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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生救世主ロスト編!~始祖神滅の章~
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快感絶叫

最強最女の戦い。


西王母と九天玄女の宿命の戦いが始まろうとしていた。


私は九天玄女。

うふふ。やっと、この日が来たわ。

これが私の夢舞台。

世界最強の女同士の戦い。


西王母は、過去に一度戦った事がある。

勝負はついてない。

もう一度彼女と戦う為に、今度は確実に勝つために、私は何度も再戦を望んだわ。

けれど、彼女は応じなかった。

私に敗北する事が嫌だから?

そんなはずはないですわ。

あの方、本当に強いのですから。


そんなある日、彼女の方から再び私の前に現れた。そこで彼女からの再戦条件が、娘である竜吉を強く育てる事だったの。


最初は仕方なくだった。

それがいつしか育てる事に楽しみを覚え始めた。

若き、新たな人材の発掘。

そして育てる事で、私の渇望が満たされる。

私は自分で育てた者と戦う事で、もう西王母しか私の相手がいないと決めつけていた事に対して、道が広がったのだから。

世の中、捨てたもんじゃないわ。

けれど、やっぱり私の本命は、貴女なのよ。



「もっと、盛り上がりましょーうよ!西王母さん!出し惜しみなくね!」


「久しぶりに私も本気を出してあげますわ。約束は果たさせて貰う。お前の命を奪う事で、満足させてあげる」


お互いの動きが速さを増し、攻撃一つ一つが相手を捉えようとするが、互いに紙一重で躱しては攻撃を繰り出す。


突き出す手刀と拳に、弧を描く爪。

一度でも受ければ致命傷。

加速する両者の激突が、竜巻を起こして、衝撃が大地を震わせた。


「か・い・か・ん」


私にとっての好敵手は過去に羅刹女と、この西王母だった。

法子との戦いも面白かったけれど、やはり制限なく戦える相手は、羅刹女亡き今は、この西王母しかいないと断言出来るわ。


「覇拳」


私の渾身の拳が、西王母を吹き飛ばす。


「グッハッ!」


西王母は唇を切り、血を吐き出すと、その唇に笑みを浮かべた。



「久しく感じていなかった。やはり戦う事は面白い。どうやら私もお前に感化されて来たようだよ」


西王母は掌から杖を出現させ、左右に振り払うと、雷撃と炎が火柱となって接近する九天玄女の周りを覆い、塞いでいく。



「私は本気の貴方と殺り合える事が楽しみで仕方なかったのですわ」


私は片腕で手刀で横一線で切り伏せると、雷撃と火柱が両端されて消失した。


「己の覇気のみで私の術を打ち消したか」



西王母は獣のような瞳で、獲物を狙うように私の周りを回ると、徐々に高速回転しなから残像を作り上げていく。そして同時に攻撃が向けられた。


「飛翔万剣」


四方八方から出現した数万の剣が私に向けて飛ばされるが、向かって来る全ての剣を拳の連打が加速して、数千万の打撃の波動となり、打ち払い、落としていく。



「操気剣だけでなく、同時に幻術も発動しているわね?微かに貴女の位置を見誤る。身体の遠近がずらされていたのね?でも、分かってしまえば問題ありませんわ。はぁーーーっ!」



繰り出した拳の波動が西王母を捉え、そして吹き飛ばす。


「くっ、うっわああ!」


波動に巻き込まれながらも、その中から脱出した西王母に、追い付いた私が追撃を繰り出す。



覇拳射隕はけんしゃいん



振り下ろす拳は西王母にのし掛かるような覇気で地面に押し付け、陥没する大地に沈ませていく。更に二波、三波が繰り出される。



「ヌゥウウウ!お前は私が唯一認めた女戦士。望むなら、私の元に永遠に傍にいて欲しかった。だが、やはり私との決着が貴女の望みなら、私はお前をこの手で葬るしかありません。それが神友と認めた貴女への礼儀」



西王母の力が更に膨れ上がると、私の放つ覇気の攻撃を押し返しながら立ち上がり、その気合いだけで消し飛ばした。



「ようやく本気になってくれましたのね。西王母さん。私は嬉しいわ。私が唯一、本気でやり合える最高の女闘士。そして私の神友」



互いに相手の顔を見合せると、その動きが消えた。その動きは神速の移動からの、衝突が幾度と繰り返される。



「あれが九天玄女の本気なのか。私達と仙女院国で戦った時なんて、手の内を微塵も見せてもいなかったのね。本当に冗談じゃないわ。これが羅刹女義姉さんとやり合えた唯一の女戦士の力、私が越えないといけない壁だなんて」


「羅刹女は強かったわ。妾が臆するほどにな。本当にあの二人と同じほどにな」



玉面乙女は震えていた。

既に復讐をする気力を失うほどに。

それほど高い壁だったから。


鉄扇と玉面乙女は仙女院国での戦いの後に九天玄女に拐われるようにして、連れていかれた。その後は、九天玄女は短い間だけど無理矢理修行をつけさせていた。

修行はただ、己との戦いを強いる内容。



(妾は、己のプライドを捨てて、自分を殺した蝎子精の技を盗み、己の力とする事が出来た。しかし鉄扇はどうだったのだろうか?鉄扇も力をつけたのか?しかし数年の修行で得られたものなど、あの二人の力の前では霞むわ。妾は再び足が震えておるわ)


