗北するつもり?私に敗北は許せないわ。だけど、あの竜己公主は今の私じゃ勝てない。だから私は今の私の限界を超えないといけないのよ!)


空中で激しい戦いを繰り広げる二人。

竜己公主の攻撃をなすすべなく受ける鉄扇の戦いぶりを、一人見上げて見ていたのは玉面乙女だった。


「どうやら力のバランスが乱れておるな。そうか、戦場に取り残されたこの妾がこの場におる意味があったわけだ。あの生意気な鉄扇の奴を救えるのが、この妾だけとはな」


玉面乙女は自分の胸に手をあて、念じる。


「ふるえ~ゆらゆらと。ふるえ~ふるえ~。妾の御霊。ゆらゆらと。ゆらゆらと~」


すると白光が胸元から放たれると、白い玉が浮かび上がる。


「小癪な鉄扇。餞別だ。持っていけ」


玉面乙女から解き放たれた玉は空中へと飛んで行くと、玉面乙女が膝から崩れ落ちる。


「負けたら、承知せんよ。お前を殺すのは妾じゃからな」


玉面乙女から飛ばされた玉は鉄扇の目の前にまで来て止まる。


「何よ?これ?この光の玉から玉面乙女の力を感じる?あいつが私に何かしたの?それにしても、まさかこれって?」


玉面乙女の玉は、形を変えていく。


水気を宿らせた扇の形へと!


「芭蕉扇・水仙華」


それは唯一五行の魔扇で手に入らなかった神具だった。

鉄扇は新たな芭蕉扇を掴むと、


「あ、アハハ。玉面の奴、気の迷い?この私に力を貸すって言うの?良いわ。有り難く使わせて貰うわ!後で返してなんて言われても知らないからね」


鉄扇は水仙華を手にした時、神々しいオーラが全身を包み込み、纏う鎧と衣が姿を変えていく。


「完成形五行扇変化唯我独尊」


その異変に気付いた竜己公主は、


(な、何かヤバいわ。ヤられる前より先に討たせて貰うわ!)


が、鉄扇は後光のように浮かぶ五枚の扇をなぞるように両手を回転させると、、



「五行扇・天器四法」



互いに退けない一騎討ち。

決着となるか?



次回予告


最高神玉皇大と、カミシニの神として復活した楊戩。

二人の因縁と過去が語られる。

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