決死の丹生ちゃん!いつか現れる王子様のために!
総本山で起きている神々と法子達の戦い。
そして今、彼女の戦いが繰り広げられている。
私は丹生朱美。
神の転生者ですわ。
ちなみ素敵な彼氏様募集中です。
えっ?私の好みですか?
そうですね。
K-POPのスター程度の容姿があって、甘やかしてくれるほど優しく、生活に支障のない程度で、私が我が儘出来る経済力があれば、旅行は年に百日程度行ければ文句言いませんわ。
えっ?勇斗?
彼は空海様のご子息ですが何か?
何を言ってるのかしら?
私の彼氏にどうかって?
馬鹿言わないでくださいな。
彼は私に優しくないし、何を考えているか分からないし、それにケチです。
考えた事もありません!
本当ですわ。
いつか必ず私には白馬に乗った王子様が現れると信じていますわ~
そう思っていたのだけれど・・・
「この状況は本当にヤバめですわ」
この地下迷宮の中心の魔方陣から成長していく巨大植物が、遠く高くに見える天井を貫いて伸びている。そしてこの植物から感じる陰の気。
この植物が総本山全てを覆う結界の役目になっているのですね。
見ると根元に横たわる総本山の者達が干からびた屍が幾つも残っていた。
そして唯一生き残っていた者の姿を見た時、私は慌てて駆け寄ったの。
「貴方は座主様ですよね!」
座主様は全身に管のようなものを刺されて、霊力を吸い出されているように思えた。
これが結界の力の源。
「き、君は?」
「先ずはお助け致します」
私は座主様から管を抜き、全身を絞りつけていた植物の蔓を引き抜いていく。
「私は空海様の命で総本山の救援に参りました丹生朱美と言いますわ。直ぐにお助け致します。座主様」
「空海殿の?す、すまぬ」
空海様から聞いた話ですが、こちらの座主様はかつて空海様のお弟子様だったらしいの。
つまり私の大先輩にあたることは極秘内容。
植物の管から腕が引き離され、自由になった座主様が私に向かって押し倒して来たの。
「え~??私に欲情??」
直後、背後から剣が空をきって目の前の植物の根に突き刺さったの。
座主様は私を庇ってくださったのですね。
そして追手がもう目の前に、
「もしかしてもう追い付かれたの」
振り向くと、そこには三神達が姿を現して私と座主様に近付いて来た。
「やはり目的は結界か」
「私達神の目を掻い潜り此処まで来るとは大した者だな」
「だが、ここまでだ。その人間の男は元に戻させて貰うぞ」
完全に逃げ場を奪われ包囲されると、私も諦めて立ち上がる。
「素敵な王子様を待っていましたが、来世に期待しますわ。何せ私は転生者。神の転生者ですから。この世界の平和は守らせていただきます」
人の身に転生した神。
私は神の転生者なの。
「この地の神として、お前達異界の神に見下されるのは面白くも気持ちよくもありませんわ」
私は銀の指輪の形を変化させて銀の槍を構成させ、ベルトにしていた銀が全身を覆って鎧と化したの。
「神を騙るとは許せぬ。良かろう。お前はこの私が粛正してやろう」
モーモス神は念を籠めると、私の身体が押し潰されるように圧をかけられた。
「甘くみないで欲しいことよ!」
私はモーモス神に槍を投げると、その圧が解けてかいほうされるが、
「愚か。武器を捨てるとは笑止千万」
「そうかしら?」
すると投げた槍が形状を変えて液状化し、モーモス神の身体に被さったの。
「ウガァア!」
銀に被さったモーモスの身体は硬直化して動かなくなった。
良かったわ。
奇襲が成功したわ。
「えっ?」
すると硬直した銀に亀裂が入っていく。
私の銀は閉じ込めた相手の力を無効化させる能力があるはず。
どうやって抜け出したの?
「一つレクチャーして差し上げましょう。私の能力は非難。拒む事。認めぬ事。否定する事。私が認めぬ能力は全て無力化するのです」
「私の銀の能力を無効化なんて、そんな真似出来るはず」
「相手の力を無効化させる能力は私の方が上手だったまでの事。身の程を知ったところで、抗った事を悔やみ死になさい」
その時、私に向かって苦悩の神オイジュスが力を発動しようとしていた。
「精神を破壊してやろう」
「あっ!」
オイジュスの念が私の精神を蝕む。
産まれて味わった負の体験が纏めて肉体と魂を痛めつける能力。
それは小さい怪我から、重傷を負った時の激痛。
過去、私の両親が事故で命を失い、人と異なる能力を持つ事から周りから忌み嫌われ恐れられた。何度も自殺を考えた。
誰も私を必要としない・・・
完全に術中にはまった。
私は己の銀の槍を自分の首もとに向けると、勢いよく貫いた。
「させん!」
直後、満身創痍の座主様が私の銀の槍を掴んで受け止め、私に当て身で気絶させた。
「死なせぬ。俺の前で誰も死なせやしない」
座主様は三人の神に対して私を庇うように制止させると、威圧した。
「人間とは思えぬ程の精神的。とうに力尽きていてもおかしくないと言うのに。人間如きには相応しくない力だ。晴明が死なせぬように結界の動力源に使っていたが、後々生かしておいては我らにとって脅威になりかねん。今、この場で始末してやろう」
と、迫るオイジュス。
「この俺は蛇神の一族でな。そう簡単には死なぬ。そしてこの娘のお陰で自由になった事で、俺の居場所を伝える事が出来た」
「何を言っておる?人間」
「お前達、蛇とはそもそも神の天敵だと言われている。お前達神を喰らう蛇神の一族の力を教えてやろう」
すると、座主様の頭上から人影が二つ飛び降りて来て、座主様を庇うように三神の前に現れた。その者は?
「座主様。お待たせしました」
「後は俺達に任せろよ」
二人から発する気は、蛇気。
蛇神の一族の二派。
「神をも喰らう俺達が来たからは安心してください。この大河愚地」
「そして、俺が黒神夜斗だ」
私達の前に現れたのは、座主様直属の戦士。
蛇神の一族だった。
次回予告
座主直属の親衛隊。
神の天敵である蛇神の一族とは?