「!!」


そこで玉面乙女は気付く。

鉄扇もまた震えていることに。

しかしそれは、自分とは異なっていた。


鉄扇は二人の戦いを見て、震えていた。

それは武者震いだった。

初めて越えるべき目標を目の当たりにしたからだった。

鉄扇は、目の前で戦い合う二人の戦闘から、自分を重ね合わせていた。



「うっ、また殺されたわ・・・今度こそ!」


イメージトレーニングをしていたのだ。

戦いへの執着心。



(妾とは違う。異なるわ。復讐心にしろ、戦闘への渇望にしろ、まるで闘う理由を求めているようだわ。まるで羅刹女の如く)



羅刹女と鉄女の姿が被って見えた時、玉面乙女は鉄扇に恐れを抱いた。




そして戦いは続く。


西王母と九天玄女の戦いは、まさに天災。

大地が震え、天が裂ける。

まるで二人の戦いに恐怖するかのように。



「あ~楽しぃ~わ!西王母さん!」


「私も熱くなって来たわ。久しく味わってなかった衝動だわ」


「もっと味わいましょー!この日を待った分、死力を尽くしましょうよ!」




西王母の戦いは拳闘だけでなく、同時に仙術を繰り出す。

雷、炎、水、風、土。

五行の術だけでなく、巧みな幻術。

対して九天玄女は、純粋な拳闘のみ。

しかし純粋な覇気だけの力量なら、九天玄女のが上だった。


最高クラスの始祖の王である西王母に対して、九天玄女は産まれながらに特出した才能の原石が、努力に努力を重ねて神才を開花させ、そして始祖神と渡り合うほどに達した。


どちらも手は抜けない。

一瞬の隙で、命が取られる。

かつて共に過ごし、笑いあった関係。

その先に待ち受けていた命の駆け引き。

二人は満悦していた。

戦う理由など必要ない。

共に強者と戦う事に快楽を感じていた。



「驚いたわ。本当に厄介よ。貴女は。私とのこの戦いの中で、成長しているわね。術で翻弄していなければ、いつ喉元を食いちぎられるか恐くて仕方ないわ」


「西王母さんこそ。力を解放してから徐々に身体に馴染んで来ているわね?眠らせていた力が起き始めた感じですわ」



二人の底は限りなかった。

気付くと、お互いに防御よりも攻撃に意識が偏ると、身体に受けた痣が滲み、かすらせた攻撃で、血が流れていた。


「快感絶叫」


この戦いに結末はあるのか?

百年戦争になりかねない拮抗な戦い。


「そろそろ奥義、見せてあげないとね」


九天玄女が拳を握り直すと、足下から竜巻が吹き起こり。そして体内から発する覇気が何者も寄せ付けない制空権を作り上げる。


西王母も九天玄女に合わせるかのように、奥義を繰り出そうとしていた。

西王母の頭上に、炎、水、風、雷、土の気が渦を巻きながら凝縮していく。


「五行滅穿」


左右からは炎術の槍、雷は光速の雷矢。中心からは風術は虎穴と呼ばれる穿孔の奥義、水術は玉面乙女と同格の凝縮した氷柱が突き出され、土術は九天玄女の頭上から振り落とされるハンマー。左右上下中心からの同時最大術の攻撃。

対して九天玄女は、一点集中の拳を繰り出そうとしていた。



「覇拳・超越波!」


その一撃は迫る五行法術攻撃の全てを塵と化し、そして西王母に迫る。


「クッ!」


だが、西王母もまた策を持ち合わせていた。

九天玄女の攻撃を受け流し、その身に最大限の攻撃をうちつける策でいた。

肉を切らせて骨を断つ。

捨て身の策。


そうでもしなければ勝てぬ相手である事は承知。しかし受け止めきれなければ、己の身を漕がす諸刃の剣だった。


「勝負だ!」


西王母に九天玄女の腹部に直撃した瞬間、身を傾けて腕を掴み、残る腕から剣を伸ばして九天玄女の眼前を狙う。

が、剣が伸びきる直前、見開いた九天玄女の眼前で剣先が止まり、西王母は吐血して身をよろめかしてしまった。


(衝撃を耐え切れなかったか!)


完全に受け流す事は出来ない事は承知。

それでも耐えきれれば、勝機があった。

が、西王母の身体が耐えきれなかったのだ。

全身を襲う九天玄女の覇気が籠った拳の衝撃。

完全に受けていたら、西王母の身体は消し飛んでいただろう。

その上での諸刃の剣だったが、己の攻撃は一歩、九天玄女に届かなかった。



「西王母さん。楽しかったわ。そして、さようなら」



九天玄女は戻した拳にもう一度覇気を籠めると、よろめき体勢を崩した西王母に二激目を打ち放ったのだ。


その瞬間、閃光が走った。


何かが起きた。


九天玄女は突き出した腕を止めたまま立っていた。

そして、西王母もまたこの状況を把握出来ずにいた。



「あらあら。貴女はもう少し懸命な判断をしてくれると思っていたのですよ」



九天玄女の視界の先には、女戦士が三股の槍を手に構え立っていた。

すると、突き出した九天玄女の腕から線が入り、静かにその場に落ちたのだ。

九天玄女の突き出した腕を、西王母に直撃する寸前に腕を斬り落とした者。



「申し訳ありません。先生。けれど、どんな過ちを侵そうとも、母は母なのです。この私を産んでくれたはは神なのです」


その言葉には決意が籠められていた。

そして、以前会った時よりも、迷いが消えたその魂の強さは遥かに強く気高く。

始祖神の力を開花させていた。


「竜吉公主」


西王母の娘であり、九天玄女の教え子。

そして今、敵として現れたのだ。

次回予告


西王母と九天玄女の戦いに割って入ったのは、竜吉公主。

始祖の力を持つ最高神相手に、九天玄女はどう戦うのか?

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